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2018-10

唐津やきもん祭後編〜旧大島邸にてやきもん祭茶会 - 2018.05.04 Fri

さて、唐津にはるばる来た一番の目的は「茶縁・陶縁・食の宴」と銘うった茶会である。
我が敬愛する和尚様、タライ・ラマ師がここで釜を掛けられる。古唐津のすごいコレクターで(すごいコレクションは古唐津だけじゃないところがまたにくい、、、)ある和尚様は関西在住であるが、その唐津のまさに茶縁、陶縁で2年前から、陶芸家さんや茶人さん、料理人さん、その他現地の方々と力をあわせて、やきもん祭に釜をかけられている。




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玄界灘の浜辺にもほど近い旧大島邸が茶会の舞台になる。



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旧大島邸は唐津の実業家・大島小太郎の邸宅で、移築復元したものだが、大部分を当時の建材建具を使用。小太郎は唐津銀行を創設、インフラ整備、市街地電化など唐津の近代化に貢献した方で、かの建築家・辰野金吾と同窓、高橋是清の英語の授業を受けていた、という時代背景の方。




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母屋棟は十五畳+十畳の続きの広間があったりかなりの広さだが、これに四畳半、六畳、三畳の茶室がある茶室棟が付いているという贅沢さ!(唐津市民はこれを格安で利用できるという太っ腹な設定)



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さて和尚様は、現地の工房で窯焚きを見たり、陶芸家さんたちと親しく食事をともにしたり(飲んだり)、広く深く交流されている。ご縁は唐津のコレクターというだけにとどまらない。本来はゆかりのなかったこの土地に、人とのつながりでしっかり根をおろされていると感じた。そういうお人柄が敬愛いたすところでもあり、うらやましいところなのだ。




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最初に露地の中にある二畳の四阿にて。




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こちら担当のご亭主が、李朝オタクもびっくりの超・かつハイレベルな李朝愛にあふれた九州の数寄者様。(実はこの方もお坊様でいらして、あとてきいてビックリした)

最初に甘い甘いトマトにドライ無花果、さわやかな五味子茶(オミジャチャ・韓国茶)をいただき、ゆっくりと二畳を見回すに、、、、白磁の大壺、鶏龍山の花入(めずらしい夏蝋梅の花)、李朝の黒板の敷板、古い平べったい鉄製朝鮮風炉(これ欲しい、、、)に鉄瓶がかかり、その前の小盤の上にのっているのは〜〜〜!目が釘付け!垂涎の粉引の茶碗ヽ(≧∀≦)ノ、、、こ、これで一杯いただきたかったわ。




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掛物は朝鮮慶尚道の古地図、それには金海や熊川の文字が、、、

思えば唐津の焼物としての発展は文禄慶長の役で日本につれてこられた朝鮮陶工の高い技術がなければなかったのであるから(おかげで朝鮮の窯は多くが廃れた、、、と韓国に行ったときに聞いたなあ)、そのルーツに対して思いを馳せることはこの唐津茶会にふさわしい。そんなご亭主の思いのこもったお話しもいろいろされた。
おりしも最近新聞か何かで読んだ百婆仙(朝鮮からつれてこられ、後に有田焼の母といわれるようになった女性)をたたえる像の除幕式が前日有田であったという話もされたのが印象に残る。(ご亭主も私も「へうげもの」の高麗婆(織部の子を産む朝鮮の女性陶工)を連想したのは同じ(^_^;)




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(四阿の屋根がちらっと見えるよ)



お話しを聞く間、木々に囲まれた四阿の中は風がさわやかにふきとおり、天気もよく、いつまでもこうしていたい、、、と思ったことであった。



次に八畳の座敷にテーブルをおいての点心席




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懐石担当はひら田さん。
昨日旧高取邸の呈茶席の先生が、「ひら田さんなら本式ね。」とおっしゃっていたとおり、とても美しく、美味しい点心であった。聞けばなんと京都の美山荘で修行をされていたとか、なるほど合点。

一席7名の大皿はそれぞれ違う唐津の作家さんのもの。私のは14代(当代)中里太郎右衛門さんのものもの。




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のちにもらった資料によると、こんな作家さんの物がでていて、実はこの席のお正客さんの陶芸家さんの物もあったのだ。さらにサプライズは、、、、





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それぞれのお皿の作者の似顔絵が、献立表に描かれてあったこと。似てるわ〜太郎右衛門さんに。どうやら描いたのは存じ上げているお茶人さんのMT画伯(?!)らしい。この日もお手伝いをされていたが、すばらしいグッジョブ!こういう人が回りに集まるのも和尚様のご人徳。




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点心席の掛物は襲の衣の女性が布を振っている後姿、竹内栖鳳の「佐用比売」
万葉集の時代の唐津に伝わる伝説の女性なのだが、今回の茶席のテーマはこれらしい。

(唐津の松浦佐用姫は新羅遠征に出征する恋人、大伴狭手彦がのった船を領布(ひれ)を振ってどこまでも追いかけ、追いかけきれなくなったところで悲しみのあまり岩になったという伝説。万葉集にもいくつか歌われている。 <海原の沖行く船を帰れとか 領布ふらしけむ松浦さよ比売> )



 

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点心席から露地を通って、茶室棟へ




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四畳半の茶室は脇床の落掛けが天然木のうねりをそのまま大胆に生かしたもので、網代の天井、洞庫もあり。
(以下、記憶違いもあるやも知れませぬが、いささか怪しくなった記憶力をフル稼働した記録)

一番に目に入るのがアヴァンギャルド水指。小ぶりなくせにモダンアートみたいな釉薬、、、、と思っていたら、これれっきとした古唐津。朝鮮唐津のうちの柄杓手、という釉薬を柄杓でばしゃっとかけたものなのだそうだ。よく見ると確かに朝鮮唐津っぽいところもある。う〜ん、桃山の陶工おそるべし。蓋がよそからもってきたものらしくちょっと合わずに浮いているのがまたかわいい。





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(和尚様に掲載の許可を得てアップ)




しかし、この水指口が小さいのに柄杓の合がはいるのだろうか、、とどきどきしていたら、お点前さん、上手に水をくんではった。さすが。

床の掛け物は黒田長政が(おそらく尾張名古屋城)築城の石垣作りを命じられた折、石の手配について家臣に指図している内容。
唐津には秀吉が朝鮮出兵の足がかりとした名護屋城跡があるからね、「なごや」違いだけれど、この名護屋にかけて。

備前の花入には凜とした大山蓮華
水をしっとりと吸った花入れには、たてに筋が二本はいっていて、岩になった佐用姫の袖のように見えなくもない。
香合は円形、名古屋城古材で表に「月」の文字、材の虫食いが村雲のようにみえる。

濃茶の茶碗は渋いグレーの奥高麗(高麗の名を冠するが唐津)、銘を「軒漏る月」
もうひとつのテーマが唐津茶碗の里帰り、という。この茶碗は長いこと唐津の数寄者の手にあって、中里太郎右衛門さんもこれでお茶をのまれたりした、というお茶碗だったらしい。その数寄者が亡くなられて唐津から流出、流浪の果てに和尚様のところへやって来た、というお茶碗。やっぱり関西には連れて帰るけれども、ひととき、愛された故郷の空気をたっぷり吸ってもらいたい、というお心で。

  梅の花 にほひをうつす袖の上に 軒漏る月の影ぞ あらそふ (定家)

内側に釉薬の掛かっていない部分が小さな月のように見えることからのようだ。
香合、茶碗、ときて小ぶりな鶴首茶入にも「月」にまつわる銘がついていたのは、釉薬が三日月のようにみえるから。(薩摩、、、だったかな〜?)

替え茶碗は金海、唐津のルーツである高麗茶碗である。

飴色の繊細な茶杓は松浦鎮信、肥前(佐賀)の人だし、松浦佐用姫にひっかけたのね。





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(和尚様の藪内流の塵箸はこう切るのか)



続き薄ででてきた煙草盆がまたすてきだった。おそらく李朝の、背の低い台付の皿のような盆に、火入れの代わりに白磁の小さな香炉、茶事の時に拝見している小さな短いキセルがちょこんと乗って、和尚様の美意識ってこんなところにも、、と感動。

干菓子は現地のものを、と最近14代太郎右衛門さん監修でつくられたという唐津の陶片煎餅 

       ↓


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(出光の唐津陶片コレクションもびっくり!よ)
(ちなみに柄杓手、左上、もあるよ)



それに貝殻の和三盆、唐津・開花堂さよ姫

茶碗は、あらかじめ客組をみて、その方のイメージにあったものを選んだとおっしゃる。(どれだけご持参されたのか?!)

高取、沓形備前、呉須赤絵、「明恵上人(樹上図)」に似た絵付けの安南、私はなんだか楽しくなるへんてこな(^_^;絵付けの赤織部でいただいた。(どういうイメージ?(^_^;)
でも一番ええな〜これ、と思ったのは絵唐津の塩笥茶碗である。なんだろ?このデジャヴ感は、、、、と思ってはたと気づく。みんながたのむからブイヤベースをいれるのやめてくれ!と懇願しているところのあの垂涎の絵唐津塩笥のミニ版であったのだ!


↓ これ!



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楽しく美しい物を堪能させていただいたひととき、和尚様、ありがとうございました。
美しき四阿の李朝を愛するご亭主様、また裏方としてお手伝いされていた方々、御連客様、ひら田さん、この茶会をささえてくださった多くの陶工、陶芸家のみなさまにも感謝!







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● COMMENT ●

ああ!!!うらやましい!!
私このお茶会に行きたくて、たまらなかったのですが、主人のお休みが取れなくって涙をのんだのです。読ませていただいてありがたかったです。もし来年もこの趣向が有りましたら是非是非参加させていただきたいと、心に決めました。

奈良暦様

心に残る一日になりました。
和尚様、きっと来年も亭主をされるかと思います。年々グレードアップされること間違いないでしょう。
唐津もいい町でした。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

鍵コメ様

鎮信流のお茶をなさっている方も存じ上げていますので、松浦鎮信はけっこうなじみのお名前です。まさか松浦の佐用姫にひっかけてでてくるとは、私も思いませんでした。

ありがとうございました

今回旧大島邸で李朝の席をもたせて頂きました。先日は遠方よりお越しいただき有難うございました。憧れのしぇる様におめもじ叶いましたことが一番感激でした。
タライ・ラマ師ご所持の古唐津茶碗が、陶工さん達の熱烈なご所望により里帰りすることが決まり、趣向を巡らす中で、師より李朝の席をとの御催促。それなら「月」の銘より、満月にみたて白磁壺、と決めたものでありましたが、席中にもいろんな月が出ておりましたね…。
金海のお茶碗も、数日前に私の描く席のイメージを伝えたところ、それならこれを是非と出てきたものでありました。 
タライ・ラマ師を中心に,唐津ならではのお茶会ができたんじゃないかと喜んでおります。
またお目に係れる日を楽しみにしております。 

あっ! 塵箸は私が好きに削ったもので、藪内流とは関係ないものです。

李朝坊主様

このたびはほんとうにありがとうございました。
Y和尚様からすごい李朝コレクターがいらっしゃるというお話しは聞いていましたので、こちらこそお目にかかれて感激です。しかもあの四阿の室礼で!しあわせなひとときでした。(あ、Y和尚様の席もステキ!)あの金海はそういえば白磁の壺に呼応するものがありました。いろんな仕掛けをおふたりで企んでいる様子を想像してしまいます。うらやまし〜!
コレクションのみならずはるか桃山時代に海を渡ってきた陶工たちへ思いをはせられる李朝坊主(!)様のお心にも共感しました。是非是非またお目にかかって李朝トークを爆発させたい所存でございます。よろしくお願いいたします。

塵箸!そうだったのですか(^_^;自分の流儀の切り方を恥ずかしながら最近知ったところだったので、ちょっと気になりまして。

しぇるさん、今晩は!すご~い!!唐津まで行かれたのですね!!私も3年位前唐津に行き、太郎衛門さんの昔の登り窯と新しい登り窯、見せていただきました。懐かしいです!!実は私、実家が福岡で唐津まで近いです!!川島豆腐のお店行かれませんでしたか?ここはランチお豆腐三昧です。でも器が素晴らしい物ばかりです。もちろんお豆腐ランチも美味しかったですよ!!

みゅうぽっぽ様

角打ちのところで食べた豆腐が川島豆腐のざる豆腐でした。お店は前はとおりましたが入っていません。
飛行機じゃなくて行ける範囲で唐津までいったので、もう東京なんか、へのかっぱくらい近く感じます。


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