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2018-10

喜左右衛門井戸を至近距離で拝見す〜松江月照寺・不昧公記念茶会 - 2018.05.30 Wed

3歳児のころ来て以来、くることもなかった松江の地を久々に踏んだのは3月の枕流会茶会であったが、今年2回も行くことになろうとは、想像もしなかった。




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前泊して眺める宍道湖サンセット




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島根県立美術館から眺める朝の宍道湖


今回は、孤篷庵とご縁の深い遠州流のH先生と、孤篷庵の和尚様主催の松平不昧公没後200年記念茶会に出席するためである。




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場所は雲州松平家菩提寺である月照寺、当然不昧公もここに眠っておられれ、ゆかりの茶会にふさわしい。




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ご存じのように不昧公は小堀遠州を尊敬しており、遠州が建立した孤篷庵(大徳寺)が焼失したとき、それを再建された方、孤篷庵との関わりは深いのである。

しかも、かの国宝・喜左右衛門井戸茶碗は不昧公が所持し、その死後、孤篷庵に寄進されたという茶碗である。(所持者を次々に不幸に陥れる、という伝説もあったが、今では孤篷庵ですっかりおとなしくしているもよう(^_^;)




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(境内にある、不昧公ご愛用の名水)




今回、孤篷庵の和尚様がこの喜左右衛門井戸を松江までお持ち下さり、茶会参席者に見せてくださるという、なんとなんとありがたい企画。
もちろん、この茶碗はなんども美術館で見ているし、今年にはいっても京都国博の国宝展で拝見したのだが、さてガラスの隔たり無し、至近距離の喜左右衛門はどのように見えるのだろうか。




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(歴代の藩主が眠る広い境内にある不昧公・大圓菴の御墓所)



まずは濃茶席

H先生のお点前、和尚様の半東で、本席の軸がなんと不昧公16〜17歳のときの一行「江聲夜聴潮」。高校生くらいの歳でこんなん書けるのか〜、、、
花入が朝鮮古銅、中国の端整な古銅にくらべゆるくて、ちょっとひょうげたモダンなもの、生けられた花が牡丹、松江の牡丹の名所大根島から。この日に合わせるのに咲き具合にとても苦労されたよし。ほんのり先端がピンクにそまった蕾がみずみずしかった。

茶入がまた強い印象をのこす「転合庵手」、全体も、ついている耳もごつくて一度見たら忘れない。
転合庵は現在東京国博の庭園に移築されているが,遠州が桂宮智仁親王から拝領の茶入「於大名(おだいみょう)」を披露するために作った茶室、そのときの茶入を転合庵手という。もちろん不昧公の箱で銘を「万石」。




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(月照寺書院庭園)



主茶碗の堅手がすっかり熊川にみえる逸品で不昧公の銘「卯の花」
茶杓が藩祖・松平直政作、不昧の追い筒にして銘を「千と勢」
、、、、と不昧公づくし、さすがゆかりの孤篷庵。
ちなみに藩祖直政は家康の次男・結城秀康のご子息だったのね。




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濃茶が終わると同じ座敷で、いよいよ貴左右衛門様御出座!
今回、茶碗を守る五重の箱(一つは失われ現在は4箱)のうち3箱といっしょにご来雲、箱も拝見する。
「本多能登守忠義後所持 船越伊予(でた!)添状 いとちやわん」
「、、、(中略)中村宗雪求所持、、、(略)塘氏為家蔵、、、、」
最後にふかふかの紫のお布団にくるまれた喜左右衛門井戸が!

さすがに手にとることはできなかったが、和尚様が手の中でくるくると弄されるのを目の前で見ると、なんというか、いままで私が見てきた美術館での喜左右衛門は一体なんだったのだろう、ということ。

座敷の中で、人の手の中でみるとサイズ感が全然違う。色もいわゆる枇杷色と納得していた色なのに、これも脳内イメージとかなり違う。

高台の裏までびっしりと梅花皮があり、なにより内側を深く深く削ったため、高台の中にまで削りこんだ底の薄さがはっきりわかった。底に当てた指を内側からさわれるような感触と和尚様はおっしゃる。この深さが井戸=wellのゆえんといわれて納得できるのだ。

荒々しくて、朝鮮半島では雑器であった、かたぶいた茶碗というイメージはどこから来たのだろう、目の前の喜左右衛門はむしろ優美でなんと品格のある茶碗であろうか。わかったつもりでいた自分を深く恥じる。




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(不昧公の父・宗衍の墓所)



喜左右衛門を拝見した印象があまりに強くて、薄茶席はちょっと記憶がとんでいる(^_^;

花入が不昧公お手作りの竹、釜がこのたび孤篷庵内に復元完成したところの大圓菴什器・手取釜(ちなみに大圓菴は不昧公の戒名 「院」号を用いられなかっためずらしい戒名)
水指がご当地楽山焼、楽山窯5代=不昧公の時代のもの。
香合が荘子香合を塗り物に写したもので、松枝不入(不昧公と知己を得ながら松江には一度もこなかったので不入の名を拝領したとか)
薄器が時代の紫陽花蒔絵、茶杓が遠州の孫にあたる小堀政恒、歌銘付き。

主茶碗が、小ぶりなちょっと粉引っぽい三島、そう、二徳三島によく似た感じで、あれよかったな〜。不昧の箱で「芦垣」
いまひとつが斗々屋、ねっとりした土の具合が特徴なんだろうけれど、私はいまだに蕎麦と斗々屋の区別があまりつかない。伊羅保もまじろうものならお手上げ〜。




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かくして興奮の不昧公づくし、喜左右衛門にノックアウトの茶会は終了したのである。
そのあとは少し気が緩んで楽しく点心をいただく。京都から日帰りでおつきあいしてくれたMKちゃんともおしゃべりがはずむ。




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煮物椀の、このぷちぷちっとしたもの、これが宍道湖七珍味のひとつ、海藤花(かいとうげ)。マダコの卵で確かに藤の花房に似ているわな。松江らしい珍しい物をいただいた。




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月照寺はほとんど山一つが境内である。歴代雲州公が眠る中、不昧公のたっての希望であったかどうか、その墓所からは松江城がよく見える。そして松江市も,墓所と城の間に高い建物をたてないことにしているという。茶人としてだけでなく、藩の財政改革に辣腕をふるった不昧公は、今も松江の人々に愛されているお殿様なのだなあ。



<余談>
ちょっと面白い不昧公紹介動画貼ってみる(^_^;









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● COMMENT ●

このレポートを楽しみに待っていました!
さすがにH先生と孤篷庵ご住職のコラボはすごいですね。
私は昨秋のお茶会を欠席したので、連絡が途絶えてしまいました。

確かしぇる様の前回の松江行きが、お誘いした京都の大圓菴落慶法要の日で、そこにはご一緒できませんでしたね。
その時は濃茶席でご就職の同級生がご一緒で、喜左衛門がドンと出てきました。
お正客が手に取られたので、詰めにいた私は「タッチだけ」とピッと触ったら、
「持つならちゃんと持ちなさい」と叱られて、しっかりと手に取らせて頂きました。
お茶を戴いてはいないので、タタリはなし。
それから10人が順繰りに手に取って話も弾みました。

ご住職が「林屋晴三さんが亡くなられたから言うけど、これはやっぱり日本からの注文品だね」とおっしゃり、その場では注文説が大勢を占めました。
林屋さんは祭器説でした。井戸茶碗は祭器か注文か? まだまだ論争は継続中ですね。
野村美術館の谷先生によると、焼かれた窯はほぼ確定されているのですが、発掘がまだなので実証されていないとのことです。

蕎麦も熊川も憧れです。高麗茶碗はいいですねえ。

そらいろつばめ様

ええ〜!!喜左右衛門手にとられたのですか〜!いいな〜!
あの重さがどんなものか実はとても知りたくて。和尚様が思われるより軽いですよ、とおっしゃったのが気になって〜。まあ、今回は直に拝見できただけで一歩前進、またの機会をねらいます。(あるのか?またの機会(^_^;)

高麗で一番好きなのは15世紀の粉青ですが、日本人の好みの入った倭館以降のモノにはほとんど興味がわきません。それを考えるとやっぱり注文品と言うより朝鮮の美意識で作られたものではないかと直観だけですけど思います。


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