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2023-10

八瀬大原・瑠璃光院茶会 - 2018.06.22 Fri

大原へ行く途中の八瀬は、豊かな緑と、高野川の上流、渓流の地である。




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壬申の乱で矢で傷ついた背中(矢背)を釜風呂で癒した大海人皇子(後の天武天皇)の伝承がある地であり、以来貴族や武士たちの保養地となった。(私的には八瀬童子の里)





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かなり山の中で渓流にかかる吊り橋を揺れながら渡ると、、、、




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ここにたたずむ瑠璃光院がある。

ここはもともと寺院ではなく、亀岡楽々荘が旧邸であるところの田中源太郎翁(山陰本線を引いた人)の所有地であり、交流のあった三条実美卿がその庵に「喜鶴亭」という命名したという。
その後所有者は次々かわって、現在の叡電・京福電鉄が所有したり、したが、今は光明寺というお寺の子院となっているらしい。




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なんといっても青楓、紅葉の美しさが「そうだ京都行こう」キャンペーンで取り上げられて以来、爆発的な人気を獲得し、現在青楓の季節、紅葉の季節のある期間のみの一般公開、それにならぶ行列が3時間待ち、、と聞いた。




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とてもそんなに並ぶ勇気はないが、このたび細見美術館でお茶の稽古をされている松井宗幸先生のお社中がここでお茶会を開かれるので、待たずに中へ入れるという僥倖を得た。




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ちなみに現在の瑠璃光院の建築は大正から昭和初期のもので、数寄屋の名匠・中村外二作、作庭は桜守で有名な佐野藤右衛門一統と伝わる。




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最初に竹重楼さんの点心をいただく。(なぜか点心の写真がナイ!)
先生のお孫さんだろうか、7歳とその妹とおぼしきかわいい女の子が肩上げをした振袖をきて、お菓子のおふるまい。ついつい孫娘とかさなり目をほそめてしまう。




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12000坪の庭園は雨上がりのこの日、圧倒的な緑で美しさにため息がでる。

ここは八瀬の山の中だから、ときおり山道に迷った人がスマホナビを手にまよって入ってくるらしく、この日も「ここはどこですか〜?」という旅人がいてびっくり!(そうか、正門以外から入るルートもあるのね、、、と、悪いことを考えてはイケナイ)




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薄茶席は二階、ここの八瀬の山の眺めは絶景かな!ですばらしい。もっと良いアングルで写真が撮れたらよかったのだが、他のお客様もおられる手前この程度で、、、




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そして、瑠璃光院のパンフレットやポスターにもなっているベストビューはこの二階の座敷、お茶会なので、これもこのていどしか撮れず残念。




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瑠璃光とは薬師如来の薬師瑠璃光如来からくる名だが、瑠璃=青=楓の緑とも思われ、瑠璃光院とはよくぞつけたり!の名だ。




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(床にうつる床みどりも実物はもっと美しいのだけれど)


床には大きな焼物の水盤があって、紫と白の菖蒲が美しく生けられていた。香合は今日庵の名水梅の井井桁の古材、いずれも「水」を思わせる意匠にて、淡々斎好みの渦巻棗だが、真塗りでなく拭き漆っぽいデザイン。
そういえば干菓子も撫子(琥珀)と水(雲平)であった(奥様のお手製とか)。
茶杓が玄々斎の室(女流茶人として有名)玄華斎(または宗柏)お手製という珍しいもの、しかも櫂先の裏に鎹がうってあるという見所のある茶杓であった。銘を「遣り水」




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主茶碗は一入平の黒、了入の隠居印(草楽印)のある赤の平の土見せあり(200つくったうち、50は天明の大火以前の土で作ったもので土見せがあるのが特徴らしい)。
一番萌えたのが絵志野の平。内側に、白い長石釉がはじけて穴がいくつもあいている茶碗で、これ茶筅がいっぺんに削れるよな〜(^_^; でも、楽よりもこっちのほうがええ(個人的趣味)と思った。




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濃茶席は一階の喜鶴庵にて。
軸は玉舟の「雲収山嶽青」 八瀬の山々も青い。花は烏柄杓というめずらしい山野草、釜が5代寒雉の渦四方釜(仙叟好み初代寒雉が本歌)、これ好きやわ。ほんまデザイン性にすぐれてスタイリッシュだと思う。
古淨味の鐶付き風炉。外壁が丸みを帯びずまっすぐな場合は鐶はあげずに下げておくのだと(まっすぐだからあげられない)おそわった。

茶入は瀬戸の後窯の吉兵衛(遠州くらいの時代か)、茶杓が一燈、共筒共箱(これすごい)。

さてさて、お茶碗はやっぱり高麗ものが多いのがうれしい!(高麗フェチなもんで)

主茶碗は井戸の小貫入、箱にそう書いてあるがちょっと見青井戸のようにみえる。銘を「加賀」(どなたの箱か失念しました。不昧だったか???)
私の萌え〜の一碗は誰が見ても金海!の教科書的な金海茶碗。州浜型の口に猫搔き手。
釘彫り伊羅保も渋うございました。
もう一つは了入の中印(天明の大火から隠居まで)のある黒楽。




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ほんに、こんなロケーションでお茶会って最高!と感激をかみしめながら帰る道、渓流で遊ぶ親子の姿を見つつ、着物着てなかったら私も入りたいな〜と思いつつ、八瀬の地を後にした。






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