田中一村展ー生誕110年ー〜佐川美術館



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琵琶湖の畔、佐川美術館
今日も雲ひとつない晴天炎暑である。




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琵琶湖を模したような水面が涼しげ。



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蘆の向こうは楽吉左衛門当代が設計した半水面下の茶室がある。何度か拝見しているが、今回の目的はそれではなく、、、



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田中一村展

彼の名前をはじめて知ったのはもうかれこれ20年くらい前になるかな。大阪で展覧会があった。主に奄美時代のTHE 一村、というあの絵がメインで、もう見るだけでむせかえるような亜熱帯の空気を感じ、圧倒されたのだ。




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その時に買った絵はがきを(右の2枚、左の図録は今回買った)まだ持っている。




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今回は生誕110年、ということで天才といわれた子供時代から、南画の時代、琳派風の時代、と奄美で開花する以前の作品がメインで、ちょっと物足りなかったのだが。



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小さい頃から絵の天才といわれて育ったが、院展など大きな賞をついにとることができなかったのが契機で奄美大島へ移り住んだ。




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紬工場につとめて生活費をかせいではいたが、奄美での生活は極貧であり、その中で絵を描くことを是とした一村、ついにあの熱帯の絵を開花させるのだが、その作品は生前あまり世に出ることはなかったのだ。(昭和52年69才で亡くなる)




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展示では、奄美に移り住む前の千葉時代の絵が多く、あの奄美の絵を予感させるような絵も何点かあって、特に植物と鳥の絵は写実的ながら、色がビビッドで美しい。
とりわけいいな、と思ったのが「秋色図」。ツルウメモドキとか山葡萄とか小さい枯れた実がびっしりと細かく書かれているのと、紅葉した楓の葉の深い赤。

(一村の画像はここでたくさん見られます。秋色図もあるよ)




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でもなんといっても奄美時代の絵がやはりすばらしい。色彩と構図に圧倒される。

写実から琳派っぽい絵になって、構図はむしろアバンギャルド。
やはり熱帯の不思議な絵を描いたアンリ・ルソーを私は思い出す。でも一村の方が好き。


今回の展示にはなかったのだが、ビロウ樹や蘇鉄の葉っぱがこれでもか、と画面一杯に描かれている絵もいいなあ。




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これこれ!(図録の裏表紙)

これも覚えているわ、20年以上前に見たことを。
「アダンの海辺」

スコールでもきそうな、不安な色の雲や、空、その下にたわわになるアダンの実。

ちなみにアダンというのは熱帯の植物で、その実は食べられないこともないが見た目ほどおいしくないのだそうだ。





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当時大きなアダンの実に目が行って、ディテールを見落としていたが、この絵の下の方、砂浜の描写が実はすごいのな。これは実際に見てもらわないとわからんと思うが。波の描写もすごすぎる!

見終わって、一村に再会できてうれしかったが、やっぱり奄美時代のをMore please!




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美術館のカフェでは天井に映る波紋が美しい。



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さて、この琵琶湖大橋をわたって、帰ろうか。
(堅田から守山方向では車の走行音が「琵琶湖周航の歌」になるのよ。メロディーロードという)




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