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2023-10

京都市学校歴史博物館+d.d.cafe - 2018.08.29 Wed

京都の小学校と言えば、なんといっても日本で最初の学区制小学校である番組小学校が作られたことで有名(明治2年)。この番組という単位は学区だけでなく、消防などの地域の自治機能もそなえたものなので、けっこう現代にいたっても、その地域の結びつきは強い。

初対面の京都人にはまず「どこの学区?」と聞かれるとか聞かれないとか。(いや、冗談ではなく、ほんま)



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その歴史ある番組小学校も子供人口が増えたり減ったり、特に平成に入って洛中の子供人口が激減したドーナツ現象で、学校の統廃合がはげしく、初耳の名前の小学校があちこちにできてびっくりする。

その由緒ある番組小学校の創設に関する資料や、戦後の学校制度の改変まで、また改変以後(ここらへんうちらのリアルタイム)の、学校に残された教科書、教材、当時の貴重な写真などを展示するために平成10年に、元開智小学校(下京第11番組小学校)の校舎を利用して作られたのが京都市学校歴史博物館である。

(ちなみにこの正門は国の登録文化財になっており明治34年のものだそう)



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御幸町高辻上ルなので、四条河原町から充分歩いて行ける。前から行こう行こうと思いつつ、やっとたどりつけた。




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校庭はよその廃校になった明倫や(在りし日の)立誠などのそれとかわらない。

京都には教育に対する熱心な思いが江戸時代からすでにあり、幕末の頃から学校を作ろうという気運は早くも盛り上がっていたらしく、その会所のひとつが画家の森寛斎の家だった、というのは意外だったな。

番組小学校は当初、地域の人がお金をだしあって、場所によっては番組小学校会社を作って運営していたそうだが、明治16年の国民学校令により国民学校となったのちも、その番組というルーツは戦後まで続くのである。




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のっけから、番組小学校が持っていたお宝=楠部彌一(錦林小・うちの学区)とか近藤悠三(清水小)とか魯山人(梅屋小)とかほんまのお宝が、小学校にあった、ということからもどれだけ京都の人が小学校を大切にしていたのかがわかる。



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このきれいなモザイクタイルの階段も、小学校=教育にお金をかける!という地域住民の心意気か。ちなみにこの学舎は昭和10年のもの。



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展示では明治の初頭から終戦後までの教科書が、1.6倍の大きさのコピーでおかれていて、めくれるようになっている。これがけっこうおもしろくて、国語のみならず社会や地理、科学、音楽、修身の教科書までじっくり見てしまった。特に戦前の戦争色が強いものは時代を感じさせてせつない。

「おかあさまが絵本をよんでくださいました。」「お客様にお茶をはこんだのでほめられました。」「(友だちが自分の持ち物を壊したら)こわれたものはしかたがない。ゆるすこともだいじです。」「きものの帯はきちんとむすびませう。」、、、

こんなきれいな日本語で教育されていたら、どんなに美しい言葉で話し、どんなにしつけのいきとどいた子供になったことだろう。戦後教育の善し悪しもかんがえてしまう。




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戦後のいわゆる「墨塗り」の教科書もあり、また、全編ローマ字という奇異な教科書もあった。これはGHQが日本語を廃し、日本人に英語を使わせようとした戦略だったとも言う。(そうは問屋がおろさない。複雑微妙、言語としてかなり高等な日本語は、全部で26文字しかない英語なんかに駆逐されないのだ!)

戦時中の小学校で当時の小学生が書いた作文の実物が展示されていて、父親の出征の事が書いてある。よく勉強をして、絵を描いておとうさまが帰ってきたときにほめていただこう、、、けれど父は帰ってこなかった。また、日本が戦争をすることになった、とラジオがいっていたと学校が騒然とするようすを書いた作文も。




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(うわ、懐かしい。この画調は私が小学校の頃の教科書や絵本でよくみたやつや)


また尋常小学校のころは10才で卒業であり、その卒業生が書いた卒業式の答辞が7割漢字で、こんな字、私でも書けんわというような字を書いている。昔の教育はものすごかったのだなあと実感する。そりゃ、当時の知識人の教養はいまの大人とは全然ちがうのもむべなるかな。




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(やっぱりあった、二宮金次郎さん)


給食コーナーでは私がリアルタイムで使っていた三つへこんだおかずをのせるスペースのあるアルマイトの皿がならんでいて、これも懐かしい。

最後に番組小学校が誕生した明治2年から現在に到るまでの統廃合の図があって、ああ、あの小学校はなくなったのか、とか、あれは聞いたことないと思ったらごく最近できた学校か、、、とこれも興味深く見る。
それにしても旧番組小学校の命名はすごいなあ。
乾隆、待賢、翔鸞、嘉楽、銅駝、、、昔からの土地名でつけたものもあれば、当時の京都知事槇村正直が漢籍からつけたものもあり、平安時代の坊城名からつけたものあり(銅駝とかね)、イマジネーションがふくらむ。きっと在校生も誇りに思っただろう。それに比べると統合された新しい小学校の名前はひねりなさすぎ、まんま。(ちなみに我が学区、錦林は当初錦織だったということもはじめて知った。)

ゆとり教育とか今の日本の教育行政はあまりに場当たり的で、明治の頃の教育に対する情熱と理念のなさが危機感をつのらせるよ。





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ちょっと勉強したので?、ここらで休憩。
歩いて行ける仏光寺、その境内にあるD&Departmentのカフェへ。




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ここはお寺の茶所(参拝者にお茶をふるまっていたところ、だからオリジナルの使い方にもどったってことか)



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軽食もいけるが、普段使わない頭使ったので,今日は糖質補給(^_^;



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ここのショップもおもしろいよ。




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