野村碧雲荘茶会2018〜美術館開館35周年記念 - 2018.11.21 Wed
野村美術館開館35周年記念で、いわゆる南禅寺別荘群の雄、広大な碧雲荘(重要文化財)にて茶会。
野村美術館のセミナー会員や、野村得庵とゆかりの深い藪内流の方々、野村家にゆかりの方々、などを招いて5年に1回おこなわれる。
前回きてからもう5年もたつのか、早いなあ。オリンピックより長い。次回また5年先はいくつになっているのだろう、、と勘定しておもわずぎゃ〜!とおののいてしまった(^_^;
ここへ入るのは茶会以外も含めて3回目(最初は野村の大株主ご接待のご相伴)
普段は非公開、一般人には開かずの庭園なのである。
不老門をくぐっていざ!
まずは大きな池越しに見る紅葉した東山の絶景、借景として永観堂の多宝塔もとりいれているスケール。
写真をお見せすることができないのが残念なくらい手入れの行き届いた池泉回遊式庭園はやや浅いながらも紅葉が見事で、あちこちに点在する数寄屋の茶室や疏水から引いた小川のつくる滝や流れが、その景色に入ると、ちょっと夢見心地くらい美しい。作庭はもちろん植治。
ここに一体いくつの苫屋、茶室、があるのか正確にはその数をしらない。書院だったり、侘びた小間だったり、舟だったり(蘆葉舟)、そのタイプもいろいろ。
池をのぞむ待月軒にて谷館長のご挨拶、それから野村證券の社員さんとおぼしき人たちに先導されてまずは花泛亭・書院で濃茶席。
野村得庵は茶の湯を藪内の家元に師事したので、そのゆかりでお点前は(前回は当時、若であったが)藪内のお家元。
お正客が藪内の偉い先生だったらしく、私の席は藪内率が異常に高かった。濃茶の時にいっせいに多数の方が藪内の横長の大きい帛紗をだされたのであせったわ。アウェイ感高い。
半東(?)に野村の学芸員Tさん。道具の説明がさすがに、茶人のそれでなく、学術的で正確、時代考証も検証済、といった感じで、質問には、うてばひびくようにお答え下さるのがスカッとする。
寄付の掛け物は「宗旦所持の灯籠と蹲居をお譲りする」という添え状、表千家11代碌々斎。最終的にこの灯籠と蹲居は得庵がゲットして、碧雲荘内にあり、これは茶会おわりに見せてもらった。
本席が無準師範(光悦会で消息見たばかり)の「葺」
美術館がリニューアルオープンしたのに掛けて、屋根を葺きなおした、、の意味をこめたそう。
花入は野村家所持の伊賀、わりと素直な感じ。
雲州蔵帳の呉須赤絵菊兎香合はよく展示でも拝見した。
水指がこの前リニューアルオープンしたての展示でガラスの向こうに拝見したばかりの、あのムガール帝国産(これも諸検査で確実に判明)の南蛮毛織抱桶ではないか!今日は実際に水をたたえて、ちょっとほんまに冷たいかどうかさわりたかったが。やはり金属なので、水が外に結露して、畳をぬらすのをおそれたのか、のちに日本で小さな足がつけられたのだそうだ。(西本願寺伝来)
茶入は中興名物瀬戸玉柏手、銘「芦垣」印象はやや薄いが、載っていたお盆が、天川四方盆。
主茶碗・坂本井戸、茶杓・西本願寺伝来 豊公共筒(秀吉さんがけずった)
坂本井戸はさすがに展示だけだったが、正客ののまれたのが鉄鉢型の大ぶりな青磁。北宋・汝窯の箱があるが、そこは学術的検証の結果、鈞窯(北宋・汝窯から少し離れた場所)青磁らしい。雨過天青の色がとても心惹かれる。これは20世紀初頭に仏教伝来のルートを学術調査するためにシルクロードを旅した西本願寺22世大谷光瑞がその時に持ち帰ったものだという。
私がいただいた茶碗は摂津の高原焼という江戸初期の焼物、はじめて聞く名前。一見胆礬のない黄瀬戸の様なイメージで、写実的な菊が釘彫りされていた。
濃茶の後は大書院にて点心、三友居さん。
この煮物椀の椀種、カラスミがなかに入ったお餅でとっても美味しくて感動。
大書院は昭和天皇ご大典のおり、京都に滞在された久邇宮邦彦王(香淳皇后のお父上)の宿泊場所として得庵が建てた物だと聞いた。欄間のザ・琳派!という扇面図は神坂雪佳。
ここは向かいに能舞台が建つ。茶の湯と同じくらい能にのめりこんだ得庵であるから。下に音響をよくするために埋められた甕がみえ、床は3cm近い厚さだという。残念ながら最近は能舞台として使われたことはないという。もったいな〜。
庭園の紅葉を楽しみながら、ところどころに隠れる様に立つ茶室ものぞきながら、最後は中書院にて薄茶席。
前回は四阿みたいな立礼席で野村家の方(上品なご年配の女性)が席をもたれたが、今回野村家の若いお嬢さんがお点前。あれ?裏千家流?(^_^;
半東がこれもサプライズで面識のある粟田焼の安田様であった。それに点出もお茶友の才媛M女史が!思わずリラックスした楽しい席になった。
掛け物がこれも茶室には意外な上村松園の美人図。美しい!中回しが打ち掛けの紋様?とおぼしく見えて、より美人をたおやかにつややかに見せる。
釜が初代寒雉の瓢箪型雲龍、鐶付がかなり下にあって、安定悪そうだがそこはバランスをとって底を重くしているのだそうだ。
飾りおきの茶器が原羊遊斎の秋草尽蒔絵
どこが秋草尽くし?と思うくらい遠目には青貝の虫しか見えないのだが、近くで光にすかしてみると、黒い漆で秋草が浮かび上がる趣向、夜桜棗の技法だね。蓋をそっとあけると蓋裏と蓋の立ち上がりにびっしり雪花紋が描かれているのにはどきっとした。秋草の季節の後に来る冬を暗示しているわけか。さすが不昧の愛した羊遊斎!
茶碗は野村の所有する名茶碗のオンパレード
飾り置は黄伊羅保「武蔵野」
正客さん、次客さんにはめずらしい了入の黒赤入れ子のペア。中の赤楽がかわいいと評判。いずれも数印。
数ある中で私がいただいたのは永楽和全の金海写し、これはなかなかよかった。
他にも御本雲鶴、保全、虫明、陳元賓、明平焼、御菩薩焼など、なかでも古高取「女郎花」はビックリするくらい軽くて薄造りでよかったわ。
最後に「粟田焼は?」と思わず冗談で聞いたら、ちょっと照れくさそうに水屋から茶碗をだしてきてくださった。しかも今日の思い出に、と待月軒からの碧雲荘の眺め〜池と東山の景色を写し取った絵付けが!二羽の白鳥もいて、これには拍手喝采であった。
(左手が碧雲荘の生垣)
茶会がおわれば三々五々、庭園内を散歩、あまりに美しい景色に、辞するのがほんとうに名残惜しかった。
帰って茶会記を見直しながら美しく佳きひとときを反芻す。
ああ、別世界、、、

おまけの画像は碧雲荘のお隣にある旧・細川家別邸、現在は某企業が有する。ここの紅葉はいちはやく見事な真っ赤になるので楽しみなんだ。(私が学生の頃はすごく荒れ果てていた記憶が、、、)
ちなみに締めていった帯は更紗紋、最近のお気に入り
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● COMMENT ●
高兄様
これはほんま絶品!
でも家で作ろうと思えば作れるかも〜♪
でも家で作ろうと思えば作れるかも〜♪
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餅の中に、カラスミ!!
それは、食べたいっ^^
花より団子
紅葉より餅、の高兄でございました