師走の宇治茶事〜縣神社 - 2018.12.14 Fri
宇治橋からみる朝の宇治川は今日はわりと穏やか。この眺めは好きだな。
橋を渡って平等院へ行く方向をちょっと東にずらすと縣神社(あがたじんじゃ)の参道になる。
御祭神は木花開耶姫、茶業の盛んな宇治では一年の作業のしめくくり(茶摘み後製茶がおわる)の6月はじめに、開放感にひたった男女がここでつどって(雑魚寝ともいう(^_^;)夜には「暗闇の奇祭」とよばれる縣祭がおこなわれるのである。
こちらがその縣祭で渡御する梵天
こちらの神社の社殿のなかには、藪内十二代猗々斎の作った燕庵写しの茶室「棠庵(とうあん)」があり、ここで本日、藪内流の若き亭主のお茶事、ひさしぶりだ。
棠庵は正確には燕庵写しとはいえない四畳半台目、点前座の亭主の向こうに下地窓が上下にあって、午前中の朝日が入ってくる時間ゆえ、とにかく明るい。
「源流茶話」や「真向翁」の著作で有名な藪内中興の祖・竹心の達磨さんの画賛ににらまれながら、炭出前。藪内独特の霰灰と角のハマグリ切り(正確にはなんというのかしらない)、そして枝炭を真上にのせるのな。昔は釜の底でこれをごりごり割って、火つきをよくしたとか。ワイルドだな〜。
楽の一文字香合・香炉釉雪華紋がしぶくて好き。
この日のお客様は藪内さんが正客様1名のみ、あとは表さんとお裏さん。藪内の懐石での作法も興味深い。ご亭主君は(息子より年下なので君付け〜)自宅が卸売市場の近くなので、新鮮な食材を調達してきて上手にお料理される。
汁が白味噌の蕪みぞれ仕立てで美味しかった。
あとは酒盛り合戦の様相を呈して(ごいっしょしたEちゃんと、Y君が競って、汁椀の蓋で酒を飲む、という(^_^;)でてくる強肴ももろに酒盗で困ったもんだ(ちっとも困ってないが)。
ちなみにでてきたお酒の名前が「憲法と人権」というのでまた盛り上がりの種を作っておった。(かの佐々木酒造、京都弁護士会コラボの日本酒)
お菓子は、老松さんの雪餅みたいな(銘忘れた)つくね芋の練り切り。そして中立。
待合の花(針があるので鳥がとまることもできないので、「トリトマラズ」という名の照り葉。この季節この木はよく使われる。)
濃茶席の花は竹の広口切りに紅色の妙蓮寺椿のつぼみ
替え茶碗の宗入がよかったな。しろっぽい筒茶碗のようなでかい茶碗だが、宗旦の瓢花入ゾロリの上をスパーンと切ったような、ちょっとゆがんだフォルムが萌えポイント。(おそらく太公望を意味する銘あり)
一度席をあらためて薄茶席 墨蹟窓にビナンカヅラ。織部の意匠だったと思うが、この茶室は窓が多くて、しつこいようだがひたすら明るい。お手製の州浜を菓子に、祥瑞や妙全さんやら楽しいお茶碗がたくさん。時節柄、暦手もあり。
それにしても亭主君は茶事の亭主として、(上から目線ではないが)以前来たときよりはるかに成長を感じた。前回来たときと同じお道具があったが、説明の仕方がバージョンアップ、うん、勉強したんやね、と親心的に感動。若いってすばらしいね。伸びしろが違う。
お開きのあとは、凍えるくらい寒かったのに、とても気持ちが晴れ晴れしたので、徒歩5分くらいの場所にあるこちらへも足を伸ばしたのである。
これにて今年の茶事はすべておわりとなりました。
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