fc2ブログ
topimage

2024-02

「茶の湯の羽箒〜知られざる鳥の文化誌」〜下坂玉起・著 - 2018.12.24 Mon

下坂玉起



下坂さんと茶の湯の羽根については、茶道文化学会でうわさはよくお聞きし、彼女から自作の羽箒をもらった、という茶友もいて、ずいぶん親しみを覚えていたのだが、いまだ面識はないものの、ついに本を上梓されたか!と、待ちに待った、羽箒の本である。

茶道具としては、なにせ生物由来であるから古い物はあまり残っておらず、語られることはあまりなかったので、これは画期的な本だと思う。

「羽箒は茶人みずから作るもの」

利休の時代から、そういわれ、多くの茶人が茶杓と同じように自作していたものが、現在ではすたれてしまった。(遠州流宗家の先代など、自作されていた方もおられるようですが)

私はそういう意識無しで、たまたまよい羽根を手に入れたので作ってみようと思ったのだが、柄の留めをどうするのか、掛緒をつくるのか、羽根の重ね方はどうなのか、紐の結び方は???とわからないことだらけで、流儀のやり方はあるのだろうが、どこにも成書がなく、お稽古用の羽根を見ながらみようみまねで作ってみた。




DSC03970.jpg 



左の不細工な3本が自作、右の3本が買ったものである。
分厚い本にはさんで重しをかけてもまっすぐにならず、こんなにかしいだままであるが、プロはこれをどう処理しているのか、までがこの本にあったので、もっと早くに読んでいれば!と残念に思った。ところが、読んでいくうちに利休の時代にも羽根のカーブをそのまま生かした羽箒もあったと書いてあって、うれしくなった。もちろん、ここまではゆがんでなかったと思うが(^_^;

(ちなみに自作の両端はタンチョウの右羽、左羽、真ん中は木管楽器の中を掃除する白鳥の羽根、安かったんだ、これ)



DSC03968.jpg



3枚羽根がそろわなかったので、真ん中に違う羽根をひそませたのだが、そういう作り方もあったとまで書いてあって、快哉を叫んでしまった。

下坂さんは茶人でもあるかたわら、日本野鳥の会元探鳥会リーダーであったという経歴ゆえ、茶の湯の羽箒の元の鳥種へのご興味が強く、それが病膏肓に入る(失礼!)レベルでの研究になり、その成果がこの本になったという方である。

単に羽箒として認識していたものを、鳥の解剖学から見てみると、というのは誰も思いつかなかったことだと思う。羽根に初列風切、次列風切、、などという名前があることすら知らなかった。鳥の種類によっては、どこの羽根かで全く別鳥、みたいな違いがあることも。

そして3枚の羽根の重ね方や、柄の竹皮の巻き方、巻き留めの位置、竹皮の折り返しの端の切り方や、捻ってとめるか、折り返すだけか、紐の結び目の位置は、掛緒の付け方や有無、それらの流派の違い、が図解された最初の数ページは茶人必携の資料ではないかと思う。

茶道史上有名な茶人の羽箒を文献的、あるいは数少ない現存するものを見ての考察は興味深く、これほど茶人達が茶杓と同じくらい心いれをして作ってきた羽箒が、なぜ今まであまり語られてこなかったのか、不思議なくらいである。
遠州なんか、羽箒をたのまれて作ったのに出来が良かったから1本ちょうだいね、なんていうエピソードにはほのぼのしちゃう。

自作して最後まで解決しなかった羽根をまっすぐにする方法が、熱を加える、のであって、熱を加えると痛みそうな気がしていたのに、コテまで使うとは知らなかったわ。

後半の章はその鳥種についての、バードウォッチャー、研究者としてのお話し。

炭手前では「お羽根は?」「鶴でございます。」などという問答があるのだが、鶴などわかりやすいのから、青鸞(せいらん)というナンの鳥か想像もつかないもの、唐国鳥(七面鳥)みたいに名前から鳥種を想像できないものなど、さまざま、その価値もわからないままであったが、言われたときにこの本を参考にすると、よくわかると思う。
個人的にはシマフクロウとか欲しいな。烏の名前が斎名の某お家元のところで見た烏の濡れ羽の羽箒も美しかったので、うちの近所に多数すくってる烏が羽根をおとさないか、狙っているのであるが。


この本を読んだことを機に、多くの茶人の羽箒への関心がさらに高まることを祈る。茶杓作り講習会もあるくらいなので、羽箒作り講習会も是非ひらいてもらいたいものだ。



DSC03967.jpg



最後に、私が購入した、5寸の短めの両羽の羽箒、千家系(切留がとがっている)ではないのは確実だが、どこの流派かこの本と照らし合わせても依然不明。遠州か石州あたりだと思うが。結構ヴァリエーションはあると思われる。




関連記事

● COMMENT ●

羽箒

ドイツ在住のアラ還です。
縁あって、数年前にお茶(裏千家)を始めたものの、お茶道具は手に入らないものが多く、羽箒も七面鳥の羽を手に入れたものの、竹に串を刺したものの作り方もわからず途方に暮れています。見本もないので、本当に困っております。
詳細なる作り方を教えて頂けないでしょうか。
何卒宜しくお願い致します。

Midori Naito 様

私のは全くの我流なんであまりマネなさらないほうがよいかと思います。
ただ材料も使わないで簡単に、ということであればお試しください。ただし市販の羽根のようにぺたんとまっすぐ置けないという問題はあります。(熱こてでまっすぐにするらしいけどこわくてできない)

本来は竹に串を使うようですが、私は羽根の根元の堅い部分の丸みをナイフで削って3枚重なるようにして、竹の皮(食材店で入手 おにぎり包むあれです)をはさみで展開図を想像しながら切って、羽根の根元をくるんで水引で締めた、というとっても簡単なもの。裏千家は根元が斜めになりますが、羽根をずらしてかさねると自然に斜めに。まっすぐの流派もあるのでそこは適当に、、、

で、参考になればよろしいのですが。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/1134-b2162f0f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

お茶のおけいこ・2018 «  | BLOG TOP |  » 恒例・師走の北野天満宮界隈2018

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (15)
茶の湯 (412)
茶事(亭主) (86)
茶事(客) (179)
茶会(亭主) (18)
煎茶 (10)
京のグルメ&カフェ (96)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (111)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2024 (3)
京都めぐり2023 (33)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (15)
美術館・博物館 (147)
奈良散歩 (131)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (61)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2024 (1)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (12)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (14)
中国茶 (49)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (2)
御所朝茶 (4)
熊野三山巡り (2)
有田2022 (1)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (6)
信州旅行2023 (2)
京都モダン建築 (3)
春日若宮おん祭2023 (3)
春日若宮おん祭2022 (3)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR