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2023-10

タライ・ラマ師の「日本食」茶事 - 2019.01.14 Mon

昨年中はイタリアン茶事、たこ焼き茶事となんどこちらに通ったことでしょう。



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訪れるたびにグレードアップする腰掛け待合い。
今年も新年早々お招きにあずかり恐悦至極でございます。

タライ・ラマ師こと二つ名を持つお寺のご住職、その意味は拙ブログをお読みの方ならもうご存じかと。(


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このたび、イタリアン、たこ焼きに加えてあらたな試み、「日本食」懐石をお出し下さるとのこと、そも、日本食とは如何?
いわゆる日本食(ラーメンとかカレーとかふくむ)と違って、こちらでの概念は、砂糖をあまり使わず素材の味を大切にする料理、自然食に近い?とお聞きしました。さてさて、、、




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まずは藪内流の炭手前。
私の茶友さんの藪内率の高さは異様なので、なんだかすっかりお馴染みになっているこの霰灰と隅のハマグリ(四隅につける山みたいな)、パイナップルスライスみたいなかわいい輪炭。種炭と胴炭の間を埋めていくように炭をつぐのも独特。(ちなみに藪内の歴代宗匠のお名前も漢字で書けるぞ!裏千家の宗匠はうろ覚えなのに、、、(^_^;)




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さて、いよいよ日本食懐石のはじまり。
ご飯が小豆入りの玄米、シャリシャリ感と噛めば噛むほど甘い。
汁は味噌でなく、塩麹を使ったもので、やさしい味でした。汁替えのときに浮き実が菜から絹さやにかわっていたのも芸がこまかい。



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何回でも使える(^_^;マグネット式の樽もふたたび登場、お正客様による見事な?鏡開き。

お正客様の向付が垂涎の古染でありましたが、富士山の形という珍しい物。
私の向付が高取で釜が茄子釜、、、とくれば、「一富士二鷹三茄子!」おお!
ちなみに四が扇(末広)、五が煙草(煙は上昇する)、六が座頭(毛がない=怪我ない)なんだとか。



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替え茶器になりそうなこれは細川家が作らせたという小代焼だったかな。中に入っているのはフグの白子o(^▽^)o お酒がすすんでこまります。これまた垂涎の鶏龍山の酒器(とっくり)は一体どれだけはいるのだろう、かなりたっぷり入っていましたが、酒飲み組できっちり空にしておきました。

ちなみに待合の掛け物が良寛さんの実弟・山本由之、本席のお軸が良寛さんの消息だったので、お二人の郷里・越後のお酒をご準備くださったよし、さすが米所のお酒は美味しいです。




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日本一ピースサインが似合うご住職との異名もございます。おちゃめなタライ・ラマ師。
山芋を牛肉で巻いた物や、このミニ寿司や、、、



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最高においしかったのがこのスッポンの煮物椀。
濃厚で、それでいてやさしく体もすっかり温まりました。
本日の懐石のご担当は板宿のたかはらさんということです。

自然食、というと粗食っぽいイメージだけれど、今回の食事は体を気づかいながらも食材や味わいは豊かでたいそう美味しかった、日本食というのがおぼろげながらイメージできるような、まだわからないような。

ということで、毎度イタリアンの時に心配しているブイヤベースの塩笥(絵唐津)は出てきませんでした(^_^;(油が貴重な古唐津にしみこまないかとみんな気をもんでいるの)




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出光美術館にありそうな古唐津の大きな陶片の菓子皿で、花びら餅。
お正月に花びら餅を何回もいただけることはありがたいことです。本来裏千家限定ですが、本日のお客様はお正客様以外みな裏千家なので、うれしいです。



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中立のあとのお鳴り物がこれ。お寺さんならでは。

もうすっかり(お酒で)できあがってしまって、以下の記憶は若干あいまいでございます、とお断り。


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花は仏手柑。親交のある唐津の陶工さんが届けてくださったものだそうです。
古唐津のコレクションが嵩じて、あげくに唐津とのえにしを深く結ばれた和尚様なればこそ。
和尚様はここ数年、唐津やきもん祭で釜を掛けられており、昨年は参席がかないました。素晴らしかった!

花入はスマトラのバタク暦だったか?竹の筒にびっしり暦が書かれているめずらしいもの。

濃茶はどっしりした西本願寺伝来の真呉器でちょうだいしました。
茶杓が普通のものより長く、節無し、しゅっとした拭き漆?で、印象的。これは利休スタイルが定着する前の、竹の茶杓の揺籃期に作られたものだそうで、筒に「はねふち」。紹鷗の茶杓師・羽淵宗印のとだったでしょうか。



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薄茶の干菓子が出てきたときにはもう、皆様歓声です。
これは唐津やきもん祭りの時にも使われ、私も買って帰ったところの唐津陶片煎餅!(中里太郎右衛門さん監修で作られた煎餅、味もしっかり美味しい)

さらに和尚様のお蔵の深いところではありますが、お客さまが選んだ陶片と同じ紋様の御茶碗をそれぞれに出して下さるという芸の細かさ。



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そっくりの紋様のものもあれば、私が選んだ沢瀉のように(唐津で買ったお皿が沢瀉文だった。わりと絵唐津ではポピュラーな柄)、茶碗にお茶をいれると沢瀉が浮かび上がってくるものまで。



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お茶を飲み干し、しばらくすると乾いて沢瀉が消えていくのです。
これは、唐津の土が砂岩であるという証明で、以前和尚様の古唐津の勉強会で拝見し、強く印象に残った物であります。また相まみえることができて非常にうれしい。




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お点前を最近お茶を習い始めたご子息にまかせて、しばしお茶道具談義、火入れか何かの話で染付の話題になり、以前から区別がつかない染付と呉須(呉須青絵、もしくは呉州・福建省あたりの民窯で明末に焼かれたもの)の違いを尋ねたならば、、、、




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なんと現物がでてきたではありませんか!
説明だけではわからないものも、百聞は一見にしかずとはこのこと。色も高台もずいぶん違うのね。たまたまお尋ねしただけなのに、それがさっと出てくるこの感激。
日本からの注文ではない古染が伊万里とどう違うのかのご説明も受け、ありがたいことであります。

さて、このように美術館クラスの茶道具を拝見できるのが通ってしまう理由の一つでありますが、そういうのをおしげも無く使って下さるという、太っ腹で、おちゃめな和尚様のお人柄がなにより魅力的であるから、というのは言うまでもありません。
本年もまた何度でもお招き下さいマセ〜!ありがとうございました。




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● COMMENT ●

しぇるさん、こんにちは

先日は、おおきに

しぇる姉御が、その場に居られるだけで

空気がやんわり対流するのがわかります^^

場持ちが、違うんやなぁ~

普段の茶事での、御経験も色んなところに活きてるんでしょうね

食いしん坊の私、すっぽんに釘付け^^;

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高兄様

このたびはありがたい機会を作って下さってありがとうございました。
場の雰囲気云々はわかりませんが、こうやって京都ブロガーのみなさんを、お引き合わせ下さる能力(?)は素晴らしいと思いますよ。すべて高兄さんのブログの発信力、クオリティがベースになってますね。

はい、すっぽん、最高〜♪

鍵コメ様

こちらこそ、素敵なブログを発見、拝見ですわ。
ご縁をありがとうございます。
京都好きにもそれぞれ好みがあって、違った角度でみたり、スルーしてたことの魅力に気づいたり、いろいろ楽しいですね。今後ともよろしくお付き合い下さいマセ。お土産、ありがと!!


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