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2023-10

薬師寺花会式のつくり花〜つくり花を奉納される家 - 2019.01.22 Tue



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ええ〜っと、これはまだ夕方の6時頃です(^_^;
人っ子一人いません。お店もたいがい閉まっています。これが奈良です。困ったところでもあり、良いところでもあるのです。

さて、今日は京終さろんという奈良にまつわる興味深い講座を聞きに、ならまちの南の端、璉城寺まで。

今回のテーマが薬師寺花会式(修二会)のつくり花を奉納されている二軒のお家の方のお話、ということで、どうしても聞きたかったのです。
花会式といえば、9年前には花会式法楽を見に行って、はじめて薬師如来を荘厳するおびただしい色鮮やかなつくり花を見て圧倒されたのでした。

東大寺の修二会(お水取り)は十一面観音悔過ですが、薬師寺は当然ながら薬師如来悔過、3月末に7日間行われ、結願の日には鬼追い式もあります。4年前、夕刻寒いお堂に1時間缶詰になって(法要の間出入り禁止)法要を見て、鬼追い式も見て、結願うどん(参籠者にふるまいがあります)食べて、松明の燃えさしをもらって帰ったのも思い出深いです。(花会式結願〜鬼追い式

その本堂を飾るつくり花は10種、合計約1700本!その荘厳の様子は薬師寺HPで見てください。
これだけの花をたった二軒が作っておられる、ということにびっくりしませんか?私は衝撃をうけました。




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まずは薬師寺の若いお坊さんから花会式の説明を聞きます。修二会は奈良時代から行われていたけれど、今の形に(花で荘厳する)なったのは1107年、堀川天皇の御代だったそうです。
いよいよ、実際に花をつくられている橋本家、増田家のお二人にお話しを聞きます。



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(これは菊になる材料)

正暦寺(このまえ行った山辺の道に近い)近くにお住まいになる橋本家は当代で4代目、かつてはお寺の住職だった家柄、大正時代に帰俗して現在は兼業農家。ご家族が10人と、恵まれているので1月〜3月の農閑期に短期集中で花つくりをされるそうです。

ご担当は梅、山吹、椿、牡丹、菊、藤で合計996本




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(菊の花の作る過程)


もう一軒の増田家は寺侍とか神主であった御家柄で、現在お母さんとまだお若いお嬢さんのおふたりで作られているそうで、人手が少ないため、1年を通して作業をされているとか。こちらも兼業農家で、お家は薬師寺のほん足元、お花を納めるのも徒歩圏内。できたたくさんのお花を持って薬師寺まで歩いて聞く景色がまた風情があるとか。

ご担当は桜、桃、杜若、百合の720本。



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ここからは、それぞれお花を実際につくるところを拝見。
これは桃の花びらを型で抜いたあとの和紙。

橋本家では和紙を染めるところからされており、増田家では近年、お水取りの糊こぼしの紙を奉納していることで有名な京都の染司よしおかさんに染めは依頼されているとか。

材料の和紙一つ取っても、花の種類によって、美濃和紙、因州和紙、杉原紙、仙花紙、、、など変えているそうです。



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接着剤も両家独特で、これは橋本家のご飯粒をつぶした糊(続飯・そくいい)。ふつうのご飯なのにすごい粘り気で今更ながら驚きました。しかも市販の糊にくらべるとすぐに固く接着する即効性があるのですね。
対して増田家では餅米の粉を水で溶かして、用途に応じて固くも柔らかくも作れるのだそうです。




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これは増田家のお母さんが、一つ一つの花弁を手のひらで、いため棒という道具を使って、桃の花びらに丸みをつけているところ。桃だけで300それ掛ける5で、、、気の遠くなるような作業です。

花の茎には真竹を使うそうですが、荘厳したときに花が下を向かないように彎曲をつけられるような竹がなかなか入手しにくいとか。撓めているときにポキッといくとそれまでの作業がぱ〜になってしまうのです。



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完成して奉納する直前の増田家の座敷、美しいわ〜。スライドで、搬出ときの両家の様子なども見ることができ、貴重な様子を拝見できました。橋本家のおじいちゃんが、搬出前に受け取りに来たお坊様と一緒に必ず手を合わせて送り出される様子が、ステキでした。このお役目に誇りと使命感を持ってはるんやな、と。どんなにたいへんな作業だとしても。

それから数種類のつくり花を実際に手に取ってみせてもらいました。



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牡丹(赤)、他にピンク、霜降りもあり。



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どうです?この花びらの襞。これも一つ一つ手でつけるのです。



DSC04493.jpg 



百合(赤)他に白、ピンク、樺茶
花びらの土台となる部分の接着が漆なので、かぶれてたいへんだったこともあるそう。
めしべはタラの芯(タラノキ?)、おしべはおくどさんの煤で黒くしてあるとか。



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紅梅白梅に紅桃白桃



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白桃
このおしべ!
鹿のお尻の毛を束ねた先に黄蘗(キハダ・漢方の陀羅尼助の原料)の粉をつけたもの。



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なんて繊細な!



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こちらはつくり花用の道具の数々です。



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これらのつくり花が、春の奈良、御堂を荘厳するさまを拝見するとき、これからはかならず両家のご家族のことを思い出すに違いありません。



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春が待ち遠しい、、、。



薬師寺花会式(修二会):3月23日花さし〜24日〜31日お花が見られます。



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レジュメの最後にどこにどの花が飾られるか、実際に花会式にきて書き込んでね、というページが。
今年の花会式はもう、じっくり花を見ないことにはおさまりませんね。行きますよ!



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