一客一亭の茶事〜客 - 2019.03.09 Sat
先月、はじめて一客一亭の茶事の亭主をして師匠をお招きしたが、お返しに本日は一客一亭の客としてお招きいただく。

西のかたへ。
春本番の陽気といってよいこの日は、空も真っ青、茶事日和である。
お雛様が飾られた待合はいつも広間の茶事・茶会をする茶室であるが、この日は待合に。ちょっとめずらしい焼物の煙管などためつすがめつ拝見するうちに案内をうける。
腰掛け待合いはこの縁側である。円座一つがうれしいのである。
陽の光も植木の影も、もはや春ただなか、ぽかぽかあたたかくて、、このままここで昼寝なんかしたら最高にシアワセかも、、と夢想する。
縁側沿いに置かれた大きな鉢を手水に、並びの四畳半に席入り。いつもより軽やかでシンプルな席入り。
四畳半には釣り釜、小さな床に春の歌の古筆。師匠はこのところ一行物より古筆にこっているらしい。
珍しい唐金の釜は炭手前のあと、蓋をわざときらずに。
それにしてもあの朱鷺の羽根の色は淡くて美しかったな。裏側がとくに。
懐石は師匠のお手作りで。これは初めてではなかろうか。煮物椀の出汁巻き卵がえらく上手にできていて、舌を巻く。杉の香りもすがすがしい曲げわっぱの飯器に、寿司酢、トッピング(錦糸卵とか)をお持ち出しの上、席中でちらし寿司を作ってくださる。これ、一客一亭ならではの懐石の醍醐味よね。
席中お相伴いただき、さしつさされつさされつさされつ、、(^_^;
先日の大阪美術アートフェアにでていた、一ケタ値段が違う道具の話に盛り上がり、道具を買う時あるべき姿勢など、貴重なお話しをうかがった。う〜ん、まだまだ初心者の私、いろいろ失敗しているからな〜。
ちなみにこの向付、先日お招きしたときの薄茶器(ルーシーリーのボタンの蓋)を作ってくれた、陶芸家のAK君の作品であった。
給仕盆が練行衆の日の丸盆の縮小版であったのも季節柄心憎い。
今回は主菓子もお手製、練り切り(こなし?)の桃「三千歳」、やるなあ。ちょっと負けてられない、私もお菓子作りを、、、あれ?お菓子は作らないつもりだったのになあ。いつの間にかのせられている茶の道はコワイ。
後座の濃茶は旅箪笥によく似ている淡々斎好み八千代棚で。
釣り釜、お雛様にマッチしたかわいらしくて雅な感じがいい。
唐金の釜の蓋が切っていないので、湯気がまったくでないのを、内心沸いているのかしら?と心配していたのだが、蓋をあけると見事な湯気がたちのぼって、うわ〜とちょっと感動。これをねらった?
茶入がルーシーリーのぐい飲みであったり、仕覆が印度更紗だったり、これは先だってお招きしたときの道具に呼応しているので、お見事な返礼をいただいたようでうれしい。
そのまま続き薄、かと思いきや、「席を改めて」とのこと。席中で待っていると、、、、
準備のととのったご挨拶で縁側にでたら、、、かの極楽の如きぽかぽかの縁側にガラスの湯沸かしとポットが。こちらで先ほどの日の丸盆で盆点薄茶を。
奥様手作りの桜干琥珀を干菓子に、この陽気とお庭をご馳走に、たった一人で満喫、ほんに極楽極楽、幸せなひとときであった。
一客一亭はこんなふうにかろかろとシンプルにやるところがいい。
自分が一客一亭の亭主をして思ったことだが、一般的に普通の茶事は時間が長すぎ、特に懐石が昨今重すぎることが多くて、茶を飲みに来たのか飯を食べに来たのかわからなくなるときもある。利休の頃の一汁三菜もしくは二菜でお互いによしとする意思疎通が客との間にあって、時間も短めとなると、もっと気軽に茶事ができるのに、と師匠と合意。
(最後はまたまた茶の湯や道具のはなしで盛り上がって、バスに乗り遅れるというオマケ付き(^_^;)
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