修二会2019〜7日 二月堂内からのお松明・小観音出御と後入・走り・香水たまわり・ - 2019.03.11 Mon
東大寺修二会中日の7日、奈良へ。

この季節いつもはまだ少し早い片岡梅林(奈良公園内)の梅が、すっかり見頃になっている。
山焼の跡の残る若草山、浮雲遊園をつっきって二月堂へ(かなりショートカットになる)いつものコース。
17時前に二月堂に到着。今年はお松明を二月堂の中から眺めようと、早めに。(17時以降は上堂できなくなる)19時のお松明まで、篭城する作戦である。
7日は、上七日のご本尊となる大観音にかわって、下七日の本尊となる小観音が普段安置されている須弥壇の裏正面から、お出ましになる小観音出御があるので、他の日にはまだ上堂していない練行衆も先にはいって小観音お迎えの準備にいそがしいようだ。差懸の音がかしましい。
(小観音は実忠和尚が難波津に生仏として勧請されたといわれる絶対秘仏である。江戸時代の火災の時以外にだれも見たことがないという)
初めて見るお松明前の二月堂前の上からの風景。今日もぎっしり、たくさんの参拝客だ。
18時すぎ、雅楽の演奏と共に宵御輿松明(杉のへぎみたいな、、)に先導され、4人の練行衆にかつがれた御輿が戸帳の向こうからしずしずと出御。お堂の外陣の北西角(お堂は西向きなので、西の局のむかって左)に安置され、深夜の後入(須弥壇正面へ移動)を待つ。
19時前、練行衆上堂を導く松明の前に、チョロ松明を持った加供(かく)が三度の案内(あない)をするのだが、この日は最初の時香の案内はすでに小観音のためにすんでいるので、用事の案内、出仕の案内のみ。
いずれもいままでかすかに聞こえるか?くらいの声だったが、お堂の中にいるのではっきり聞くことができた。
「出仕のあな〜い!」
「うけたまわってそうろう!」(処世界・練行衆の役の一)
いよいよはじめて同じ高さから見るお松明である。
ううっ!
早すぎてシャッターが遅れる!
あ、ちょっとだけ。
火の粉もすごければ、煙も尋常でなく、お堂の周辺はけむりで燻されている状態。
やっととらえたお松明。
ちなみに普段は、上堂して戸帳の中にはいるのに差懸の音をターンタタタ!とひびかせるのだが、7日は小観音に遠慮して音をたてない。
いつも下から見上げてわ〜わ〜言っていたが、60kgの松明を担いでいる堂童子はほんま大変そう。体力の限りを尽くしている感じだ。
それから松明から飛び散った火の粉を払う人が職人技だった。あれだけの火で、焦げ一つのこさないのだから。(とはいえ1667年、修二会中おこった火災はあったが)
動画も置いておく。
さて、この火の粉をあびて(煙でもいぶされて)今年も無病息災、あとは小観音後入、走り、香水をねらって、長い長いお籠もりをする。(結局約8時間、籠もっていたので、膝が足が、、死にかけました(^_^;)
お松明の後、参拝客のほとんどが帰った後の二月堂の表はこんな感じ。早くに行っていたため、西の局(正面)一番前のポジションをゲット。
最上級の防寒対策をしていったが、今年はまだ暖かいほうかもしれない。とはいえ、夜も更け、じっとしているとしんしん冷えてくる。
初夜の勤行は神名帳。早口すぎて決して聞き取れない13700余の津々浦々の神々の名前。○○大明神、△△大明神〜と大明神だけはききとれるのだが。
何度も聞いた有名な南無観コーラス、堂内を差懸の音を響かせてぐるぐる回りながら唱える散華、これとてもリズミカルで好きな声明なのだ。
普現一切大神力 光明熾盛 、、、、
種々の声明が時に静かに時に激しく、堂内にただよう。今年はあのお声のよい上司師も咒師として入堂されていて、聞き分けられるのもうれしい。
(トイレ休憩、、、二月堂瓜灯籠)
23時すぎ、走りの行法
練行衆が須弥壇の周りをぐるぐる回り始めると、堂童子によって、戸帳がきりきりと極限まで巻き上げられ、内陣の壇供(つみあげられた餅)、糊こぼしや南天の荘厳、走り去るような練行衆の姿がはっきり見える。
最初は差懸の音を響かせているが、ふっとその音が消える。差懸を脱いで足袋裸足でだんだんスピードを上げる。
実忠和尚が兜率天の菩薩の行法を人間界に持ち帰りたいと願い、兜率天での一日は人間界の400年にあたることから、少しでも近づこうと走る、というのが走りの行法の意味。
その内陣から一人、一人と外陣に飛び出して五体投地して着座、やがて走る練行衆は二人に、やがて一人になり、最後に五体投地して、あっというまに戸帳は巻きもどされ、須弥壇はまたベールの向こうになる。
走りの後は香水(お水取りで汲みあげられた昨年までの香水)賜り。
「礼堂に香水参らせ〜」
の合図で、さっと格子の間から手を差し出すと、外の局の参拝客にも一人一人香水杓から香水をいただけるのだ。ことしも数滴、ぺろっと。
深夜1時前、小観音後入。
一時外陣の北西に安置されていた小観音の厨子が、暁御輿松明に先導され、裏正面〜南へ回って須弥壇正面に安置される。これはあまりはっきり見えなかったが(眠かったし、、、(^_^;)松明やら灯明やらが明々としてなんとも華やか、火の行法といわれる意味がよくわかる。
勤行はさらに続くが、この日の下堂は2時頃になるというので、1時過ぎにドロップアウト、下堂時の「手水、手水〜」は聞けず。
回廊階段の下にはこれからの出番を待つお松明がならぶ。
振り返ってみた二月堂。勤行はまだまだ続いている。
表参道から深夜の道を奈良公園の宿まで帰る。うまいこと雨はさけられたが、しっとり濡れた石畳の道が美しかった。
つかのまの異世界トリップであった、、、、そして、おまけであるが私の花粉症はかなり重症化した。(なにしろ周りは杉林、、、敵陣まっただなかであったからなあ)
萬々堂 「糊こぼし」
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