山荘流の茶事〜弥生 - 2019.03.24 Sun
山荘流の若き師範さんのお宅に茶事のお招きをうけた。
以前こちらにおじゃましたのはもう3年前になる。その時は茶道の流派の研究をされていたHさんのご紹介で、当時は山荘流についてほとんど知識がなかったので、自流と違うお点前にびっくりビックリの連続だった。しかし、それ以後ご交誼をたまわり、今ではすっかりなじみの流派になった。

山荘流の流祖は大正から昭和にかけて活躍した近代数寄者・高谷宗範で、宇治の木幡に広大な松殿山荘(しょうでんさんそう)を作り上げた。あんなにたくさんの茶室を持つ大きなお屋敷を他にしらない(季節の一般公開あり)。 儒教的礼儀・道徳としての茶道振興を求め国を発展させる、という「茶道経国」をとなえ、厳格きわまりない茶道をめざしたところから、当時、鈍翁や箒庵などの茶道を趣味・教養ととらえ草庵の佗茶を好む近代数寄者とはソリがあわなかったらしい。
宗範は最初遠州流を学んだそうで、山荘流の点前も遠州にかなり似ている。というか違いが指摘できるところまでは知識がないが(^_^;
以前来たときより立派な松のあるお庭はかなり整備されて苔の美しい露地になっていた。迎付に白い羽根を持って、敷居をふく所作は遠州にもあるのだろうか?
炭点前こそ流派の違いが顕著にでると私的には思っているので、いつも他流派の炭点前には興味津々である。茶室は三畳向切、四畳半の炭点前とはまた違うのだろうが、種炭を中央から除けてしまうところや胴炭を向こうに置くとか、練り香は塊をちぎっておくとか、いずれも斬新に思われた。
炉中拝見の所作も違うので、若干とまどう。
炭点前の羽根が烏で黒く美しい。これは私も作りたいとねらっているのだが、そこらへんの烏の落ちた羽根ではあかんよね(^_^;
懐石はお精進にしてくださって、これは茶懐石にふさわしい適量、かつ美味しかった。お母上のお手製と聞いたが、煮物椀の蓮根餅がもう、、、美味しくて+゚。*(*´∀`*)*。゚+
八寸はあるが千鳥はないそうだ。ちなみに千鳥があるのは千家系だけだとか。
香物の器がおそらく桃山の織部、かつては家に5客あったのが最後の一つになったとか。形といい色といい、正客をしていた師匠がおもわずお持ち帰りしそうになった(^_^;(冗談です)気持ちもわかる。
大好きな東寺餅を主菓子に中立。
後座の床はご亭主お手製の、青竹一重切花入れに赤白絞りの椿のつぼみ。
竹の花入れや茶杓を作るのは、お手のもののご亭主に、そういえば先だっての茶会のおりに青竹の花入を水屋見舞で頂戴し、その後の茶会で活躍してもらったものだわ。
濃茶の茶碗をしまうのに指をつっこんで洗う(これは遠州流、石州流でもある)のにはいつも衝撃をうける(^_^; 全体的に春らしい明るい道具立てでお茶も美味しく頂戴した。
ちなみに「宗範」と書かれた道具の中には、江戸中期の近江の人で遠州流の辻宗範のものが混じっているらしい。辻宗範も遠州ではなかなかの茶人なので、まあいいではないかと私などは思うが、流祖の道具を集められているご亭主にとってはいたしかゆし、というところか。
いつも思うのだが、ご亭主はお若い、しかし、何があっても驚かない、あわてない、トンチンカンな所作を客がしてもさわがない、悠揚迫らざるお茶人ぶりは、感嘆に値する。何年歳くっても直情径行な自分にはマネできんなと思う。
たくさん勉強させていただいたお茶事、ご亭主に、御連客に感謝!
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