fc2ブログ
topimage

2023-10

山荘流の茶事〜弥生 - 2019.03.24 Sun

山荘流の若き師範さんのお宅に茶事のお招きをうけた。
以前こちらにおじゃましたのはもう3年前になる。その時は茶道の流派の研究をされていたHさんのご紹介で、当時は山荘流についてほとんど知識がなかったので、自流と違うお点前にびっくりビックリの連続だった。しかし、それ以後ご交誼をたまわり、今ではすっかりなじみの流派になった。



DSC04884.jpg



山荘流の流祖は大正から昭和にかけて活躍した近代数寄者・高谷宗範で、宇治の木幡に広大な松殿山荘(しょうでんさんそう)を作り上げた。あんなにたくさんの茶室を持つ大きなお屋敷を他にしらない(季節の一般公開あり)。 儒教的礼儀・道徳としての茶道振興を求め国を発展させる、という「茶道経国」をとなえ、厳格きわまりない茶道をめざしたところから、当時、鈍翁や箒庵などの茶道を趣味・教養ととらえ草庵の佗茶を好む近代数寄者とはソリがあわなかったらしい。

宗範は最初遠州流を学んだそうで、山荘流の点前も遠州にかなり似ている。というか違いが指摘できるところまでは知識がないが(^_^;




IMG_4496.jpg



以前来たときより立派な松のあるお庭はかなり整備されて苔の美しい露地になっていた。迎付に白い羽根を持って、敷居をふく所作は遠州にもあるのだろうか?

炭点前こそ流派の違いが顕著にでると私的には思っているので、いつも他流派の炭点前には興味津々である。茶室は三畳向切、四畳半の炭点前とはまた違うのだろうが、種炭を中央から除けてしまうところや胴炭を向こうに置くとか、練り香は塊をちぎっておくとか、いずれも斬新に思われた。
炉中拝見の所作も違うので、若干とまどう。
炭点前の羽根が烏で黒く美しい。これは私も作りたいとねらっているのだが、そこらへんの烏の落ちた羽根ではあかんよね(^_^;

懐石はお精進にしてくださって、これは茶懐石にふさわしい適量、かつ美味しかった。お母上のお手製と聞いたが、煮物椀の蓮根餅がもう、、、美味しくて+゚。*(*´∀`*)*。゚+
八寸はあるが千鳥はないそうだ。ちなみに千鳥があるのは千家系だけだとか。
香物の器がおそらく桃山の織部、かつては家に5客あったのが最後の一つになったとか。形といい色といい、正客をしていた師匠がおもわずお持ち帰りしそうになった(^_^;(冗談です)気持ちもわかる。

大好きな東寺餅を主菓子に中立。



IMG_4502.jpg



後座の床はご亭主お手製の、青竹一重切花入れに赤白絞りの椿のつぼみ。
竹の花入れや茶杓を作るのは、お手のもののご亭主に、そういえば先だっての茶会のおりに青竹の花入を水屋見舞で頂戴し、その後の茶会で活躍してもらったものだわ。

濃茶の茶碗をしまうのに指をつっこんで洗う(これは遠州流、石州流でもある)のにはいつも衝撃をうける(^_^; 全体的に春らしい明るい道具立てでお茶も美味しく頂戴した。

ちなみに「宗範」と書かれた道具の中には、江戸中期の近江の人で遠州流の辻宗範のものが混じっているらしい。辻宗範も遠州ではなかなかの茶人なので、まあいいではないかと私などは思うが、流祖の道具を集められているご亭主にとってはいたしかゆし、というところか。

いつも思うのだが、ご亭主はお若い、しかし、何があっても驚かない、あわてない、トンチンカンな所作を客がしてもさわがない、悠揚迫らざるお茶人ぶりは、感嘆に値する。何年歳くっても直情径行な自分にはマネできんなと思う。

たくさん勉強させていただいたお茶事、ご亭主に、御連客に感謝!






関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/1175-d1c681f3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

謡曲「芦刈」から仕舞「笠之段」 «  | BLOG TOP |  » 藪内家〜燕庵と三重露地

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (385)
茶事(亭主) (82)
茶事(客) (172)
茶会(亭主) (17)
煎茶 (9)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (108)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (29)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (138)
奈良散歩 (129)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (10)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (13)
中国茶 (48)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (3)
信州旅行2023 (2)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR