謡曲「芦刈」から仕舞「笠之段」 - 2019.03.26 Tue
祗園祭の芦刈山のご神体をご存じだろうか。
「こわいじいさんがネギ持っとる」と言ったケシカランやつもいたっけ(^_^;
あれは、貧しさゆえ妻と別れた男が、生活のため難波津で芦をさびしく刈る姿なのだと理解していたが、実はこのおじいさん、なかなか洒脱な男であった。

今年もお能の社中の発表会で観世会館の舞台を踏むのだが、演目が「芦刈」の仕舞の見せ場である「笠之段」。
その後、別れた妻が貴人の乳母となって出世し、暮らしの苦労がなくなったので別れた夫を探しに難波津へ行くが、夫は芦を刈りながら、落魄の身を嘆きつつも芦刈の風雅さを古歌も引きつつ面白う舞ってみせて暮らしていた。
その舞が「笠之段」
「大宮の内までひびく 網引き(あびき)すと 網子(あご)整うる海人(あま)の呼び声」の古歌を引き、難波津の春の景色を謡い、梅の花笠、天津乙女の衣笠、難波女の袖笠、肱笠、、、、と笠を次々にかぶってみせる軽快な舞である。
この笠之段は修羅物ほど動きは激しくないのだが、それなりに足をひろげたり調子のよい曲なので、袴は是非履きたいと思っていたのでやっと念願叶い、佐々木能衣裳さんで、昨年やっと誂えた仕舞袴デビュー。YouTubeみながら袴の紐をむすんだが、若干アヤシイのでまじまじとは見ないでね、批判は受け付けません(^_^;
生地はグレーに細かいラメのラインがはいって遠方からみると無地に見えるもの。
う〜む、、、
やっぱり袴つけると二割増しくらいにみえるかしら。
ちょっと我ながらカッコイイと思ってしまった。(他人の批評はこの際気にしない、、、)
迎えに来た妻に現在の自分の姿を恥じて、姿をかくして「帰らへん」とダダをこねるのだが、結局は元の鞘におさまって夫婦仲良く都へ帰るというハッピーエンドの曲で、芦刈山のご神体のイメージとはだいぶん違うな。
「大宮の、、、」が最初有名な万葉集の歌とは知らず、古典の素養がなければわからない詞章もまだまだいっぱいあるのだろうなと思う。昔の人(上流階級だけど)はみな教養があったのね。
芦刈=悪しかり、芦と葦(あしとよし)=悪し良し、などの言葉遊びも面白い曲であった。
仕舞のできはまあまあ自分ではうまくいったと思うが、花粉症でのどをやられて声がうわずったところが所々、それがちょっと残念。あとでDVDの録画見て落ち込むかもしれないけど(^_^;
ここ半年、これにかかりきりだったので、これでお別れはさびしい。
年令的に先生は動きのゆっくりした、じわ〜系の仕舞を勧めてくれるが、この笠之段くらいのが調度よくて好きだわ。修羅物(平家物語を題材にした曲など)は若干体がついていかんけど。来年はなに舞おうかな〜♪
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