大師会〜2019春 - 2019.03.31 Sun
3年ぶりの大師会へと上京、会場は東京では一番好きな根津美術館である。

大師会は、益田鈍翁が、弘法大師筆の「崔子玉(後漢)座右銘」を見せびらかすために弘法大師の縁日、3月21日にもよおされた茶会である。秋の光悦会と対をなし、国宝級重文級の茶の湯のお宝が拝めるのである。
茶会とはいうものの、お茶は呈茶で、お点前はないので、お宝鑑賞会とわりきるべし。
最初に比較的すいている薄茶席・弘仁亭へ。ここは東京席、席主は名前失念しましたが、仏教美術が得意な古美術商さん。お茶は石州流とか。
赤坂塩野の干菓子、洲浜の蕨をいただいてまずは一服、それからお道具拝見。
仏教美術がご専門とあって軸は刺繍阿弥陀三尊仏、御本雲鶴の花入がでかい。それにまけない牡丹の枝とつぼみ。
この席で一番印象的であったのは伊羅保茶碗、銘が「阿しか里(あしかり)」。ついこの間までやってた仕舞の芦刈と同じじゃないの、、というのは別にして、渋い色といい、内側の刷毛目といい、御本、石ハゼ、いずれも極渋の境地。べべらのお約束も。
仁清の糸巻きの蓋置が繊細で薄くて超絶技巧やなあ、と。
他、薩摩筒茶碗、鳴海織部沓茶碗
西大寺根来棗(谷川徹三氏旧蔵とか) 清厳和尚茶杓
次が一番すごかった披錦斎・一樹庵、濃茶席。
席主は梅澤記念館、どうやら医事新報社の偉いさん?らしいが、詳しくは調べてもわからず。どうやら個人のすごいコレクターらしい感じ。
広間で濃茶と越後屋の「春雨」という桜色の美しいお菓子をいただいて小間へ。
三畳上がり台目の小間の床にかけられたのが、石山切・伊勢集(鈍翁箱)!
石山切といえば料紙の美しさで最高峰、東博所蔵のモノとか見たことはあるのだが、ここのは2ページの見開きの部分になっているので、ありとあらゆる料紙の技法がみてとれるといういままで見た石山切の中では最高。
色とりどりの染紙のはめこみ、雲英刷り、切箔、見る方向を変えると見えたり見えなかったりする繊細な紋様、そこに麗しい仮名。
花のいろのこきをみすとてきたる身の
おろかに人はおもふらむやは
ため息がでる。今回一番印象的であったもの。
そしてその石山切の下にある小ぶりな青磁中蕪花入れは、東山御物・砧青磁、しかも後柏原天皇の勅銘「吉野山」までついている大名物。
でんとデカイ青磁ではなく、かわいらしいサイズがこの石山切にとてもよくマッチしていると思った。花はムシカリだったか?
その上、大好きな大好きな彫三島まで!
前田家伝来、仙叟箱。きれいなグレーで今窯からでてきたように艶々。内花印花。手にとらせてもらったが、手放しがたくなるほどうっとり。
ここの席、最高だったので、よけいに気になる梅澤記念館の正体、、、(^_^;
他に織田有楽箱の南蛮水指「不識」
茶入は中興名物・雲州蔵帳「志賀」、遠州の挽家箱の歌(見せはやな 志賀の唐崎、、、)、不昧の外箱
茶杓が一翁宗守 銘「筋」
最後の席へ行く前に腹ごしらえ。
東京吉兆さんの点心。
京都風のほかほか蒸し寿司がうれしかった。
さて、京都席の斑鳩庵
今年のご担当は善田昌運堂さんであった。
寄付で、葛の中に桜色の餡がはいった美しくて美味しい叶匠壽庵のお菓子をいただき、濃茶を一服。
こちらの席も古筆できた。高野切・古今集春、鴻池家伝来。料紙はきわめてシンプルながら、表具が素晴らしかった。中廻が萬暦縫取、すなわち刺繍である。まるで小袖をきりとったようだが、紋様が蜂の巣をねらう猿に、抵抗する蜂、、とかけっこう面白い。
はるのいろの いたるいたらぬ さとはあらし
さけるさかさる はなのみゆらむ
その下に、荒々しいいかにも伊賀!という花入にいれられたのが、めずらしいクマガイソウであるのも萌えた。
千家名物利休好みの釜、桜川の本歌もすばらしかった。
桜川と言えば(能の演目でもある。網で桜の花びらをすくうところが見所)透木のものが多いのでそうかと思っていたが、本歌は平べったい透木ではない釜なのね。網目紋様にかすかに桜花が散る。紹鷗の釜師とも言われる西村道仁作。
茶入が中興名物古瀬戸「釣舟」遠州箱
以前所持したのが八十島某のため「わたのはら 八十島かけてこぎいでぬと 人にはつげよ海士の釣舟」からきたとか。
茶碗は青井戸らしい青井戸「春霞」姫路酒井家伝来
茶杓は利休らしいすごい蟻腰、宗旦筒
いっぱいすごいものをみてしまったあとは、牛部屋でほうじ茶とあられをいただき、ほっと一息、クールダウン。
牛部屋は四畳半の真ん中に囲炉裏があって、まわりを土間が囲んでいるという、茶室というより囲炉裏をかこんで一杯やる、、というコンセプトだったのだろうな。しかし吉野から運んだという桜の苔むした大ぶりの一枝が飾られてあって見事であった。囲炉裏にかかっていた鯉の鐶付 の大釜、直径1mはあろうかという欅?の菓子盆もみどころであった。
、、なぜ牛部屋というのかは不明、、、
すべての席をまわり終わって、すっかり馴染みになった根津の庭園を散策、この写真はご一緒したY様より頂戴した。
桜はほとんどまだであるが、ここの庭園はむしろ楓の方が多いので、その薄紅の芽が美しい。
美術館の特別展は「ほとけをめぐる花の美術」
会にふさわしく、大師会の嚆矢となった弘法大師筆「崔子玉 座右銘」(人の短をいうなかれ 己の長を説くなかれ)(重文)、弘法大師像(重文)なども。
根津をあとにして、地下鉄表参道までの間、行きたいな〜と思いつつ、いつも満席で入れないヨックモックの本店のカフェ、BLUE BRICK LOUNGEにやっと入ることができた。
で、なんとなく春らしいイチゴのモンブラン、、、乙女のスイーツだわ。
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● COMMENT ●
追加ですが、思い出したこと、確か乾山そのあたりの物を見た覚えがあります魅力的なものを収集された方です。「陶説」
という愛好家むけの陶磁器雑誌を毎月発行している日本陶磁協会の創設者でそこの日本陶磁協会賞は業界人憧れの賞だと思います。鯉江良二さんとか随分前に受賞してます。
という愛好家むけの陶磁器雑誌を毎月発行している日本陶磁協会の創設者でそこの日本陶磁協会賞は業界人憧れの賞だと思います。鯉江良二さんとか随分前に受賞してます。
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小林光雄様
梅澤記念館、梅澤彦太郎氏の情報をありがとうございました。
やっと正体?がわかりすっきりいたしました。
日本陶磁協会のHPも拝見しました。美術館はいまは公開されていないのですね。
それでも大師会でお宝を見せて下さるのはありがたいことだと思いました。
やっと正体?がわかりすっきりいたしました。
日本陶磁協会のHPも拝見しました。美術館はいまは公開されていないのですね。
それでも大師会でお宝を見せて下さるのはありがたいことだと思いました。
鍵コメ様
また後ほどメールいたします。
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鍵コメ様
後姿、、、それは大変失礼いたしました。
実は当日多分、お話しもしていると思います(汗)
くわしくはYM様にお聞きくださいませ〜。(間違いでなければ、、、)
実は当日多分、お話しもしていると思います(汗)
くわしくはYM様にお聞きくださいませ〜。(間違いでなければ、、、)
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