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2020-01

久松真一・還暦・明月その他もろもろ〜夕ざり茶事 - 2019.09.14 Sat

たまたま茶事に都合の良い日が中秋の名月だった。



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<玄関>


そうでなくても秋の茶事はお題がたくさんありすぎて困るのに。



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でもちゃっかり名月をテーマにとりいれたりして。



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(待合の座敷 この夏仕様もそろそろ替えねば、、)


待合には西田幾多郎の弟子にして禅・思想家、京大心茶会の創始者、久松真一先生の色紙を。
先生の「茶道の哲学」はいまだに我が茶の湯の精神的バイブルである。
(ちなみに代表的哲学書「東洋的無」は1ページ目にして挫折した。難解)



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なんとなれば本日のお正客さま・其中庵さんは一時、久松真一の茶道の哲学等読みあさったという方なれば。

待合の色紙は、学生時代に久松先生から直々に頂戴したものを、苦労してなんとか軸装したものである。、、、読めない、、、が長年続いて、最近やっとこうだろうな、とあたりはついた。しかし意味が難解すぎてワカラナイ。「一體不二」とか「ポストモダン」とか、ご著書に散見する言葉はあれど、、、。




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<露地のコムラサキシキブ>


お一方、アクシデントにて遅れ、濃茶まではお客さまは其中庵さんと、いつもお世話になっているにいさんこと黙楽庵さんお二人。



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なので、心のゆとりが持てて、亭主もゆったり味わえるええ感じの茶事になった。



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15時席入り、日の陰り方が早くなった気がする長月。
朝方雨が降って、(露地の水うちの手間がだいぶんはぶけた〜)久々に涼しさを感じる。



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夕ざりの初座は花、李朝の籠をかける。
其中庵さんがお正客の時の恒例の花所望である。



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其中庵さんといえば茶花、というくらい花がお好きで、長年花をいれてこられた。だから僭越にも私がいれるなんてとてもこわくてできないわ(^_^;

用意した花は半分はうちの庭で調達したもの
  桔梗、吾亦紅、女郎花、山ホロシ、秋海棠、蓼、矢筈薄

さて、どれを選ばれるかな。



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おお〜!さすが。入れすぎずさびしすぎず絶妙のバランス。
蓼、芒、山ホロシ



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懐石の汁の中にサツマイモの満月を落とし込む。
(汁の量によってむら雲がかかったりして)

いつもは省略する汁替えも久々にきっちりこなした。



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八寸の千鳥では、菊の花びらを盃にうかべる。お客人の長寿を祈りて。
(燗鍋の口が小さすぎて中に入れた花びらがでてこなかったのだ(^_^;)

八寸と言えば、お肴がつきもの、其中庵さん、練習中のお謡をひとふし披露くださる。まもなく還暦を迎えられるよし、「鶴亀」のめでたい長寿の言祝ぎの曲。

   ♪ 君の齢も長生殿に 還御なるこそめでたけれ



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主菓子は千本玉寿軒さんの「葛葡萄」、まんま、餡の中に葡萄が一粒はいってた。



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後座
この季節まだまだ外は明るいが、茶室内は燈火がいる。

後座の掛けものは、この茶事一番のご馳走だと思う。
久松先生の自詠の書なのだが、これは学生時代から心茶会の茶会で時々かけられていたもの。先生直々に拝領された心茶会の大先輩がお持ちで、いつも見るたびにいいな〜と私も後輩たちも口をそろえて言うという、それを今回無理をいってお貸しいただいた。これをお借りしたときに、茶事のテーマの最後のピースがピタリとはまった感じがした。



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「意は剛く なさけは深く 知は密に 厳しくきたえ 人はおおらか」

学生たちにかくあれ、と教えさとすような、理想的な人間像だと思う。
意志強く、緻密にインテリジェンスを磨く、かく人はややもすると、とかく理にはしったり、偏狭だったり、他人を見下したりしがちだが、最後の「人はおおらか」でぐっとくるのだ。
人間おおらかであれ、これは自分への戒めでもある。

難解な禅語の書が多い久松先生だが、こんな平易な胸にすっと入る箴言もあるのだ。其中庵さんを迎えるのに、難解な禅語でなくてこの言葉で迎えるのが私らしいような気がして。
私自身、この言葉を胸に残りの人生生きていく。




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干菓子は亀廣保さんの芋と芋の葉、芋名月だからね。
蟹(甲羅)に尾花をもたせているのは「華甲(還暦)」のこじつけ。
あと、これも還暦お約束の、赤い糸かがりの茶筅。



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薄茶は釜と柄杓を使った茶箱・月点前で。
やってみると中置きみたいで意外としっくりくる。
社中のお稽古で予行演習をさせてもらったのに、けっこう間違えたのが残念〜。

この時刻には露地の虫の音がいいBGMとなった。
遅れたお客様も到着し、黙楽庵さんの恒例のダジャレも炸裂しつつ一会は無事おひらき。



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お見送りするころは露地行灯がいる。
これから秋に向けて其中庵さんの連続還暦茶事シリーズがふた月続くという。あれこれお楽しみ(+苦しみ)でご準備中と思うが、無事かけぬけられますよう、本日の茶事はその壮行会ということで。



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お帰りになった後、露地の片付けをするころ、先ほどまで分厚い雲に覆われていた名月がちょっと顔をだしていた。ええ月やな〜。


<おまけ>


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月兎

見えなかったと思うけれど蓋置も実は金工の兎でしたの。




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● COMMENT ●

こんにちは

いつも素敵な茶事を覗かせて頂き、ありがとうございます。
久松先生のお言葉に胸を突かれました。「おおらか」って自分も他人も許して、常に明るい気持ちで存在するって事かな、と思い、今日一日心がけてみましたが、難しっ!ただの、一人でにやける人になってしまいました。精進します😅
あまり沢山は見ていませんが、東山にかかる月って殊更綺麗だと思います。

ちび山様

ありがとうございます。
茶事はお客様と一緒に一座建立するものだとしみじみ思いました。久松先生の言葉が胸にしみる方がお客様でよかった。
この言葉、あくまで理想の人間像なので、近く努力はしないと、だが到達にはなかなか、、、


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