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2024-02

法華大会・広義竪義初日の比叡山延暦寺を行く - 2019.10.05 Sat

おかざき真里さんの空海、最澄を主人公にした漫画「阿・吽」が面白い。

絵もとてもアーティスティックで美しい。もちろん多くはフィクションなのだが、史実、エピソードの類もきっちり描かれていて、彼らをとりまく時代の状況までよくわかる。今まで歴史の教科書以上には曖昧にしかしらなかった二人について大いに学習させてもらった。大陸から密教を持ち帰らんとした二人のあまりに対照的なそれぞれの生き様、にとても興味がわいて、これはいつか比叡山、高野山に改めていかねばなあ、と思った次第。

まずは京都にいればいつでも目に入り、朝夕拝むことのできる比叡山へ数十年ぶり。
我が家からだと車で30分くらいで行けるのな。久々に行くとあまりに近くてびっくりした。



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延暦寺東塔エリアに着くとまず目に入るのは「元亀兵乱(信長焼討)殉難者鎮魂塚」
比叡山というと、どうも腐敗して、さらに信長に焼き討ちされた、というイメージが一番にきちゃう。



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そして「一隅を照らす これ則ち国宝なり」という伝教大師最澄の現在にも生きている有名なお言葉。
漫画では、天才肌の空海にくらべ、密教を完成させるために努力すればするほど、誠実であろうとすればするほど己を傷つけ血を流すストイックな人物に描かれているが、実像はどんな方だったのだろう。



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おりしも10月1日から4年に一度の法華大会・広学竪義(こうがくりゅうぎ)の初日で、大講堂は閉鎖され入ることができない。

法華大会は法華十講(法華経その他の経典を講師が講義する)、僧侶がどれくらい天台の教えを理解しているかの試験のような問答が広学竪義。これは夜まで続けられるそうだ。

10月4日には大講堂の前に探題(教学最高権威者)、已講(試験官)、勅使の三人が輿に乗って三方から出会い入堂するというちょっとした平安時代ページェントのような光景もみられるらしいが、行けず残念。



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竪者という試験をうけるお坊さんが大講堂の横から中へはいっていく場面を目撃。この入り方にも流儀があるそうで、しらなかったので、そこまで観察できず。



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大講堂の扉の前に座ると、扉から漏れてくる読経か講義か音楽のような僧侶の声が聞こえてくるので、しばしたたずんでこれを聞く。




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そして延暦寺の中心的建物、現在は修復中の根本中堂。

最澄は785年、東大寺で具足戒をうけるも、飽き足らず比叡山に山林修行にはいる。現在でもすごい山の中だから獣もいるし夜は真っ暗だっただろう。3年後にここに草庵・一乗止観院を営む。これが今日の根本中堂の基となった。



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むか〜し、来たことはあるがほとんど記憶になく、、、
修復中でなければこのような姿だったのね。



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しかし、内部は拝観できるしむしろ修復中の屋根とか見ることができるのでかえってお得かも。

ライトがないと堂内はほとんど真っ暗、正面に1200年前からともるという不滅の法灯、最澄が一乗止観院を建立した時に本尊薬師如来に灯明を捧げて以来消えることはないという。
<あきらけく 後の仏の御世までも 光伝へよ 法のともしび>は最澄の歌と伝わる。
お香を手向けて坐せばそれなりに敬虔な気持ちになる。そう信心深いほうではないのだが。

(叡山焼討の時に法灯は消滅したが、山形県立石寺に分灯されたものを再分灯したとか)



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お山の険しさを垣間見る文殊楼にいたるこの急な石段!



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ここは延暦寺の山門になるという。中の階段を登れば二階に上がれるのだが、、、、なに?!この階段の急さ!どうみても80°あると思われ、、、登ってもおりるのがこわいので断念。お坊さんたちは僧衣を着てこれ、上り下りされているのだろうか???



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文殊楼の上から色とりどりの衣をまとったお坊さんたちが。大きな法要(講義)がある時なので装いもどこか華やかだ。



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左に東塔、右に阿弥陀堂
塔は昭和55年の再建で正式には法華総持院東塔

これを見て東塔エリアをあとにする。お山の上なので閉門が早いため、西塔エリアは今回はスルー(また紅葉のきれいなころに行こうかなあ)、車でさらに北へ10分ほどすすんだ横川(よかわ)エリアへ。



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横川、、というと源氏物語の「横川の僧都」がでてくるな。
ここまで来ると観光客もまばらだ。ずいぶん奥にあると思ったが、滋賀県側の坂本からすればむしろこちらの方が近いのね。



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横川の中心的建物である横川中堂。なんとコンクリートの再建だそうだが、そうは見えない。
最澄の遷化後(822年)、慈覚大師円仁が建立した寺院が発祥という。



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最澄や空海たちが唐に渡った遣唐使船をモデルにしたという中堂は、懸崖作り、階段の苔むし具合が萌える。この横川には「往生要集」を著した源信僧都も隠棲したという。お堂の中には信者たちが納めたおびただしい数の金色の小さい仏さんがずらっと並んでいて圧倒された。



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中堂からさらに奥へ、元三大師堂へ到る道を行く。



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おお!こんなところに!
(ちなみに京大医学部のは黑谷さん・金戒光明寺の近くにある。)



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ああ、これこれ。
この御札は洛中の古いお家のどこかに貼られている。ちなみにうちにもあるよ。角大師ともよばれる元三大師の魔除けの御札。



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慈恵大師良源、またの名を元三大師(遷化が1月3日だったことによる)は延暦寺中興の祖といわれ、根本中堂の再建など大伽藍の基礎を作った方だ。また初めておみくじを考案したとも言われる。
この鬼のような姿は熱病にかかった大師自身の姿ともいわれ、この姿に恐れをなした疫病神が退散したことから、魔除けの札に描かれるようになった。




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彼を祀ったのがこの元三大師堂、またの名を四季講堂ともよばれる。村上天皇の命により四季ごとに法華経の講義が行われたためという。



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さすが、場所柄大津絵の額が奉納されているわ。



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午後四時前にはもう受付は閉まっていた。ほんとうに深い深いお山である。昼でも心細いが夜はどんなにかおそろしいだろう。こんななかでの山林修行って、ほんまに荒修行だったんだろうな。



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(お山から京の都をのぞむ)


空海はいろんな意味で天才であったし、かなりの人たらしでもあったようなイメージ。先だって見た国宝「灌頂帳」のだんだんいい加減になる字や、墨でマチガイを塗りつぶしたりする天衣無縫さ、それに比して最澄の文字はきっちり、国宝「久隔帖」はだんだん左下がりになるのが人間くさくていい。(あくまで私の個人的感想です)



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(山の反対側、大津 琵琶湖を望む)


最澄は弟子をたくさん育てた。そして天台宗を母体に鎌倉宗教のビッグバンがおこったのも偶然ではない。法然も親鸞も一遍、栄西、道元、日蓮、いずれも比叡山で修行をしたというのはすごいと思う。いずれ飛び出すことになったとしても。

宗教教義は私はよくわからない。けれど時代時代に新たな宗教を広めようとした人々の生き様には心惹かれる。そんなことを考えながらお山を後にした。
次は高野山だな!







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