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野村美術館講座〜「羽箒にひかれて」下坂玉起さん - 2019.10.14 Mon

茶の湯の道具で意外とだれも研究してこなかったのが羽箒だ。生物由来ゆえ伝世がむつかしいということ、茶人は一般的に鳥そのものに興味を持つ人が少ない、、ということがあるだろう。ところが茶人でもあり、日本野鳥の会元探鳥会リーダーという二つを兼ね備えた方がいらしたんですねえ。



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下坂玉起さん。
実はこの本を昨年末手に入れて記事にも書いた。茶友の何人かは実際に下坂さんにお目にかかったことがあったり、お手製の羽箒を拝領されたりしていて、おうわさはかねがね。けれどお目にかかったことがなかったので、野村の講座に講師としておいでになると知ってとてもうれしかった。




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(野村美術館へいく道すがら、元・細川家お屋敷)


講演は御著書に沿った内容で、今までだれも見てこなかった羽箒からの茶の湯の視点がとても面白い。あらためて書かないが(是非ご一読を)印象に残ったことなど。




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(毎度おなじみ碧雲荘脇の疏水分線の道)


古来、利休をはじめとして有名な茶人が、その肖像画に羽箒をもっていることが多いことや、江岑や如心斎が「帛紗と羽根」を同等に扱っていることなどから、羽箒は茶の湯の道具として重要な物と認識されていたこと。
羽箒は流派によって懐紙にはさんで席中にもってはいるなど、色々な物を清めるための道具であり、炭手前だけの道具ではなく、浄め、儀礼の道具であること。

かつては水屋道具だった羽箒が織部あたりから棚に飾る道具になったこと。
織部は12通りの吊り棚飾りを考案し、置あわせで道具の甲乙を示したこと。(←これを江岑はかなり皮肉って批判している)
その中に、自然の状態ではどうしても曲がる羽箒の安定性を確保するために鐶を枕のように置く、というのがあった。自作の羽根がどうしても置いたとき浮き上がってしまうので、これはいただきのアイデアだな。



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(前期の展示では高麗茶碗のそろい踏みがすごいよ!)


さて、今回は講演だけでない。講演の後、茶室に御著書の中に出てきた珍しい羽箒はじめおびただしい羽根の実物(伝世あり、自作あり、羽根師杉本家作あり)を展覧、下坂さんの説明付き!という貴重な贅沢な講座となった。
本にもあった、当時知る人がほとんど限られていた青巒(せいらん)の羽根のCGか?と思うほど不思議な美しい羽根も間近に見ることができた。一般的にシマフクロウといわれている羽根は本当はワシミミズク、など、生物学的には違う名前をつけられている物も多いというのは目からウロコ。
また三千家の羽箒の違いとして三本並べられていたのも興味深い。(あまり違いがわからなかったが(^_^;)

茶箱用として様々な種類の小羽根がずらっとならべられていたのは圧巻だった。どれも美しくかわいく、ほしい!と思わずにはいられなかった。



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(最後に御本にサインしていただいた!)


江戸時代の禁鳥制と現代の保護制度のはざま、エアポケットのような時代に、動物愛護家が目を剝きそうな乱獲が(当時支配していた)満州や朝鮮、東南アジアまで行われていて、同時代活躍した近代数寄者たちは競って珍しい鳥の羽箒を作ったという。
そのせいばかりでもないだろうが、羽箒に使われる鳥種はほとんど絶滅危惧種なんだそうだ。

日本の羽箒は世界に類を見ない伝統文化財であり、茶の湯と鳥類研究双方の歴史的資料であるので、今ある羽根は稽古用とかいわずに大切に使い傷んでも捨てないで後世に伝えて欲しい、それが下坂さんの最後の強いメッセージであった。




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高兄様

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尽きることない茶の湯世界の深淵、、、底なし沼だあ〜!


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