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2024-02

誉田屋にて源兵衛さんに帯の話を聞く〜神名舎イベント - 2019.10.16 Wed

誉田屋(こんだや)さんといったら、室町の中でも有名な存在感のある帯屋さんである。
祗園祭の黒主山のご町内なんで、山が巡行から帰ってきた時、表で「ごくろうさん、ごくろうさん」と役員さんや舁き手一人一人をねぎらっておられる当代(10代目)源兵衛さん。印象的な迫力あるお姿なので、一度見たら忘れられない。




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この室町通りに立つ表家造りの大きな京町家は憧れの的であり、いつもは前を素通りするだけであったが、なんとこのたびこの中へ入ることを許され、なんとうれしいことであろうか。表では番頭さん?がちゃんとお迎えしてくれはる。



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これは秋尾さん企画の神明舎A-studioのイベントなのである。なんて貴重な機会、ありがたい!一生あの中にへ入れることはないと思っていたからなあ。

トークセッションがおこなわれる奥座敷。私が今までたくさん見てきた表家造りの京町家の中で、ここは最大級といっていい。しかも糸偏業界らしい艶っぽさもあって、働く方々もかつての室町の最盛期そのままといった感じである。



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つい最近、NHK・BSプレミアムで「究極の帯〜帯匠・山口源兵衛と仲間たち〜」を拝見したばかり。一流の織り職人を探し出し、まとめ、究極の帯を作っていく日常の姿から、今回鎌倉時代の名画「那智瀧図」を帯に織り上げるために奄美大島まで職人を訪ねて、何回も失敗を繰り返し、時には職人を追い詰め、ようやく完成させるまでのドキュメンタリーであった。
製作にあたって、実際の那智の滝を見に行って、職人たちと一緒に見入る姿が印象的であった。



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まずは二階のギャラリーで、珠玉の帯を源兵衛さんの解説付きで拝見する。
(ひとつひとつの帯は誉田屋HPのギャラリーで見られます)



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那智瀧図もそうだが、中国の古い墨絵の鯉を帯に映したり、絵画がもとになっているものが多い。しかもその技巧がまさに超絶、いったいどれだけ手間がかかっているのだろうかと思うような逸品ばかり。若冲の動植綵絵にあった菊の花の花弁の透ける様までこまかくこまかく写してもうため息しかでないのである。



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この芭蕉の織りもすごいが、一点とまっているテントウムシが見えるだろうか。これはなんとルビーなんですよ〜♪。他にも蓮の葉に置く露がキラリとダイヤモンドだったり、そんな仕掛け、いままで一体誰が考えただろう。ラピスラズリを糸にしたフェルメールブルーの花の帯もすばらしかった。「和装の華・帯を劇的に変えた男」とは、言い過ぎではない。


誉田屋さんはいわば帯のプロデューサーであるので、この方面が得意な職人、あれが得意な職人、と帯制作を預ける職人を探し出すのも仕事である。頑固者の多い(^_^;職人との人間関係、信頼関係を築くのは、なみたいていのことではないと思う。長年断り続けられていた職人さんに、あるときふと引き受けてもらった瞬間もあったという。



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これは一見黒っぽい帯にしか見えないが、やや暗い場所で見ると、玉虫色にキラキラ光るのである。見る方向で光の色が自在に変わるのだが、一体素材は、、、?
実は孔雀の羽根なんである。あの玉虫色の部分だけ、しかも同じ方向に織っていくためには、おびただしい羽根と熟練の技と、気の遠くなる根気が必要となる。
こんなのを締めた女性に会ったら惚れてまうやろ。




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小石丸というのは日本在来種の古代繭で、紅葉山御養蚕所でのみ、皇后様御親蚕に使われる品種である。細くしなやかで上質の繭であるが一時は絶滅の危機にさらされた。正倉院染色品復元10ヶ年計画に採用され息を吹き返したという。さらに2002年小石丸養蚕が一般にも解禁され、誉田屋さんはすぐにその復興にとりかかったという。
これがその小石丸で織り上げ京紅色に染め上げた逸品である。手触りはわからないながら、見た目だけでとろんとした柔らかで軽やかな布であった。



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一通り帯を拝見して、ため息をつきながら、次は奥座敷でみなさんと一献かたむけながらのトークになる。(いや、源兵衛さん、どこにいらしても独特のオーラがあるわ)



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松花堂は、これも源兵衛さんとゆかりのある木乃婦さんの誉田屋スペシャルメニュー(食べかけです、ゴメン)。松茸の土瓶蒸しが美味しい♪

お近くに席をとれたので色々お話しが聞けた。
NHKの番組をみて疑問に思っていたのが、那智瀧図は滝だけに長く、帯として締めることはできるのか???と。これをお聞きすると「いやあ、帯として締めるもんやない」とのお言葉。本物の那智の滝がご神体であるがごとく、あれはご神体なんや、と。
自分なりに解釈すると、実用的に締めるものではなく、帯作りの技法を極限まで追い求め、高め、それらを後世に残すための「作品」、、、であろうか。

もちろん実用の帯もたくさん作っておられるので、それらの収入がこの「締められない」帯製作の費用になっているから、とはナビゲーターの秋尾さん。その誉田屋さんの帯を締めていらした。平家納経の女人往生を説いた「法華経」の一部分というから、実用といえどもすごいわ。



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最後に2グループに分かれて誉田屋の奥深く、小間の茶室にいざなわれる。



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蝋燭の灯りの下でこそ見て欲しいという帯は、かけてある白い布をとりはらうと、なんと立体的な刺繍をほどこした能の小面があらわれた。これがまた見る方向によってまったく表情をかえるのは実際の能面以上で鳥肌がたった。たしかにこれは蛍光灯の下で見たらあかんと思う。
刺繍職人はもう二度とこんな仕事はできない、と言っていたとか。それほど厳しい仕事であったのだろう。




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最後に誉田屋さんの玄関はいったところ(人力車まである)で全員の記念撮影。



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最大級の通り庭を通りぬけたところにあるお手洗いを借りたら、その奥はもう黒主山のお蔵になるのである。



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裏から見る暖簾のレアな画像を置いておこう。

なんともうっとりしながらも、帯1本に懸ける源兵衛さんの、そしてたくさんの職人さんの情熱をしっかりかみしめた宵であった。
秋尾さん、神明舎さん、ありがとうございました。




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