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2020-01

佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美〜京都国立博物館 - 2019.10.28 Mon

やっと国博の佐竹本三十六歌仙絵展に行けたわ。(大雨の中)



DSC08933.jpg



お茶をやっている方には、そのまつわるエピソードもお馴染みの三十六歌仙絵

京都だけでも野村美術館(紀友則)、北村美術館(藤原仲文)、泉屋博古館(源信明)、承天閣美術館(源公忠)があるので、単発には何度も見ているのだが、分断された36の絵が一堂に(30だけど)再び会する。



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改めて説明する必要もないと思うが簡単に。
鎌倉時代に描かれたこの三十六歌仙絵は下鴨神社に伝わったといわれる。その後奥羽の佐竹家に伝わり、大正期に売りたてに出され、今の貨幣価値で数十億の値がつけられた。一時実業家・山本唯三郎の手に渡るも、維持できずふたたび売りにだされる。しかしあまりの高値にひきとる者なく、あわや海外流出というところで断簡にして売ることを決意した当時の道具屋は采配を益田鈍翁に依頼。
値段に差をつけてくじ引きで、という取り決めで鈍翁の世話のもと、近代数寄者たちが一堂に会し、くじを引いて買い取りを決め、歌仙たちはばらばらに全国に散っていったのだ。



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世話人の鈍翁に坊主(失礼!)があたって不機嫌になったために鈍翁がねらっていた最高額の「斎宮女御」を当てた人が譲ったというのも有名な逸話。残念ながら今回の展示では斎宮女御はお出ましにならない。(現在は個人蔵らしい)

その時のくじ引きの竹筒を花入れにしたものや、籤の棒、さらに当時そこ(鈍翁邸内・応挙館)にあった襖絵まで展示されている。分割の目撃者、というドラマチックな効果があって、くじ引きの息詰まるような場面が想像できるようだ。(鈍翁の名前の由来になった黒楽茶碗「鈍太郎」まででてた)

分断された歌仙絵はそれぞれの所有者により独自の表装がなされ、歌仙の歌の内容に合わせたものや、室町時代の絵画を切り取る!なんていうすごい軸装もあって、一枚でも十分見る価値があるものばかりである。

その後所有者を次々と変えた歌仙絵もあり、半分くらいが美術館、半分が個人蔵、といった感じか。個人蔵はなかなか出てこないよね〜。
それがこのようにまた集合するということに価値がある。

ちなみに切断する直前までの所有者、山本唯三郎には一枚「源宗于」が贈られている。保存状態でお顔があまりはっきりみえない多分不人気であったろう一枚で、まあしかたない、といった感じか。



IMG_7383.jpg



さて、このたびわたくし、新兵器投入、といってもただの単眼鏡であるが、これの威力がすごかった。展示物に距離はあるし照明はやや暗いし、で肉眼であまり確認できないところまでくっきり!ちょっと感激。

展示は、それぞれの軸が紺のパネルを背景に、独立して掛かっているかのようで、パネルには歌の読み下しも大きく書かれていて、とてもよかった。



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お顔の表情がどれも生き生きとして気品がある。視線も月を仰ぐ如く上を見たり、内省的に下をみたり、バリエーション豊か。数々描かれた三十六歌仙絵の中で出色というのもうなづける。絵の具が落剥してあまりよく見えない装束の紋様も、描かれた当時はどんなに美しかったのだろうかと想像する。今期、女性は小野小町だけなのが残念。(小中君は後期)
それぞれの軸装の美しさも、その所有者の美意識がうかがえて堪能。



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そして、変体仮名の勉強をしていてほんとによかった、と思う。(まだ勝率6割だが)
歌仙絵の歌は人に見せることが目的で書かれているので、クセのない仮名は読みやすく、私でも8〜9割いけたのがうれしくて、ついつい絵のみならず歌まできっちり読んだので、かなり時間がかかってしまったが、これもしあわせな時間。よく知っている歌もあり、初めて見た歌もあり、、、

  「桜散る 木の下風は寒からで 空に知られぬ雪ぞふりける」

紀貫之のこの歌が一番お気に入りかなあ。


IMG_7385.jpg



展示は佐竹本三十六歌仙絵のみならず、関連のものもたくさんあり、国宝もいくつかでてたので、お値打ちというかもうお腹一杯(^_^;



IMG_7388.jpg



さすがにこれは欲しいな、と思ったので分厚い(約25mm)図録を購入。値段もゴージャスだが内容もゴージャス。
各歌仙の、全体図+本紙のみ+歌仙の顔、がセットになってます(*^_^*)b




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● COMMENT ●

本当に充実した展覧会でした。
様々なエピソードも歴史秘話ヒストリアでやっていたのでグンと親しみが湧きました。
ただし、鈍翁が強引に手に入れた斎宮女御が行方知れずなのは残念。
田中親美の模本は素晴らしいですが、本物の斎宮女御が見たかったですねえ。

そらいろつばめ様

ほんと、色々なメディアで前評判が高く、ちょっと勉強してのぞんで、それでも見応えありました。
斎宮女御はだれかは知りませんが、個人蔵で、10年くらい前に出光美術館で一度出たそうですよ。
生きているうちに見る機会があればねえ!

管理人のみ閲覧できます

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鍵コメ様

おいでになっていると思っていました。後期も行かれるのですね。
斎宮女御の流転はうかがい知ることができず、今はどこかでゆっくりされているのでしょうか。
やっぱり、私も後期、行きます!

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鍵コメ様

そうでしたか!情報ありがとうございます。いつか公開してほしいです。


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