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2020-02

青い眼の竪者・ザイレ暁映師〜慈恩会竪義〜京終サロン - 2020.01.19 Sun

はじめて「竪義(りゅうぎ)」という言葉を知ったのは、昨年秋、4年毎におこなわれるという法華大会・広学竪義の日に比叡山延暦寺に行った時であった。竪義とはいわば口頭試問、僧侶がどれくらい教義を理解しているか受ける試験だと聞いた。当日は締め切ったお堂の外で声を聞いただけであったが、どういう試験なのか興味があったところへ、昨年11月、ドイツ出身の興福寺のザイレ暁映師が法相宗慈恩大会竪義に満行(合格)した、というニュースを聞いた。

そのザイレ師による竪義の講義と聞いては何をおいても行かずばなるまい(・Д・)ノ



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というわけで3回目になる奈良は京終(きょうばて、、と読むのよ)、京終サロンに行く。会場はならまちの南の端っこになる璉城寺。奈良好きや学術者やリタイヤ組やご近所さんまで、いろんな人がつどうサロンである。テーマも多岐にわたり面白いのだ。(京都まで帰ると遅くなるのが欠点)



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(サロンの日だけ大和野菜の販売あり)


ザイレ師の近年のご活躍は有名なので、お寺の座敷はいつも以上に参加者でぎゅうぎゅうであった。みんな竪義にも興味があるのだな、やっぱり。
ザイレ師はドイツハンブルグご出身、アメリカはバークレー校(世界的超一流校ですぞ)にて主に奈良仏教、南都仏教についてご研究、そのご縁でH20奈良に住み(龍谷大学客員研究員)興福寺、薬師寺の法要に在家で参加されていたという。



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H23興福寺の辻明俊師から竪義の童子にならないかという要請をうけた。辻師が竪義を受けるにあたってその前の3週間の過酷な前加行(ぜんけぎょう)の間、竪者(受験者)の世話をし、二人三脚で修行するのが童子だ。それを受けたために得度もし、その次の竪義、8年後、にとうとうご自分も竪者になられたのである。
(ちなみに法相宗では竪義を受けるのは約10年に1人くらいらしい)


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しかしながら、もとより南都仏教の研究者、鎌倉仏教論義のエキスパートであったので、経典の漢文は日本人の僧侶よりよほど解読できるとのこと。彼をして「外国人で初めて竪義を満行した」の外国人という形容詞はもはや不要と思われる。たまたまドイツ出身だった、という感覚だ。



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ちなみに慈恩会(慈恩忌11月13日)の慈恩とは、法相宗(興福寺、薬師寺、戦後脱退独立した法隆寺)宗祖、かの玄奘三蔵法師の弟子でその教えを解釈体系化した唐代の僧侶。竪義は他の宗派にもあるが法相宗の竪義は1000年以上の歴史があり、現在は興福寺、薬師寺交代で行われているとのこと。

ふつうなら見ることもかなわぬ行の映像やお話しをスライド写真を交えて拝聴、非常に興味深く面白かった。
なにより興味深かったのは、竪義に挑む前の3週間、こんな過酷で厳しい前加行という修行期間があったこと。東大寺修二会の2週間にわたる練行衆の行よりもさらに厳しいと思われる。



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三週間、横になって眠ることが許されない(座睡)、無言、別火(初日春日大社から浄火をもらう)、修行のために籠もる行部屋は畳半畳ほど、暖をとるための風炉釜・杓立てがあるのがちょっと気になった。食事は朝は粥、昼は精進でそれだけで終了、ザイレ師は体重が7kgもおちたそうだ。

そして竪義の内容はというと、経典(漢文)の丸暗記、ということらしい。その経典を書写・製本(!)するところから始まって朝に夕にひたすら覚え、さらに毎日講という小テストのようなものを受ける。早朝は11月に冷たい水で行水もある。



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その厳しい行のなかで気分転換?ともいえる堂参、または大廻り、というのが印象的であった。
つまり毎日90分ほど、大廻りの日は3時間半、奈良市内の神社仏閣(*)をぐるっと回って論義、読経、拝伏を、雨の日もただひとり童子だけを連れて無言で回るのである。

(*)中金堂、南円堂、氷室神社、浮雲神社、漢國神社、春日若宮社、榎社、その他13〜25箇所

外国人観光客などがなにをしているのか声をかけるときもあるが、「無言行者」と書かれた扇を広げて失礼する、もしくは童子が説明するらしい。これの英語版、中国語版がほしいとおっしゃってた(^_^;

11月7日から3日間、午後8時から後夜遶堂(にょうどう)、大廻りを夜間におこなうのだがこの画像がまことに美しかった。昨年春日若宮おん祭で深夜に近い春日大社参道を歩いたがほんと真っ暗なのだ。ここを童子が持つ提灯の灯りと月明かりだけで歩く。
氷室神社(奈良国博の前)では満月で月明かりにはっきり白く照らされた白砂とくっきりした影の中、論義を唱えると物理的に神様が目の前におられる、という感じがしたという。睡眠不足とも戦いながら勤める者だけが味わえる感覚だと思う。神々しいな。



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過酷な前加行ののち、いよいよ13日は竪義の日となる。行われるのは夜、法要のあと、竪者はよびだされ入堂、探題箱に入った木短冊(問題がかいてある)をあける。この時、「ああっ!なんというむつかしい問題!」と、後によろめくのがお約束だというのが面白い(^_^;
問答は独特の節をつけて行われ、「切声」というのが続に泣き節といって、声が裏がえり、竪者の苦しみがまさに泣くように聞こえるとか。これは聞いてみたい。

そして最後に精義という判定者が判定を行う。竪者は一生に一度しか竪義を受けられないのでこれは真剣勝負だ。そしてめでたくザイレ師は試験をパスされたのである。



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竪義とはなんであろう。
ザイレ師がおっしゃるに南都仏教は教学研鑽を重視し、これが修行そのものという考え方だそうだ。禅宗の僧侶が只管打坐するが如く、浄土宗の僧侶が念仏を唱えるが如く、まずは経典を丸暗記して、それを自分の物にする、修行を重ね仏道に到る道のはじめ、、、といったところか。

さて、私の拙い文章ではわからんところ、TLで波乗坊としてツイートされている辻明俊師の写真付きのツイートまとめサイトがあったので、載せておきます。この写真は必見よ!

波乗坊さんのTLまとめ




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