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2020-06

其中庵様還暦茶事〜22会之内1 - 2020.03.30 Mon

宇多野に住まいされる其中庵さまの茶事、毎年ご自分の年に重ねてテーマを決めてされておられたが、とうとう昨年節目の還暦を迎えられ、還暦茶事をされた。なんと22会、招かれたお客様は160余名という秋から春にわたる一大茶事となった。



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私は昨年秋にお招きいただいたので、この茶事のお話しは実は約半年前、秋のモノなのである。なんで紅葉?と思われたでしょうが、22回おわるまでネタバレ禁止ゆえ、春になってようやく解禁というわけである。若干記憶があいまいになってはいるが、写真や会記をみながらふりかえってみよう。(季節によって内容は少しずつ変えておられると思うが。)



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この写真は今から8年前、光悦会デビューに勇んで行ってきた時の着物と帯。(気合いはいってる)この時と同じお召し物でおいでください、というリクエストがあり、???と思っていたが、なんでもすごい茶道具を手に入れたとお聞きしていたので、もしかしてこの光悦会にまつわる何か?という予感はしていたのである。



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(写真はもろ秋ですね(^_^;)


待合は珍しい池大雅の絵じゃなくて字、「遠看山有色 近聴水無声」。これをだれのものか一発であてた方がおられたとか、おそるべしなんだが、この言葉の意味がなぞなぞになっていて、これがわかった方がおられたらさらにおそるべし。


(答:=水墨画)

初座の床には其中庵さまがお好きな琳派の旗手・鈴木其一「蓬莱山図」で、めでたい。
七官青磁の鯉耳付き花入には白玉椿とカマツカの照り葉。



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(懐石はいつも端整な万惣さんの)


鐶付きが宮島の鳥居になっているユニークな名物宮嶋釜写しは12代寒雉。この本歌についての伝来をも初めて拝聴。
徳川家康が、江戸の上水路(神田上水)を見事に完成させた大久保藤五郎に「主水(もんど)」の名を与え、自ら水源の井の頭に出向き宮嶋釜で湯を沸かし茶を点て、釜は恩賞として下賜したという。
この柳営御物は後に鈍翁の手に渡り、彼は井の頭の水を取り寄せてわざわざ茶会で使ったと言うから、昔の数寄者ってほんとに好きねえ。と、限りなく鈍翁を尊敬する其中庵様にはぴったりの御趣向なのであった。

そして!呉須銀杏の香合が出てきたとき、ぴ〜ん!と来ました!(後ほど説明(^_^;)



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(紅白しんじょうの煮物椀)


小吸物にはいっていたのが野草のノカンゾウ。
このノカンゾウ、別名を「ワスレグサ」と申しまして、、、、これもまたお道具の伏線なのである。(これも後ほど)

石杯もたくさん出していただいて、相変わらず私は三島の杯に手をだしたのだが、このなかで一番高いのが、、、と教えていただいたのが桃山時代の黄瀬戸の四角い入隅の杯であった。胆礬がなく、もろ油揚、極渋。
酒器も珍しい根来の「指樽」。おそらく寺院で使われていたであろう平べったい四角の酒器で、一見、本(book)のように見える形。



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お菓子は時節柄、亥の子餅であったが、ちょっとかわった奉書をまるめたような形で中に柿、栗が入っている。柿、栗は、茶屋から、茶壺が茶家に運ばれるとき、柿、栗もいっしょに送られた名残であり、奉書はかつて宮中で下賜された亥の子餅は奉書で包まれていたからかな。(老松製)



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中立後の後座

床に清巌宗渭の一行「路従平処嶮 (人向静中忙)」(「禅林句集」)
、、、路は平処より嶮しく 人は静中に向かって忙し
よくわからんが、逆説的禅問答そのものかな。


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濃茶のお点前が、、、あ?唐物点前?堆朱の盆に載っているし、曲の水指、、、

茶入が、古瀬戸伊予簾手であるのだが、唐物と同等の格を持たせたという其中庵様のお気持ちであろう。そしてこの茶入、銘が「忘草」。
遠州による銘は「忘れ草 生ふる野辺とは見るらめど こは忍ぶなり 後もたのまむ」伊勢物語第百段から。私はあなたのことを忘れている(忘れ草)のではなくて、忍んで(シノブ草)おもっているのですよ。これからもよろしくね、、、くらいの意味か。



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これは2011年の光悦会の会記、実はこれに載っている古瀬戸茶入「忘草」そのものであった!(挽家・内箱:遠州 遠州・江月和尚両筆添幅 三井伊皿子家伝来)
その時の着物、帯で、と言われたわけがわかった。8年ぶりにここで再会させてくださるのに舞台衣装までととのえさせてもらえるとはなんとありがたい。これこそ今茶事のハイライトともいうべき一品。

ちなみにさきほどの香合・呉須銀杏も載ってます!!お見逃がしなく!



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濃茶茶碗はこちらでお目にかかるのをいつも楽しみにしている熊川「白菊」ほか、茶杓は遠州シリーズで歌銘「すみた川 井堰にかかる白波の たちかへるへき心地こそせね(源師頼)」
なんだか美術館クラス光悦会クラスのお道具にかこまれてぼ〜っとしてしまう。感覚が麻痺してこれが普通と思ってしまったらヤバイやばい(^◇^;)ありがたいことであるが。

濃茶の大山を越えて、薄茶はほっと一息、還暦の祝いにことよせて干菓子は金沢・森八の「長生殿」。お茶碗は高麗、楽、織部、鈍阿などなど普通の茶会ではどれも主役級なのでこれも普通と思ったらやばいよ。

其中庵さま、長い還暦茶事の長距離走、無事走り終えられてなにより。おつかれさまでした。そして次は古希にむけてますますお元気でおすごしくださいませ。



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帰りしなにいただいたお土産の箱に本日のハイライト「忘草」の遠州筆の忘れ草の歌が写されているのもまたゆかしいのであった。



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● COMMENT ●

しえるさん、こんにちは

最後まで、読んで・・・物語がありますね

「忘草」

なんだか、じ~んと暖かい^^

高兄様

はい、お茶の世界には物語があります。
それを読み解けるだけの教養知識を要求されるので、日々これ勉強どすぅ〜。


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