文月茶の湯雑記2020 - 2020.07.29 Wed
文月の茶の湯雑記
コロナ再燃の状況に危機感を覚える昨今ではあるが、人生の楽しみである茶の湯を奪われるわけにはいかないのである。そこは茶人のみなさま、きちんと対処すべき手はうって、であるが。

何回かお茶会によせてもらったことがある、ふんわりとやわらかなYMさんは楽焼きの桂窯に縁のある方である。
最近ご結婚され、御主人とおふたりでこちらでお茶のお稽古場を開かれているよし、このたび茶席をもうけるので、とお招きいただく。
汲み出しは甘酸っぱくさわやか、ここの主・檜垣青子さんの秘伝の飲み物なのだそうだ。(レシピ極秘とか)
桂川のほとりのしっとりおちついたたたずまいのお住まいである。茶席の室礼はやはり「祇園祭」にて。さあ、どんな祗園さんがでてくるかな。まずは函谷鉾の円相のお軸。
梶の葉の葉蓋も涼しげ、風炉も敷瓦ももちろん桂窯製、風炉の巴の紋は八坂神社の社紋でもある。主茶碗の平の赤楽には長刀鉾の絵があり、この茶会のために檜垣先生が急遽焼かれたものとか。ほんとうにモノを作れるヒトはうらやましい。欲しいものは自分で作れるのだもの。
最後の一個しか写真に写ってないけど聚洸さん特注の稚児餅、もちろん祗園さんゆかり。この菓子器の笊をみて、どうやっても謡曲「桜川」にしか見えないのは私だけ?
御茶碗はそれぞれ何かしら祗園祭にちなむもので、当てて下さいとのこと。一応祗園祭フリーク(ぬるいけどね)としては、これはすぐわかりましたわよ。
「黒主山でごさいますね。」
桜と黒い背景だもの。
ほかにも木賊山、鶏鉾、函谷鉾、山鉾の車輪を表す片輪車、鯉のぼりの鯉山、梅は霰天神と油天神、、、
本来は他の意味をこめた茶碗の模様に、これだけ祗園祭ゆかりの意匠をみつけるなんて、すばらしい。よくぞこれだけそろったものだ!
おまけに蓋置には「すだれや」の焼き印、YMさんと仲良しの美簾堂さんのお手製。美簾堂さんは山鉾巡行の斎竹を出すご町内、宵山にはいつもお家でお茶会を開かれるものね。
最後に萌えポイント、桂窯製前瓦に「蘇民将来之子孫也」!!
ほしいわ、これ(。>ω<。)
次は芦屋にこの春新しく移転オープンされたO先生のお店である。オープン前に店の一部にしつらえた小間の茶室の試運転に桜の咲く頃お邪魔して以来である。
なんと毎月月釜を開かれるというので、その初回に行ってみた。こちらが茶室、うちを設計してくれたI君の設計である。ビルの一角という茶席ながらいろんな工夫がくみこまれていて、たいそう機能的な茶室になっている。(コチラ☆でくわしく書いてます)
今月は七夕の御趣向で
滝の水を織り上げた反物にたとえた画賛は織女に、車軸釜は牽牛のひく牛の車に、桶川の水指の縦線は短冊に。お道具屋さんだけにでてくるものはいずれもうれしくなるようなモノばかり。
短い時間ながら、詰め込まれたものは多く、楽しい茶会となった。これから毎月、さらにはゲスト亭主もよんで茶会をされるよし、ちょっと遠いのが難点ながら楽しみである。
高倉通にある久田家・半床庵。
明治の初めに再建されて、かれこれ築100年になり、改修にはかの中村昌生先生も携わったという数寄屋(京都にあるのは高倉久田家)、予約すれば見学可能(2000円)なので大雨の中でかけていった。まずは薄茶一服お稽古場でよばれる。雨にうたれた露地の緑が美しい。
久田家は2代目が宗旦の娘を娶り、以後表千家、裏千家、官休庵、三千家のDNAのストックともいえる家なのである。嗣子が居ないときに久田家から養子に入った宗匠は多い(逆に千家から久田家、もあり)。表千家六代・覚々斎、九代・了々斎、十代・吸江斎、官休庵九代・愈好斎、、、裏千家でいえば一燈は覚々斎の息子であるから、久田の血をひいているのである。
ちなみに三代宗全はあの宗全籠を作った方。宗全ってだれ?と思っていたのが氷解。(さらに覚々斎の父)
その宗全が考案したといわれるのが茶席・半床庵(登録有形文化財)である。ちょっとややこしい畳の敷方で、点前座が丸畳、中板があって客席が台目畳を二枚並ぶ感じ。下地窓は大きく明るく、給仕口あり。天井は真行草、床は板床である。土壁の塗り方がすごくモダンな気がした。
今年の官休庵東京初釜に行ったときに、そこにも半床庵という茶席があるのに気づいたが、構成は全く違う。誰が作ったのかは不明だそうだがおそらく久田家(両替町)のだれかではないかと言われているそうだ。
半床庵に隣接する七畳敷とよばれる席は、なんかどこかで見たことあるような、、と思ったら弘道館の茶席と同じなんだわ、この作り。もとは表千家啐啄斎の好みだそうだ。
久田家は今も教えているのは表千家流の茶である。
いつも前を通っていたのに、気づかなかった塀の内の別天地、大きな蹲居の上にかかるのは二条城から拝領したという槐(えんじゅ)の葉であった。
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