よろしゅうおあがり 和菓子をおいしく〜「うつわと和菓子と源氏物語」 - 2020.10.02 Fri
うちの近くなので時々立ち寄っているうつわやあ花音さん、梶古美術の奥様のお店で、現代作家物を扱っておられる。しかも私好みでうれしい。今までにも脇山さとみさん、渡辺味和子さん、矢島操さん、村田森さん、岸野寛さんなどなど、いくつか作品を持って帰った。

その梶さん(裕子さん)が先だってすてきな本を上梓された。かねてより「源氏物語」購読会(福嶋昭治先生)を梶古美術でされていて、その時にだす源氏の各巻ににつかわしいお菓子と器を、梶さんと聚洸さんが相談して出されていたのだが、それがまとまって本になったのだ。
たとえば、「夕顔」では扇の上に乗った夕顔の花、をかるかんの扇面、夕顔の焼き印で。
「常夏」はやはり撫子(常夏が異名)ういろう、「玉鬘」では笹舟に乗った羊羹、玉鬘が幼い頃、瀬戸内をわたって九州へ行く舟を、、、といった感じでじつにリリカル、和菓子の銘のすごさに改めて感動するのである。
このたびそれを記念して、新門前の梶古美術さんの二階で「よろしゅうおあがり 和菓子をおいしく」というイベントを企画された。りっぱな一抱えもある上﨟ホトトギスがお出迎え。
撮影に使われた器が全巻そろっているのを拝見。現代作家ものあり、魯山人有り、古染などの古美術有り、の器のオンパレード、すてきすぎ!
今回の会のお菓子ももちろん聚洸さん。
まずは若菜の源氏香焼き印のほろほろとした焼き菓子と、ビーガンチーズケーキを参考にしたという聚洸さん初挑戦のお菓子、試みを掛けて「こころ実」。口に入れるとココナッツの香りがぱ〜っと広がる。
もちろんお酒もありまして(*^_^*)バカラのクラスでスパークリングを。
二つめはこれもバカラの器に入ったフルーツ寒天とでもいいましょうか。巨峰、梨、干し柿で、和三盆シロップかけ。フルーツの密度が濃くて、よく寒天でまとまったなと、さすがプロや。
銘を「水中菓」
そこへ梶さんの愛犬乱入、さらにごっつい洋猫の御乱入もあり、みんななごんでしまった。
室礼は梶古美術の名品がずらっと。待合は蓮月さんの砧の歌。李白の「長安一片の月 万戸砧打つの声、、、」を下敷きに。展覧席は仙厓の寒山拾得、ルーシーリーの花入れにムベの実。本席は中院通茂の重陽の節句の歌、花入は「浮舟」をイメージの大きな砂張?の舟。
最後に聚洸さんが今一番自信のあるお菓子を、という梶さんのリクエストに作られた栗きんとん。2種類の栗を使って、さすがに自信作というだけあって、おいしゅう御座いました。器は魯山人。
お隣の方のは村田森さんの古染写しで、いいな〜これ。ほしいわ。
最後にお嬢様がお茶を点ててくださった。
薄器が紅葉と鳥兜の蒔絵でもちろん「紅葉賀」、水指は瓢型つまり「夕顔」、九輪釜は源氏物語の底に色濃く流れる仏教思想を、茶杓は「ゆづりは」、源氏の全盛期はいつか移ろい、次の世代へと引き継がれることを表す。
そんな感じで源氏の世界を追体験させていただいた。一通りは読んだが(現代語訳で)いつか解説付きでもっと深く読みたいなあの感をさらに強くしたのであった。
楽しい美しい会をありがとうございました。
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