播州焼物尽くしの茶事 - 2020.10.11 Sun
播磨国の茶事に招かれた。

こんなお城が見える都会である。
酒井抱一を輩出した風雅の酒井家のお膝元の城下町、歴史と風格を感じる町のそのなかでもとりわけ古いお屋敷がたちならぶ、そんな一画のお宅である。
富岡鉄斎の消息?があったり、淡々斎の消息があったり、古い焼物や茶道具があったりご名家である。亭主のお茶友さんはこちらで月に1〜2回茶事をされている。
まずは広間で懐石をいただく。向付はサバのきずし、10月の名残の月だけは背の青い魚がふさわしい。
今回のテーマは播磨国の焼物尽くしである。兵庫県と言ったら丹波国の丹波焼しかしらなかったが、実は播磨にもたくさん焼物の窯があったそうだ。今回はじめてきく窯の名前ばかりであったが、覚えているものを記しておこう。
この向付は姫路藩のお庭焼であった東山(とうざん)焼、伊万里系の磁器である。
きゃ〜!今年の初松茸!
写真は遠慮したが、そのお庭焼の流れを汲む鷺脚焼(姫路城は白鷺城)は陶器と磁器の間くらいで、蟹の彫り物が特徴的なのだそうだ。明石焼(たこ焼きと違うよ)とよばれるものの中には、舞子焼、魚住焼、朝霧焼、相生焼、など、とても覚えきれない。そこまで細かく分けなくても、、、と思うが、川一つ隔てただけで土質ががらりと変わるのだそうだ。
特注のアマビエ様の主菓子をいただいて中立。
茶席は四畳半台目である。
釣り舟の花入れにはたっぷりと秋の花が贅沢に入れられている。
大文字草とか霜柱とか貴重な花もあってとてもうれしい。
天井の作りも凝っている。今回御連客に以前もご一緒したことのある大工の棟梁と、植木屋さんがいらしたので、茶室の造りのこと、植栽や花のことがたくさん聞けてこれもありがたかった。
濃茶は主茶碗が古萩で、高麗?と思うほどいい色であった。焼物も自作される棟梁にだされたのは、彼が「完璧な茶碗」と以前から惚れておられるという御本写し、那波鳳翔さん(播州相生)の作。茂三(御本の一)写しで中に鶴刷毛、良い感じである。
初炭は省略して濃茶の後に後炭をされる。後炭のときの風炉中拝見、これは楽しみ。釜は万代屋の擂座が菊菱に置き換わった珍しいモノであった。
香合が菊の葉をかたどったもの、開けると香をおく部分が金色の菊の花になっていて、印象的なデザインである。
これは反対側から撮った写真だが、濃茶の間燃え残った炭の流れ具合をみるのはなによりのご馳走だ。しかも後炭はめったに拝見できないからなあ。
↑棟梁お気に入りの茂三写し
薄茶は一見乾山にも見える古い京焼、淡路の明平焼、播磨の舞子焼であって、、、ああ、これ、今日のお客さんの住まいにちなんだラインナップだ!と気づいてとてもうれしいかった。
たくさん播州の焼物をみせてもらって今回も色々と楽しく学習できた。佳香のギンモクセイの香りに見送られて播磨国をあとにする。
<おまけ>
これはインドのシルクサリー生地を袷に仕立てたモノである。さすがインドの生地、袷にしても単衣より涼しく軽い。これを見せてくれて仕立てまでお世話になったのが本日のご亭主である。だからモチロン着ていきました〜!
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