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2023-09

三五夜・月釜2周年記念2回目 - 2020.10.16 Fri

奈良の隠れ家お茶サロン、三五夜さんの2周年記念月釜の第二弾。



DSC03442.jpeg


第一弾はこちらでお茶のご教授をされている表千家のD先生のお席であったが、10月ははるか岩手からお越しの裏千家のN先生の席であった。古美術の収集家でもあるとお聞きしているので、そうでなくてもとりにくい席がますますとりにくく、、、(^_^;


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本席はすっかり名残の季節の室礼であった。
はるか岩手から送られたというお道具の数々。
やはり目が行くのはやつれ風炉の中置。これは自然に朽ちた手あぶりかなにかだったそうで小ぶりなのがめずらしい。灰の掻き上げにもこの季節を感じる。

お点前は表千家のAさんにまかせて、お道具の説明をしてくださるN先生。奈良にご縁があって、この時期東京よりもさらに遠方の地からおいでくださった。むかしむか〜し行ったことのある岩手(主に宮沢賢治関連で(^_^;)の風景を頭に思い描いてしまった。

やつれ風炉に合わせてあったのは先生がお若かった頃、初めて購入された道具である渋い虫明の細水指。ピンポイントでしか使えないお道具を最初にもとめられるとは、すでに数寄者やったんやなあと思う。

宙寶老師の「明月払清風」の軸。
「清風払明月」と対句であるが、こちらの方がより哲学的だ。明月が清風をはらうとは、、、?と考えてしまうもの。



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床を飾る花はいよいよ名残の朝顔にシモツケ、野菊。花入は実際に本来の目的で使われていたという鉈籠。脇床に飾られていた炭道具がまたよかった。侘びの季節なので、全体的に渋い道具が多い中、炭斗の蒟醤の朱色が一点華やいで見える。李朝の青銅薬匙を見立てた灰匙、あれよかったな、根元が蓮のつぼみになって。



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仁阿弥道八の光琳菊の菓子器にやはり光琳菊のお菓子(糊こぼしで有名な萬々堂さん)、濃茶をいただいたのは雲州伊羅保、まさにこの季節にうってつけ。また明代の青磁人形手を蔵六がうつした茶碗も内側の人形印が良い感じであった。蓋置に、杉木普斎(宗旦四天王の一人)の花押があって、ねじくれ割れた竹の造型がおもしろく、およそ400年も昔のものだと思うと、よほど大切にされてきたものなのだなと思う。



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続き薄の干菓子は岩手と奈良のコンビネーション。
奈良はいわずとしれた柿であるが、岩手のは盛岡の松田屋さんというお菓子屋さんの看板菓子「いわての山なみ」というのだそうだ。緑の山に昔見た岩手山を重ねてしまう。

薄茶をいただいた古萩「古今」がまたええ味だしててあれもよかったな〜。
雪割れがあって、真ん中が縦に穴あきになっている茶杓の銘が「孤雁」、これも侘びの極地だ。共筒は萬仞和尚、いまはなき摂津の般若寺(現在の大阪市旭区あたりにあったらしい)復興に尽力された方で、同時代の一燈の極めあり。

そして、一番すごい!と思ったのが棗である。
遠くから見ると真塗り棗にしか見えない。しかし手に取ってみると夜桜棗と同じ技法の芒、秋草、雁が浮き上がって見え、よ〜く見ると背景にぼ〜っと金砂子で満月が描かれているのだ。これは手に取った客を驚嘆させるに値する。しかも不昧の塗師の家系である小島漆壺斎というから、さすが〜とうなるしかない。

はるか岩手から、ほんとうにすてきなお道具ばかり拝見できてありがたいことであった。
三五夜さんにも感謝。

<おまけ>

実は三五夜さんの以前の月釜でたまたまご一緒した方が、9月から薬師寺のほんそばでカフェをオープンされるという。今回帰りに薬師寺で写経と思ったが時間的に無理だったので、せめてそこのカフェだけは行っておこうと駆け足で。


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オーナーさんが薬師寺のお坊さん達とも親しいという西ノ京珈琲
かつてはお団子屋さんだった町家である。いつも薬師寺に行くときは近鉄の駅からまっすぐ駐車場をぬけて行くのでここは通ったことなかったなあ。



DSC03449.jpeg


三五夜でご一緒した方とも再会できてうれしい。アウトドア席で(かつては畑だったそう)おいしいプリンをいただいた。こちらでは薬師寺の売店でしか売っていない葛菓子「白鳳の飛天」(薬師寺から許可がでたそうな。ちなみに樫舎さんの製作だが樫舎さんでも買えない)でお抹茶もいただけるそうで、今度から写経に来るときの楽しみがまた増えたのである。



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鍵コメ様

こちらこそいろいろご配慮いただき、ありがとうございます。
お道具好きにはたまりませんでしたね。御趣向も楽しかったです。
さらなるご活躍、楽しみにしております。


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