横浜で(名物だらけで頭が煮える)茶事 - 2020.10.20 Tue
一会の茶事で
のんこう(楽三代目)
宗入(五代目)
直入(つい最近まで当代)
おまけに仁清の茶入なんて、、、(それだけじゃないけど、、)もうなにも言うことがない。
コロナ以降はじめての関東入り、相互に招き合う茶事友だちのおひとりに招かれて横浜へ。
横浜のおしゃれなイメージ通りの洋館なのに二階へ上がった途端、あれ?ここ洋館だったよね???の茶室の工夫がさまざまでおどろかされた。
ご亭主は表千家の男性で、本業は別にお持ちだから、茶の湯パートは完全に趣味の世界なのにここまでやるか〜?!とおどろく数寄者でいらしたのだ。
この日のお正客は、表千家の男性で今年半白を迎えられ、それを寿ぐ意味もこめたお道具の数々であった。
懐石の向付は寄せ向こうで、黄瀬戸、志野、備前、磁器、織部と、なんとこれすべてご亭主の作品(これが本業でいらっしゃる)。お若い頃いろいろな写し物をして勉強された時の物もある。いつも思うが、自分でなんでも道具を作れるヒトはうらやましい。
御自作だけではないよ。懐石道具にまで表千家歴代の花押付きのものが続々、この飯器などは惺斎(表千家12代)のお好みの本歌なのである。どなたかがストラディヴァリウスのバイオリンみたい、とおっしゃったが、それほど美しい塗と造型。
杯も五代宗哲とは!黒蒔絵の菊の線の細さときたら。
これは裏千家には無い八寸の作法。お客様それぞれに八寸を渡して見てもらうのだ。だから表千家では八寸に力が入ると聞いた。分厚い自家製唐墨の美味しさ。
四畳半であるが元は茶室として作った物ではなかったそうだが、そこがかえって工夫のしどころで、照明とかなかなかうまいことできているなと感心しきり。
10月は極侘びの季節なので、寄せ向こうだけでなく、寄せ香もでてくるが、これは「付け干し香」というもの、白檀の本体にふのりなどで沈香の削りくずを貼り付けた物。初めて見るわ、感激!
香合は黒柿に月を見上げているがごとき兎さん。炭道具もほぼ全部表さん歴代の花押がついているのだが、さらに驚くのは、初炭と後炭で炭道具をほぼすべて変えてこられたこと。憎いなあ〜、というか非常
にうらやましい。
初座に軸「月出洞中明」(9代了々斎)と即全の花器にいれられた白ホトトギス、別名「白楽天」の諸飾り。となると後座は、なにかしら?と思っていたところ持ち手が鎌倉彫になっている払子が床にぶらさがっているではありませんか!ヤラレタ〜の感強し。払子で煩悩も村雲もはらって明月を見ましょうよ、ですね。
求肥入りの栗小餅、とらやさん。この縁高がクセモノで、錆朱の地に黒の菊蒔絵、惺斎好みで宗哲に10組作らせたうちの一つなのだ。
さて濃茶である。
お正客様にはのんこうの黒楽「翁(半白と言えば昔は翁だよな)」各服点てのわれわれには御自作の白黒掻き分けの御自作茶碗、これが文字通り「半白」だというねらい。
そして、軽快に軽くて口作りがメチャクチャ薄くて、釉薬につけたときの指跡の残る茶入が轆轤の名手、仁清のものだったのだ。感動モノである。銘も「雲居」とかや。
茶杓が覚々斎(如心斎、一燈の父)歌銘「うらやましさかいの海の月見かな」手取りの部分に「(宗)左」と彫りあり。
後炭は先ほども書いたが道具を初炭と代えてこられた。羽根もいいものをお持ちだわ〜。
そうそう、風炉のことを書いておかねば。楽焼(弘入だったか?)なんである。持ち手も足も獅子という変わり種。それゆえ釜と合わせるため五徳を陶器でご自分で焼かれたのだそうだ。陶芸家だからできるすご技である。
香合が後炭はご当地鎌倉彫の菊、鎌倉彫の名家三橋家の鎌岳。この方は関東大震災の時に京都の大徳寺玉林院に疎開されて、ゆうに10年を京都ですごされたという。その間に惺斎との交流、支援をうけ結びつきがあったという。そういう話は記憶に残る。
干菓子はさすが中華街がある横浜らしく、中秋の名月の日に中国で食べられる月餅、中にアヒルの卵入り、である。載せているお盆も鎌倉彫りの実は軸置(巻いた掛け軸などを載せておく台)。
この時でてきた煙草盆が火入れから盆からキセルにいたるまでミニミニサイズのおもちゃみたいなもの、でもちゃんと火入れは楽焼きというキュートすぎて乙女(?)の心わしづかみ。
薄茶の御茶碗が直入の白楽「一声」、宗入のかせた(長次郎回帰)黒、楽でも人気の3,5,15代そろい踏みとはなかなかお目にかかれないよ。こんな機会に巡り会えたことに感謝。
薄茶の2巡目はこんどは高麗茶碗のオンパレードで、垂涎もいいとこ。呉器、堅手、井戸脇。雲州伊羅保に、ほんとに渋くてよかった古萩、金繕いの上に青海波の蒔絵などほどこされ、さぞ大事にされてきたのだろうと思われる。
貴重なお道具をこんなにもおしげも無く使ってくださり、ほんとうにありがたい。しかしあとに続く茶事の亭主のハードルをあげてくれちゃったなあ。

一会終えて、みんな大満足であったが、最後にひとつ、これだけは!
こんなお道具収納初めて見た〜〜〜((((;゚Д゚)))))))
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