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2023-09

元明天皇展〜平城宮いざない館 - 2020.10.30 Fri


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平城宮はどこに存在したのか?
長らくその所在は不明であったが、幕末にその跡地を推定した役人がいた。その後明治になって田んぼの真ん中の小高い芝地が太極殿の基壇であることが発見され、保存運動、発掘調査がおこなわれ、正確な内裏の跡地の推定がされたのは昭和35年のことであったそうだ。

今では国が管理する平城宮跡歴史公園となって整備が進められている。


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かつては広〜いススキの原に(途中真ん中を近鉄がよこぎるという、、、)ぽつんと朱雀門があっただけで、そこらへんに適当に駐車する感じだったのだが、、、いつのまにこんなに立派な駐車場に整備されたのだろうか。



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しかも復元の建物も増殖しているし、、、


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ごっついハコモノもなんだかたくさん出来ていて、えらい観光地(主に修学旅行生)然となってきてるやん。でも、ここ、車じゃなければアクセス悪すぎ。近鉄西大寺から徒歩20分、もしくは1時間に1本しかないバス。ここは<いざない館>といういつのまにかできたいわば平城宮museumといった感じである。



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中には平城京当時の街路、建物、くらしの様子など発掘品なども交えての展覧、たしかに学生さんには勉強になる場所だ。


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ところで平安京遷都をおこなったのが桓武天皇というのは比較的みんなスラスラでてくるのだが、では平城京遷都を行った天皇はだれか?というとだれだっけ、、、という感じにならないだろうか。

答えは元明天皇、意外とみんなしらないこの女帝の生涯をパネル展示した「元明天皇展」がいざない館で開かれていて(〜11月30日)パネルの絵を担当された上村恭子さんのすてきなイラストにいたく惹かれてやってきたのだ。


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その血筋のきらびやかな高貴さ
父は天智帝、夫は天武天皇と持統天皇(異母姉)の息子・皇太子草壁皇子(即位前に夭折)、娘に元正天皇、吉備皇女(長屋王妻)、息子に文武天皇、孫に聖武天皇なのである。

阿閇皇女(あへのひめみこ)の夫、皇太子草壁が28歳の若さで亡くなり、草壁の母である鸕野讚良が持統天皇として即位。のちに阿閇と草壁の息子軽皇子が文武天皇として即位するも息子も25歳の若さで崩御、孫の首皇子(おびとのみこ、のちの聖武天皇)はまだ7歳ゆえ、どちらかといえば仕方なく女帝・元明天皇として即位したのである。



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(上村恭子さんのイラストブックマーク)


首皇子へ繋ぐためだけでなく、彼女は国の基礎を固めるため積極的な治世をおこなった。和同開珎の鋳造もその一つ。そして和銅元年(708年)、藤原京から平城遷都の詔を発し、造営を果敢におこなっていったのだ。しかしながらなぜ藤原京を捨ててまで平城京に遷都したのか、いまだにはっきりしないそうで、一つには藤原京で実現できなかった「天子南面思想(皇居を北に置き天皇は南を向く〜長安の都の如く)」を実現させるため、というのもあったそうだ。



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715年、平城京で初めての朝賀をうけ、その年にまだ若かった首皇子のかわりに娘の氷高皇女(美人だったそうで。ことのまあかりさんの削氷の「氷高」もきらきら美しいの)が元正天皇として即位、太上天皇となる。



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元明天皇の治世は9年間と短かったがその間に遷都という大仕事をなしとげ、天皇の座を降りるとき「履物を脱ぎ捨てるように俗を離れたい。」とおっしゃったとか。
このパンフの絵は、その履物を脱ぎ捨てる様子を絵にしたもの、と上村さんのTLで拝見した。



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退位して6年後、彼女は亡くなるが「薄葬(地味な葬式)」にせよ、と遺言を残したため、その陵墓の場所はいまだ正確にはわからないそうである。没後3年、娘・元正天皇のあとを継いだのが孫(息子の子)の首皇子、聖武天皇である。古代史のなんと華々しい時代を生き抜かれたのだろう。よく知らなかったのが恥ずかしいわ。

ここに元明天皇の木像(溝辺家蔵←平城京跡保存活動をされた溝辺文四郎の家)がある。上村さんの天皇はひたすら美しいが、この像はふっくらしたお顔の少し憂いをたたえた中年の女性の顔である。あれだけの遷都大事業を成し遂げた女帝の本当のお姿は、むしろこちらが近いのだろうと思った。



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あとは館内を修学旅行生に紛れてぶらぶら。
木簡とか、大祓のアヤシイ人形(ひとがた)とかの実物大の写真がおもしろい。平城京跡発見とその保存の歴史もわかるような展示になっていた。



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当時を生きた人が、つぶやいたであろうつぶやきをTLみたいにつぶやかせているコーナーもあって、面白かった。



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いざない館にわかれを告げ、広場に出る。



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竹のタイムトンネル(古い人は知っているアメリカのTVドラマ)を通りぬけて、、、



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朱雀門
昔はこれしかなかったのに、えらいりっぱになったなあ。昔の警備の人形と、現代の警備員さんのツーショットがええやろ?



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