清酒発祥之地〜菩提山正暦寺 - 2020.11.25 Wed
清酒発祥之地が奈良市郊外の山奥、菩提山正暦寺にあると知ったのは、今年の珠光茶会の一会、和菓子の中西与三郎で行われた日本酒茶会のときであった。発祥之地の碑も境内にあると聞いて、これは一度は行きたいと思っていたが、車で行くにしてもかなりケモノ道っぽい。すると紅葉の季節だけ、近鉄?JR奈良駅から直通バスがでているではないか!

というので早速でかけたが、ご覧の通りの本数なのでかなり時間を絞って行った方が良い。
当日は雲一つない晴天に恵まれ、風が吹くと落ち葉が音もなく雨のように降りかかるような最高の紅葉日和であった。
そして早速日本清酒発祥之地の碑を発見。
三段仕込み(3回に分けて発酵させる)、諸白造り(麹、掛け米ともに白米を使う。現在ではほとんどこれだが、かつては多くは麹に玄米が使われた)、菩提酛造り(酒母=酵母を増やす工程)、火入れなどの近代醸造方の基礎となる造酒技術は室町時代にはすでに確立しており、正暦寺は当時大寺院であって、荘園から上る米で大量の清酒を造っていた筆頭格だった。「菩提泉」という名前の南都諸白(僧坊で造られた清酒)で有名であったそうだ。
特に菩提酛は水に含まれる天然の乳酸で酒母を造るが、乳酸を人工的に加える速醸酛が明治に開発されて以来、絶滅したといわれていた。ところが香芝の醸造元大倉本家で御神酒として使われている特別な酒母が菩提酛であることが判明。(ここらへん日本酒茶会で倉本本家さんの説明で聞いた)
平成になって奈良県内の醸造元と県の工業技術センター、正暦寺などが協力して「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」なるものが発足、現在醸造元各社がその酒母をつかって醸造しており、私の大好きな大神神社近くの今西酒造の三諸杉もその一つだったのね。
こちら、拝観できる塔頭福寿院ではこの南都諸白の末裔のお酒が買えるのである。(ただし重いからここでは買わなかったが(^_^;)
さて、どうしても好きな日本酒の話になってしまったが、もちろん、紅葉も楽しんだよ。
かなりの山の中なので、普段はどうだろう、そんなに人は訪れないと思うが、この日はいい紅葉日和、三々五々紅葉狩りの人がみえていた。
こちらは本堂前の鐘楼。
ところでここは何宗のお寺なのかしら、、、と今更ながらの疑問、真言宗でありました。正暦3年(992年)一条天皇勅願の壮大なお寺であったそうだ。江戸中期以降衰退し、江戸時代の福寿院、大正時代再建の本堂、鐘楼を残すのみだとか。
マユミの実も発見。
いよいよ秋もフィナーレ、今年は例年より急速に突入するなあ。もう少し惜しみたいが。
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