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しぐれ夜咄茶事〜滌源居 - 2020.11.30 Mon

平野神社近く、速水流家元のお宅である滌源居(てきげんきょ)に最初に足を踏み入れたのは8年前、「おっとこまえ茶会」という、当時若宗匠だった今のお家元と観世流シテ方能楽師・吉田篤史さんのコラボイベントであった。あれからまたこんな形でお邪魔できようとは夢にも思わず、夢見心地の宵二刻ばかりを過ごせたとは、幸運としか言い様がない。(お声かけくださったM様、深く深く感謝)

最初「茶杓拝領の茶事」と聞いて、どなたか門弟さんがお家元から茶杓拝領される記念の茶事で、大寄せかな〜と思って行ったのに、客は四名の本格的な茶事でしかも夜咄とは、話が違う〜、とびびってしまった。

茶杓拝領とは、流祖速水宗達(裏千家一燈高弟)が削った茶杓を光格天皇に献上し、その茶杓が巡って堂上家の一つ勧修寺家より「時雨」の銘と和歌とともに速水家に下賜されたことを意味するらしい。(間違ってたらごめんなさい)

かくの如く、速水家は殿上人とのつながりが大きい。裏千家一燈の弟子ではあったが、もともと御典医の名家出身であり、茶の起源から佗茶の研究をした学究肌の人であったため、お茶を愛した光格天皇の支持を受け、その弟宮・聖護院宮盈仁親王の茶道指南もしたことから、やがて御所風の茶風(襲の色目の帛紗なども)を確立していった御家である。



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異次元空間へつれていかれそうな露地の景色は、ひとつひとつ露地行灯に蝋燭がともっている。(つけてまわるのさぞ大変だっただろうな〜)
待合も蝋燭の灯りのみ、流祖宗達の像に供茶。ここで前茶をいただき、ああ、夜咄の作法忘れたっ!と焦った。


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露地行灯と手燭だけがたよりの暗い路地をすすんで本席へ。ここも蝋燭の灯りのみがゆらめく幽玄の世界。ここに身をおくことのさいわいを思わずにはいられない。席の様子はお家元がブログに写真をあげておられるので、そちらをどうぞ。

炭点前では裏千家で神折敷とよばれる真の点前に使う炭斗で、これはやはり茶杓拝領という特別な席だからだろうか。枝炭が黒いままなのも自流と違う。紅漆で梅花が描かれた香合も光格天皇からの拝領品(たぶん)。

懐石は時節柄、すべて銘銘皿に乗ってでてくる。この日はお家元のご結婚記念日とか、その時の引き出物のお皿とかでてきて楽しい。お家元は実は我が愚娘と同じ年、昨年家元を継がれたばかりで気さくな方、でもおっとこまえ茶会の時よりも風格がでてきておられるのはさすがである。

お給仕を先代の家元宗楽宗匠と交代でされて、お酒がお好きだというお噂(^_^;の宗楽宗匠の洒脱なお話しもまた楽しい。

新嘗祭に掛けて(11月22日だった)、お酒は白酒(しろき・新嘗祭では神に捧げられる白酒、黒酒<くろき>)になぞらえて濁り酒を。


IMG_4227.jpeg


川端道喜さんの雪餅を食べて中立である。


IMG_4230.jpeg



実はこの時、本当に時雨れたのである。肌寒い夜の雨に、中待合として準備された三畳の小間の居心地がこんなに良いとは思わなかった。真っ暗な中に大きな瓢にはいった蝋燭と火入れの灯りのみ、下に敷かれた毛氈も暖かく、貴人口からライトアップされた紅葉をゆったり見るシアワセ。ここは北野天満宮の紅葉も借景となっているのだ。

雨笠を使って後入りもうれしい。流祖宗達の竹の一重切りにはツバキとツルウメモドキ。使われる茶杓はもちろん「時雨」である。

続き薄の時に茶通箱に薄器が入っていたのに気づく。自流では、茶通箱は濃茶が二種はいるのだが、速水流では宗達が茶通箱の研究もしていて、もともとの茶通箱の意味の原点にたちかえる、ということらしい。二種の濃茶の飲み比べ的なのは遊興的である、ということかな。
かつて茶壺のない家は茶通箱を茶師へもっていって茶を詰めてもらって帰る、まさに茶の通い箱であったのだそうだ。そうか!茶通箱とは通い箱であったのだ!となんだか感激、目からウロコ、初めて茶通の意味を知った。

最後に速水流の帛紗(襲の色目でななめに染め分けている)をモチーフにした銘銘皿もお土産にいただき滌源居を辞するころに、時雨は小降りとなりほんとうに時を得た時雨であったと思った。
まさか茶家で四人の夜咄に参席できる日がくるなんて思いもしなかった。忘れられないだろうと思う。夢の様であった。ほんとうにくりかえし感謝である。





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