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2023-12

節分と宝船図講座 at 京町家ゲストハウス・サロン月と - 2021.02.03 Wed



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ゲストハウスでもありサロンでもあり、またみのり菓子さんのランチも時々食べに行っている熊野神社のところの月とさん。夜は格子戸越の灯りが暖かくてすてきな雰囲気である。
以前からなにかとちょくちょくお邪魔しているが、こちらは月とさんのおじいさま、おばあさま、お父上が住まれていた京町家である。(月とさんは東京生まれの東京育ち)



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ひいおじいさんが証券会社を経営されていたような京都財界の大物だったこともあって、代々受け継がれた美術品コレクションは多岐にわたり、しかも底が知れない。以前も月岡芳年の浮世絵コレクションをじかにみせていただいて感動モノであった。
お若い月とさんには???なものもけっこうあって、宝船の版画や屏風があるんですけれど、これ夏向きの室礼ですかね〜という一文をSNSで見つけて思わず食いついてしまった私。


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実は数年前から参加している京都郷土史の勉強会で、節分の季節になるとやるテーマが節分と宝船なのである(宝船図研究部会?)。主に大正時代、節分ともなれば京都中の寺社が競って宝船の版画を売り出し、人はこれをもとめて、枕の下に敷いて寝た、という。(新年ではなく節分〜立春にかけてやるところが京都らしい。)

こんな習慣があるとはこの勉強会に参加するまで知らなかった。すでに廃れている習慣でもあって、京都の人でも知らない方が多いと思う。それでもいくつかの寺社で節分(あるいは年がら年中)ともなるとこの宝船の版画が手に入る。
それを足とお金を使って、精力的に現存する宝船のコレクションをコンプリートしようもくろんでおられるのが勉強会主宰のN氏である。

月とさんの宝船図を見た途端、月ととN氏の宝船研究会ががっつり結びつき、コロナもあったことから紆余曲折あり、このたびやっとN氏を講師に迎えて、月とさんで宝船図勉強会開催の運びになった。
(ちなみに私は最古の宝船図といわれる五條天神社のをゲットして軸装までして節分に掛けることにしている)


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宝船の前掛けを締めてやる気満々のN氏。

先ほどの屏風は数寄者だったらしい、月とさんのひいおじいさんかおじいさんが集めて屏風におしゃれに表装した特注品で、N氏によるとかなりレアなものもあるそう。この日おもちいただいたレジュメにのせた宝船図の実物があって、実はすごい屏風であることが判明。(もしかしたら月とさん捨てていたかもしれないって!)


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月とさんのお蔵は深いので、勉強会のためにこんな菓子器まで出して下さった。



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で、私は講座の前にちょっとした呈茶をさせていただいた。


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御茶碗は布志名焼のもちろん「宝船」!



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お菓子はみのり菓子さんに特注した「節分」
枡の中に豆の代わりに大豆とゴマを練り込んだ餡入り。


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月とさんのいつもランチをいただく玄関上がったところのサロンは居心地がとてもいい。


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宝船図は千差万別であって、中には版がすり切れて何が描かれているのかよくわからない雑っぽいものから、鉄斎や栖鳳などの有名な日本画家が下絵を描いたものまでピンキリである。また時代によって乗っている物も変わってくる。七福神が乗っている物などは比較的新しく、東京からの流行とのこと。それでも一応基本形はあるようで、レジュメの吉田神社の宝船図と同じ物が屏風にあって感激。



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で、前から疑問に思っていたこのゲジゲジが実は百足であったことを知った。ムカデ=足が多い=おあし(お金)が多いのシャレになっていたのね。



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もうこれになると、ムカデなのかタワシなのかわからなくなってるけど(^_^;
後に写した人が意味もわからず描いたものなんだろうなあ。


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最後にN氏の宝船図コレクションをみなさんに披露、見たことない方、習慣をしらない方もみんな熱心にご覧になってました。

節分と言えば豆をまいて恵方巻きにかぶりつくだけでなく、宝船図ありますか〜?と聞いて集める新しい楽しみ方を覚えていただけたら幸いである。



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月とさんは、とてもすてきなお着物と梅の帯(おばあさまの)をしめてくださり、お茶運びの半東やらなにやらお手伝いいただき、色々と感謝である。
また二階の部屋を見せてもらったN氏が、興奮するくらいいろんなお宝があったそうで、なにかまた郷土史的な勉強会がここでできるといいなと思うのである。






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