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2017-10

壽聖院の襖絵〜妙心寺退蔵院方丈襖絵プロジェクト - 2013.08.30 Fri

嵐の中の観月茶会(!)@退蔵院 にでかけたのは昨年の9月でした。そのとき小耳にはさんだのが退蔵院方丈襖絵プロジェクト


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退蔵院は国宝「瓢鮎図」が有名な妙心寺の塔頭。このプロジェクトは2011年に発足。方丈に残る400年前の襖絵の痛みがはげしくなってきたので、それに代わる新たな襖絵を完成させよう、というものなのですが、、


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ちなみにこれが現在の襖絵。安土桃山時代の絵師、狩野了慶・作(レプリカ)。たしかにちょっと、、、、


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描いてもらうのも、普通の絵師や画家ではおもしろくない。若手で無名だけれど宗教文化に理解があり、さらに京都にゆかりのある芸術家の手で新たに水墨画を描かせよう。お若い副住職を中心に立ち上げられたプロジェクトは全国に類をみないものになったそうです。



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このプロジェクトでは、絵師のみでなく、当時と同じ手法を現代によみがえらる、、というコンセプトなので、越前和紙、墨、筆などいままさに絶滅危惧種的な職人産業を支援する意味もあるのです。



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そして選ばれた絵師は京都造形大学院卒の村林由貴さん。まだ20代のお嬢さんです。


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退蔵院に住み込んで掃除などの作務や坐禅の修行を積み、茶道などの経験も重ねながら墨絵の技術を体得し(それまで墨絵は描かれたことがなかったそうです)襖絵の制作にとりかかっておられます。その数年がかりの完成までの過程をいろんなメディアで公開しつつ、未来に残るべき文化財がどのようにして作られるか、共有しようというなんとも遠大なプロジェクトなのですね。


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今回、方丈の襖絵に取りかかる前の段階として制作された壽聖院(妙心寺内:副住職の弟さんがご住職)の襖絵30余枚が1週間前に完成した、ということで8日間だけ一般公開されました。(要予約)しかも村松さん御本人の解説付き!


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壽聖院は石田三成一族のお墓のある塔頭です。(三成の墓は遺髪のみ。本体は大徳寺三玄院)三成の長男が出家してこの寺に入ったゆかりらしいです。

さて、その壽聖院、方丈、茶室、その奥の間の四季の襖絵!
すばらしかったです!

こればかりは拙文でうまくお伝えできませんが、墨絵ながらいままでの襖絵になかった躍動感。とにかく静止画像ではなく動いている、そんな感じです。

最初に取りかかった春の絵は彼女の学生の頃から得意だった曲線を多用した手法で桜〜天女〜鯉〜鳥〜牡丹などが描かれ、夏は2匹の上り鯉、下り鯉。この迫力がたまりません。茶室の秋は実ったカボチャ、トマト、ジャガイモ、葡萄、、そしてたくさんの虫たち。目を凝らせば蟻、カマキリ、羽化したての蟬、カブトムシ、、、

ところが冬だけ突然タッチがかわります。曲線はなく、厳しい直線。厳冬に雪をかぶって立つ松の木。荒々しいその幹。どこかストイックで、一段高い境地にあがったような感じです。

絵をいったん仕上げた、と思ったら一切加筆はしないそうです。ぎりぎりの線をいれてあるので、一点でもつけたすとそれはゴミになる、とおっしゃってました。

そして方丈のおもいきり余白を生かした絵は(ないしょにしときますね)また別の境地です。すごくすてき!


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ちなみに撮影OKだった下絵。おそらく数百羽の雀の下絵を描かれたのでしょう。しかもその一羽一羽に名前がついている(ヨネスケちゃん、大吉ちゃん、ピーチチャン、鈴音ちゃん、、、など(^o^))、というのが若い娘さんらしくてとてもいい。たしかに全部ちがう表情、姿勢で、よ〜くみるとどの雀もとてもいとしくなってくるではありませんか。


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息抜きにこんなコミカルな絵もかかれるのです(^-^)
だれかが、こんなに有名になるとは思わなかったでしょう?と聞いていましたが、「有名になってもならなくても私は描きたいから描いていると思う。」と。


muramatu



こんなしゅっとしたかわいい方なのです。町を歩いていたらこんな繊細かつダイナミックな絵を描く人とはとても想像がつかないでしょう。

壽聖院が完成したので、いよいよ退蔵院の60余枚の襖絵の制作にこれからとりかかられます。お体に気をつけてますますのご活躍をお祈りします。





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● COMMENT ●

この記事、新聞で興味深く読みました。
狩野派、土佐派、琳派・・昔からの絵師による作品を後世に残すことも大切ですけど、今を生きる若い画家の作品を残すことも大切なこと。この襖絵が何十年、何百年後、未来の人々にどういう風に見られるのか・・・考えるだけでワクワクしますねぇ。肉体が滅びても、その作品が残るって・・・ロマンやなぁ~

こんな可愛いお嬢さんが描かれるのですね。素敵です。
一度見たい物です。

花咲おばさん様

安土桃山時代には狩野なんとかさんも「現代を生きる」絵師だったんですものね。
無名の若い絵師に任せた、というのはすごい決断だったと思います。
襖絵を拝見して、いままでみたどんな襖絵、天井絵ともセンスが違うな、と感じました。
何百年後の日本人が見てどう思うのか、知りたいような気がします。
そういえば、私なんか死後残せるものはなんもないな〜と。パッチワークの作品なんか、ちゃっちゃとすてられそうだし(^◇^;)

ひいらぎ様

これから退蔵院の襖絵が完成するまで何回か期間限定公開があると思います。チェックしてくださいね!

しぇるさん、こんにちは

退蔵院さん、実は8月末日に御邪魔しておりました

お抹茶と、落雁を頂いて^^

多分、村林さん?と思われる女性とも、すれ違い際に

少し、挨拶させていただきました

彼女の描かれている、鯉の画、あったでしょう?

ちょっと、寺田克也さん風だったような・・・^^


そうそう

襖絵プロジェクトのYou Tubeに上がってる

5分ぐらいのドキュメント、御覧なられました?

あれ、ちょっとした知り合いが撮ったやつなんです、実は^^

高兄様

このプロジェクト、実は昨年の観月茶会のときの高兄さんのコメントで初めて知ったんですよ(^0^)b
おかげさまで完成まで楽しみにしてすごせそうです。
ありがとうございました。(動画ももちろん拝見)
その鯉の絵、いちばん好きです。すごい迫力。広島カープファンなら泣いて喜ぶだろうなあ。

しぇるさん、再び、こんにちは

>観月茶会のときの高兄さんのコメントで初めて知ったんですよ

そりゃ、失礼をば^^;

同じ話を、2回するとは・・・歳はとりたくないなぁ><

>広島カープファンなら泣いて喜ぶだろうなあ。

なるほど、なるほど

確かに躍動感が^^

鯉と云えば、御池ゼストの鯉も迫力満点(木村英輝氏作)♪

高兄様

いえいえ、教えていただいて感謝しております。
聞かなければ、新聞にでていてもスルーした可能性が高い。それはあまりにモッタイナイ。
キーヤンの蓮の帆布バッグ(青蓮院の襖とおなじもの)持ってます(^_^)b


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