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2023-12

謡曲「桜川」によせる茶事 - 2021.04.07 Wed

あたら桜の あたら桜の とがは散るぞうらみなく
   花も憂し 風もつらし ちればぞさそふ さそえばぞ 散る花鬘  (謡曲桜川)



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「桜川」をテーマに茶事一会

数寄者の大先輩、其中庵さまと昨年岐阜ですばらしい一会をもよおしてくださったこれまた数寄者の方、そして私が「茶箱の女王」とおよびする(御所朝茶でもお世話になってます)方をお招きした。若干緊張するわ。



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寄付には隅田川香合
桜川と並ぶ、いなくなった子を探して物狂いの母を描いた謡曲「隅田川」にちなんで。
隅田川はいざこととはむ都鳥(炭点前の香合=鳥)で有名だけれど、最後は悲劇に終わるのに対して、桜川ははれて巡り会った母子は国へ帰ることができるのだ。


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今日のこの方達は
「つくばねのみねよりおつるみなの川 恋ぞつもりてふちとなりぬる」
なぜこの歌なのか?
謎解きは後座にて。



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お友達の日本画家、諫山寶珠さんに描いてもらった桜川の名場面の絵である。(軸装間に合わず!)

常陸国までやってきた物狂いの母は、桜の名所桜川にながれる花びらを網ですくいとろうとする。花びらはすくい取れても、これは木の花、まことわがたずねる我が子、桜子ではない、と流れに捨ててしまうのである。


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桜も終わっていないのに、もう新緑の候???ですか、の今年の早い春。


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初座


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穴あきの古銅の香炉をなんとかつくろって、やっと間に合わせた、一度したかった利休のマネ(あれは梅だったけれど)


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やはり桜川といえばこんな感じでしょう。


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懐石の間にお煮えもよくついた。
八寸、千鳥のお肴を正客の其中庵さんにお願いする。

  花桜木のよそほひ いづくの春もおしなめて のどけき影は有明の
       天も花に酔へりや 面白の春べや あら面白の春べや

これもこの場にふさわしい謡曲「田村」にて。


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主菓子は何と美しい!
みのり菓子さんの「桜川」
川にうかぶ桜の花びら意外にありえない意匠、お見事でございます。


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後座
掛けた軸は小堀宗中による定家の歌
「行く春の流れて早きみなの川 かすみの淵にくもる月影」

待合の「みなの川」はここにでてくる。そして、筑波の国の、みなの川は実は桜川の支流なんである。この軸は直前に入手したものであるが、見たとたんこれだ!と着想がまとまったの。



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日も長くなったがさすがに濃茶が終わる頃には燈火がいる。
岐阜の数寄者さまのお席に庸軒の息子、藤村正員の花入をだしておられたので、お応えして濃茶の茶杓を庸軒のものにした。


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干菓子は吉野の吉田屋「西行桜」とやはりここは水でしょう。それに春の花を(亀廣保)


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薄茶は茶箱の女王様に敬意を表して茶箱にて。炉の茶箱点前(主に和敬っぽい点前)もわりとスムーズにできるようになった。もちろんブロークンではあるが。


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其中庵さんには茶事について道具や懐石について教えていただくことはほんとうに多い。マネはできないが、スピリットは十分学び取らせていただきたいと思う。
またご遠方からおいでくださった数寄者さまには、麗しい糊こぼし椿の色絵を前礼状に描いていただき、これもうれしく、また末永くお付き合い願えれば、と思う。女王様はまた御所茶にて(*^_^*)

いずれにしてもこの一会が成り立つに謡曲の教養をお持ちの方々の存在が必要であった。
茶事にて知的バトルをしてみたい、これが長年の希望であり今回それが叶った感がある。


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最後の趣向
待合で一会終えてお出しした桜焙じ茶は、、、茶友でもある陶芸家A君の「桜川茶碗」にて。
網で桜すくってください。


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先だって薮ノ内の若武者宅で見た白井半七の吉兆好み、0.7合徳利がいたく気に入っていたところ、其中庵さんの茶事で同じ物が出て、これはうちにもお迎えせねば、と思っていたところ、なんと!それをお土産に拝領してしまった!
感激、これは振り出しにならんこともないが、やっぱり一人飲みの徳利が一番。



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かわりに、、、なってないけど(^_^;お菓子の宝石と呼びたい、紫野源水の桜有平糖をお土産に。


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これにて桜川の一会おひらきでございます。


花も桜も雲も波も見ながらに すくひ集め持ちたれども

  これは木々の花 まことはわが尋ぬる桜子ぞ恋しき わが桜子ぞ恋しき  「桜川」



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● COMMENT ●

こんにちは

興味を持って勉強して来た事、気の合う素晴らしい方達、目に叶ったお道具達など、
ひとひらひとひらがつながって、豪華な花筏が出来上がったのですね。
素敵です!

ちび山様

ありがとうございます。
茶事はやはり客組大事ね。お客様によってほんとうに一会一会違うものになるのを、この連続三週茶事で実感しました。(おかげで茶事準備に忙しく、気がついたら桜、おわってました〜泣)


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