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2023-10

聖徳太子と法隆寺展〜奈良国立博物館 - 2021.05.04 Tue

ちょうど一年前の奈良博、「毘沙門天展」が緊急事態宣言で途中で急に中止になったのを思い出す。なんとかその前にすべりこみセーフであったのだが、今年もいつ中止になってもおかしくないので、早々に「聖徳太子と法隆寺展」にでかける。



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(1時間毎に時間を切って入場制限してはる。)


今年は聖徳太子1400年遠忌にあたり、ちょうど昨年末、法隆寺も含めて斑鳩散歩したところなので、記憶にも新しい法隆寺。

まずはかの有名な「聖徳太子二王子像(唐本御影)」(宮内庁御物)。太子の後のりりしい少年が山背大兄王だとは知っていたが、前をあるくのが太子の弟の殖栗皇子(えぐり)だったのね。下がり眉毛がかわいらしいのであるが、法隆寺聖霊院秘仏の聖徳太子の侍者にもこの方はいてはって、やっぱり下がり眉毛。もっともこれは平安時代のものだから、唐本御影を写したものか。
(5月17日以降は模本になるのでそれまでに!)


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太子真筆とされる三経義疏(勝鬘経、法華経、維摩経)も宮内庁御物。これも明治の廃仏毀釈に法隆寺が経済的困窮で、皇室に買い上げてもらったものだという。時代背景を思うと胸が痛む。
太子遺愛の品々から、法隆寺が所蔵する仏像の数々。飛鳥のアルカイックスマイルの諸仏はご本尊の釈迦三尊像にみんな通じる。
さすがにご本尊と百済観音はおでましではなかった。
推古15年(607年)の銘文のある金堂の薬師如来像、手足の爪が伸びていると聞いたので、至近距離でそれを確認した。
また名前が有名な「夢違観音」、玉虫厨子(正倉院展のときより照明が明るいのでしっかり見られる)他に国宝四天王像のうち、広目天と多聞天もおでまし。直に見られるのがすごい。

斑鳩に昨年行ったときは中宮寺にも足を伸ばしたのだが、ここの有名な天寿国繍帳、オリジナルはほぼ残欠しかのこっていないのだな。鎌倉時代に写して作られた物すらもうぼろぼろ。CGで再現をこころみたNHKの番組があったけれど、あれはとてもすてきな意匠であった。后のひとり橘大郎女が太子の死を悼んで作らせた物である。



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今回、一番心惹かれたのはこの右側の国宝・聖徳太子像(平安時代)である。法隆寺聖霊院の秘仏で、毎年3月22日にしか拝めないのだが、なんと360度間近で眺められるとは!
このように太子は眉をひそめ三経講義をしているお姿で、正面からみると(普通正面からしか見られないが)いかつい顔に見える。それが横から見ると、なんと!!鼻筋しゅっとした惚れ惚れするような男前、お美しいお顔をされているのだ。これはこの展示でしかみられないアングル。いや感動したわ〜。
この太子には胎内仏(救世観音)があって、X線でみるとちょうど太子の口のあたりに観音様の顔が来る。あたかも救世観音が太子の口をかりて経を説いているようになっているとか。

この太子には侍者が四人ついている。山背大兄王、と先ほどの殖栗皇子、卒末呂王(弟?)、高句麗僧恵慈、いずれも目の間がせまくて、とてもユーモラスなお姿、これもいつまでも見ていたい感じだった。

聖徳太子は謎に満ちた存在で、のちに太子信仰が一人歩きした感もあって、実在しなかったという説もある。蘇我入鹿の手によって上宮太子家(山背大兄王とその一族)は絶えてしまったので、よけいに伝説が伝説をよんだところもあるが、やはりその存在を信じたい。「日いづる処の天子」の愛読者としても(^_^;


<おまけ>

奈良博仏像館に出張中の、吉野山でお目にかかれなかった金峯山寺蔵王堂の金剛力士像さんにもご挨拶。これのみ撮影OKです。


IMG_8570.jpeg


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● COMMENT ●

こんにちは。

もうため息が出っ放しです!
そちらは早くも藤の花の咲く時期なんですねー
本当に夢の世界に迷い込んだようでした。
静かに満喫されてよかったですね、
私はちょっと古くなりますが鬼滅の刃の藤のシーンを思い出しました(^^;
吉野の桜と並んで奈良の見事な花の風景なんですね。
法隆寺展も行った気になって読ませていただきました。
奈良と京都、今月行く予定でいましたがどうなる事やら、、
感染拡大を目の前にすると中止の方向に行かざるをえないかもしれません( ; ; )
しぇるさんのブログでバーチャルトラベルをいっぱいさせていただきまーす!^_^!

ノリーナ様

なかなか関西方面へはおでましにくい状況になっています。
緊急事態宣言にもれた(?)奈良にGW中人が殺到するという皮肉な現象も。(あ、私もか、、)
藤の花は房の下に向かってフェードアウトする姿がそそられます。(鬼滅は話にしか聞いたことなくて、、)私が見た藤の名所の中ではやはり萬葉植物園が一番と思います。(よそにもあると思いますが)

法隆寺展では普段高くて遠くにある仏様を、いろんなアングルで目の高さで拝見できるところが最高でした。


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