伊勢物語にまつわる茶事 - 2021.05.14 Fri
今年は(去年も)梅の実がふくらんでくるのが一月早い。
炉仕舞いもそこそこに初風炉の茶事を。きりかえが忙しい、、、
紆余曲折したが、杜若の季節でもあるし、「伊勢物語」のテーマで行こうと決めた。
寄付に富士山の扇と烏帽子香合を飾る。これを見ただけで「東下りに初冠(ういこうぶり)」とわかってくださった本日のお正客さま。ありがたし。これでポカンとした顔をされるとテンションさがるし。

あいにくの雨模様で、席入りは軒下つたいに。雨の日の緑は美しい。
本日のこの人達は「ちはやぶる かみよもきかず 竜田川、、、」
季節はちょっと違うがなんてったって在原業平だし。
実は「筒井筒」の日本画の軸を手に入れたのも、伊勢物語にしようと思ったきっかけ。
筒井筒 井筒にかけしまろが丈 すぎにけらしな いもみざるまに
(この歌が本席ですっとでてこなかったのが痛恨の極み。かわりに五つに欠けし井戸茶碗、、の方がでてきたりして(^_^;←細川三斎と秀吉の逸話)
初座は雨で蹲居が使えなかったのが残念。
初座の花の代わりに菖蒲と蓬の厄除けを。
菖蒲はなんとデパ地下の野菜売り場で発見、蓬はもうそこらに生えてる。これをたくさん作って端午の節句の時に軒に飾るのがならわしだが、昨今は軒のない家が多くて(^_^;
さあ、半年ぶりの風炉、李朝鉄火鉢の小さい方を。
端午の節句は若干過ぎていたが、菖蒲の葉を巻いた酒器で一献。
今回の懐石はみなさん大酒飲み?で、五合瓶が1本半あきました。気持ちよい。
祗園大茶会でいつもご一緒させていただいている御面々、2年続けて中止になったが、復活したときにはまたがんばりたいね、と。
今回もお菓子はみのり菓子さんの「杜若」
レモングラスの羊羹に錦玉という手の込んだとても美味しく美しいお菓子である。
(速水流の帛紗に似ているというご指摘もあり)
炭点前は今年初の大失敗。風炉が小さすぎて種火がうまく作動せず、中立の時に熾しなおすはめに。しかも胴炭が入らない、、、(大汗)次回から鉄火鉢大の方を使わねば。
後座の席入りでは、雨も上がり、蹲居をつかってもらえたので、迎え付けも。
お若い方もいらっしゃったから、お正客さまによる席入りの作法のご教授などもあり。
薄器はやっぱり杜若
からころも きつつなれにし つましあらば はるばるきぬる たびをしぞおもふ
東下りで「からころも」を句の頭に織り込んで歌を読むという有名なお話し。
この歌を歌ったのが三河の国の八つ橋という場所。
水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ 八つ橋とはいひける
で、八つ橋(固い方、しかも筒井筒ならぬ井筒屋さん(^_^;)も並べてみたが、これは琴とする説と、橋とする説あって、ややこしい。
最後の趣向として茶杓が「須磨琴」
須磨の一弦琴は現在も須磨寺に伝えられているが、考案したのが在原行平、つまり業平のお兄ちゃんってことで。(伊勢物語にも登場します)
風炉点前、ぼろぼろでやっぱり何年やってても、しばらくおやすみするとあかんなあ。お稽古はやっぱりちゃんとしないと〜と思ったのである。
(写真は後座で熾しなおしてやっと煮えがついたところ)
茶事を考えるにあたり今回「伊勢物語」を久々に原文で通して読んだ。
伊勢物語はネタには事欠かない内容満載である。すごい数寄者さんが百一段の「あやしき藤の花」をテーマに茶会をされたが、古典に精通していない限り、まあ筒井筒、東下り、唐衣、、、あたりが限界かなあ。
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● COMMENT ●
岩倉様
古典文学は好きな人にはタマランですが、そうでない人には???になるので、相手を選ぶな〜としみじみ。
ちゃんと対応できる古典の素養、あと謡曲の素養を身につけたいなあ、、と切に思いますが、なかなか、、、
ちゃんと対応できる古典の素養、あと謡曲の素養を身につけたいなあ、、と切に思いますが、なかなか、、、
確かに古典がお好きな方であれば...
お能は私は得意ではないので勉強しなければです。
お能は私は得意ではないので勉強しなければです。
私も源氏物語は勉強し直さねば、、、、あれ厖大すぎて、、、
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くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれかあぐべき
これが返歌だったはず...
渚の院のところもいいですね🌸