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2024-05

神無月朔日茶事・砧〜雁の使い〜律の風 - 2021.10.05 Tue

名残の季節の茶事を。
座敷もようやく籐筵と葦戸を片付け、段通と障子にかえたばかりでお客様をお迎えする。



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寄り付きは秋の稔り、それに女郎花の古歌を。
本日のお客様方はいずれもお道具にお詳しいそうそうたる方々で、道具組どないしようかしらとけっこう悩んだ。


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昨年某所でかけた松園の「砧」をかけ、夕ざりなので灯りをともす。
毎回ほぼ同じ時間開始にしているが、だんだん日がおちてくるのが早くなると感じるのも好きだわ。
次くらいは後座の前に手燭の交換ができるかも。

さて、この砧、砧を打つ女性の上にほのかに一片の月、ねらいは大好きな李白の「子夜呉歌」の秋

  長安一片の月 万戸衣打つの声
  秋風吹いてやまず すべてこれ玉関の情
  いずれの日にか胡虜を平らげ 良人遠征をやめん



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秋も本番になって、苔もしっとりと落ち着いてきた。(日々格闘)
水を打って席入りを待つ。


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露地のコムラサキシキブも色づく季節。
お正客様は表千家の方、この夏軽井沢で朝茶事をしてくださった方である。きびしい目がむけられるのでは、とヒヤヒヤ(いや、ほんとうはとても優しいお方です)



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須恵器残欠に庭の、今年初めてさいた秋海棠の白を生けようとおもったら、朝、ぽろっと花がおわってしまって!残念!で、急遽赤のものを。秋海棠はどんなにいけても葉っぱがすごくすてきなので、絵になるのである。あとは女郎花、藤袴、紅白水引。


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向付は赤みの魚、名残の十月は背の青い魚をだしてもよいと、峯風庵さんに昔教わった。アボガドはお茶友さんの懐石に刺激を受け、それに山かけ。寄せ向こうで三島、刷毛目、天啓赤絵、古唐津など。


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もう少し暑い時期の風炉としてが出自が火鉢だけに、暑くてたまらん李朝鉄火鉢も今日は風炉になる。灰の掻き上げはちょっとメンタルに余裕なくて省略。
寄せ香に挑戦したけれど、どうも思い違いをしていたみたいで、御正客様にご指摘をうける。そうか、勉強したぞ、来年こそは!
あ、やっぱり香合は砧型ね、ここは。


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お菓子は今回みのり菓子さんに、フルーツ系をとお願いした。
なんと洋梨コンポートに包まれた柚餡、この餡は大好きなみのりロールにはいっている餡と同じなので、美味しい♪
まず自分で食べてみて、これはラップごと懐紙にのせて黒文字で刺してかぶりつくのが正解、とそのままおだしする。

みのり菓子さんによると銘を「律(りち)の風」
初めて聞く言葉で、調べてみると俳句の秋の季語でもあるのだ。
呂律というのは日本の音階だが、その調べが変わるように風が秋になって変わる様子をあらわすのだそうだ。呂は陽で律は陰、秋だから律の風。なんと美しい日本の言葉!また新しい美しい言葉を覚えた。(ちなみに呂の風という言葉はない。)


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後座入りでは手燭がいるぎりぎりのところ、みるみるうちに暗くなる。



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灯りの下で濃茶を。
掛け物はやはり「月」で。
茶碗にも造詣の深い方々、いろいろするどいご質問もあり、古帛紗もおたずねあって、中宮寺でもとめた天寿国繍帳の写しを、それとわかってくださって、ご自分もお持ちだとお聞きして、びっくりとてもうれしかった。なかなか天寿国繍帳?なんですか、それ?という反応も結構あるので(^_^;



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亀広保さんの秋海棠とすはまの枝豆
葉っぱはぺたんとならないよう細工がしてあって、いつもながらいい仕事。


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謡曲「砧」には帰ってこない夫を待ちつつ妻が、前漢の蘇武の故事にならって、夫に届けとばかり砧を打つ。蘇武は匈奴に捉えられ、19年もの間獄にあったが、長安に残した妻の打つ砧の音が聞こえたという故事。さらに蘇武が雁の足に結びつけた手紙が妻の元に届いたことから、雁の使い=手紙と。
またまた美しい大和言葉。(これは昨年そらいろつばめ様に教えていただいた)


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薄茶はブロークン茶箱にて。今のところ一番お気に入りの李朝青磁の小碗を使えるのが茶箱なので最近多いなあ。


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茶の話、道具の話は尽きない。人生にはいろいろあって、苦難もなんなく乗り越えてしまう人がいるんだなあ、、、とちょっと感動した話もあり。お茶のお付き合いは淡い(淡交)のを旨とするが、そんな中でもすれ違いざま心に響くことがあるのだ。


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さて今宵も無事お開きとなった。
皆様ご遠方から、気をつけてお帰りください。


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