幽玄の美に触れる夜の拝観〜妙心寺桂春院 - 2021.10.16 Sat

連続二日妙心寺に来ているが今回は真っ暗、夜です。石畳を歩くのもちょっとこわい。
京都春秋ことなり塾が秋に12月まで週末に開催している「幽玄の美に触れる夜の拝観」at 妙心寺桂春院に参加。茶席パートを茶友のMさんがずっとつとめられるので、これも楽しみ。
桂春院は秀吉、家康に仕えた石河家の先祖供養のために整備された妙心寺塔頭であるが、先日行った大雄院も石河家がらみだったわね。
しかし、夜のお寺って好きやわ〜♪
しかもこの日、笙の演奏を聴くのは二人、茶席はお一人様となんてぜいたくな!夜の寺院の雰囲気満喫なのである。
庭園が三つあって、副住職さまが説明してくださったが、全然見えない。照明も極力おさえて夜陰を楽しむのがテーマである幽玄の美にふさわしい。
七五三の石がおかれる(見えないけど)真如の庭はもううっすら紅葉が始まっているようで、11月〜12月に行かれる方はもっときれいな紅葉が見られると思うよ。(遠州の高弟・玉淵坊作庭伝)
まずは狩野山雪の金碧松三日月の襖絵を背景にて、照明を落した中で、平安時代の楽人装束の井原季子さんの鳳笙の演奏。
春の双調調子と秋の平調を演奏された。季節によって微妙にかわる調子を聞き取るのは音痴の私にはハードル高い。(ちなみに夏は金鐘調、冬は盤渉調)
それからなんとなく聞いたことのあるような越天楽の和音部分(なじみの旋律は篳篥が演奏する)
さらに大陸から伝わり平安時代には消えてしまった、笙をひとまわり大きくした竽(う)という楽器を復活させた物を演奏してくださった。笙より一オクターブ低い音がでて、複雑な和音を奏で、それはあたかもポータブルパイプオルガンと言っていいのでは、と思った。(ちなみに正倉院には竽が残っているそうだ)
二人だけだったので、近くで拝見させてもらいお話もいろいろ聞けてありがたかった。
こちらも控えめな照明の梅軒門を見ながら、場所を移動して七畳の茶席へ。
こちらは秀吉の後、石河貞政が城主になった長浜城からの移築ときいた。
床の間にかけられているのは一休宗純の漢詩、師匠であった関山慧玄(妙心寺開山)の塔を拝してと題す。最後の行の躑躅(てきちょく)す、がツツジ(躑躅)ではなくて足踏みするという意味だと初めて知った。
これだされたらひれ伏すしかない。というわけで、茶席担当のMさんも、中途半端な道具はだせないので水指は白木のつるべ、風炉釜、花入、茶碗などはお寺の常什とされたよし。賢明なご判断。
あとはご住職さまにお寺に伝わった利休の茶杓(有楽斎の筒)、「火吹」と朱書された宗旦の茶杓も拝見させてもらった。なんという贅沢のきわみ。(しかも客は私ひとりですぞ)
最後に隠し茶室・既白庵(三畳台目切)を見せてもらう。
こちらは照明がないので暗かったが、目が慣れてくるとなんとなく。
妙心寺は茶の湯や詩歌を修行の妨げになるとして禁じていたので、それでもお茶がしたかったお坊さんたちがこっそり隠し茶室をつくったのである。(そういえば退蔵院にももっとあからさまに隠した茶室があったな)庸軒流の茶席とか。
かくの如く、夜のお寺の雰囲気をおもいきり堪能して帰路につく。
* この、ことなり塾さんのイベント、京都吉兆の松花堂弁当がつく席もあり、おすすめです。
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