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2017-10

月見の夕ざりの茶事〜じない町・峯風庵 - 2013.09.24 Tue

富田林・じない(寺内)町は江戸時代の街並みがそのまま残っている町。


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奈良の今井町に比べると規模は小さくコンパクトですが、普通のくらしにより根ざした街並みを楽しむことができます。なのであまり宣伝もされない。


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歩くたびに芝居の書き割りのように現れる江戸の街並みを楽しむのは大好き。


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ここへ来るのは3回目。前回は今年2月で茶飯釜の茶事を楽しみました。


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今回は夕ざりの茶事へ。右手にある築100年以上の古い古民家が、会場の峯風庵さん。
主幹のMさんは、とっても素敵な尊敬するお茶人さんのひとりです。


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露地の準備はできあがっているかな?ちらっとのぞいてお家にあがります。

待合には「鴎外の心にとめし 聲 道をいく」の野菊の色紙が。鴎外の時代にこの峯風庵が建てられたからだそうです。

御連客は総勢5名、初対面の方ばかりながら、お茶の話をはじめるとみなさん話題に事欠きません。これも大きな茶の功徳。早くもよいお席になりそうな予感です。

夕ざりは正午の茶事と夜咄のいいとこどりで、客にとっては両方の雰囲気が味わえるほか、亭主にとっては夜咄ほど道具(燭台などいろいろ)がいらないなど、人気の茶事です。
暮れ始めの涼しくなる頃から開始で、帰る頃に名月に送られて、、、というので9月頃は夕ざりに似つかわしい。(もちろん、四季をとわずできます)

汲み出しにお湯をいただいて露地の腰掛け待合いへ。空はまだまだ薄暮。火入れにはウサギ。今月は月見月ですものね。

席入り。

本来初座の床は掛け物ですが、夕ざりは花になります。(暗くなる後座では見えなくなるし。)
花入は江戸時代の虫籠を見立てた物。じない町にたくさん見ることができる虫籠窓(むしこまど:町家の二階の窓の意匠としてよく見られる)になぞらえて。花は縞葦、吾亦紅、ホトトギス、白藤袴、紫紺。

こちらの茶室はMさんの工夫で、畳の上に正座ではなくて37cmのちょうど膝の位置に来るテーブル(古いお蔵の内戸)に椅子なのでとても足が楽。しびれを気にせずに楽しめるのは大きい。亭主も足をもぞもぞ苦しそうにさせている客人をみるとツライものです。

初炭。

炭斗が笊の両側がウサギ〜!になってました。バリ島の雑貨だそうですが、古民具といってもいいような古色があってすてきです。こちらの釜は長火鉢に懸かっています。炉の季節は炉のように四隅に灰をかきあげ、風炉の季節はなんとも複雑、丸灰と向山などを合わせたような、、でも美しい灰型になっていました。Mさん考案だそうです。ちゃんと月形も切れます。香合はこちらにちらっと顔をむけた鈴虫蒔絵。

さてさてお待ちかねの懐石。すべてMさん手作り。しかもいつも料理のアイデアがすごいので勉強させてもらっています。(懐石料理の教室もされています)


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お汁がほら、満月なんですよ〜。思わず頬が緩みました。向付は鯛のお造りに煎り酒(酒に梅干しをいれて煮きる)をかけたもの。こんなのをいただいていたら、思わず話もはずみますよね。

煮物椀は日月椀ですから、ここにも大きなお月様。ハモしんじょうに松茸付き。

焼きものとして大きな丸いお月様のような天ぷらが出てきて、なにかしら?と思えばなんと!イチジクのまるごと天ぷら+田楽味噌添え。これは揚げたてがお菓子のようでとてもとってもおいしかった!(あまりにおいしかったので、翌日自宅の夕食に再現)

強肴は、高野豆腐を切った切りくずを始末して具をいれて甘辛く炊いたもの。江戸時代のじない町の人はこうしたものを日常に食べていたとか。旧家、大家といえども、ハレの日は思い切り贅沢をするけれど、ケの日はこうして質素な暮らしをしていたそうです。


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そして八寸がまたまた感激。小芋の炊いたのにきな粉をまぶしたまんまるお月様。そして海老をくるっと巻いてしっぽを身に突き刺して作ったウサギ!
千鳥のお酒もどんどんすすもうというもの。御連客とのおしゃべりも楽しく、そうこうするうちに日は落ちていきます。
お菓子はじない町の和菓子屋さんの練り切り「青柿」。中の餡がうすい柿色で、表面から透けて見えて、青柿ながら実りの秋はすぐそこ、、、といった風情。


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中立をすれば露地にはもう手燭と、、、


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おキツネさんの灯りがあちこちに。

ここからが幽玄とも言うべき夜咄パートへ。

茶室は電灯は消され短檠の灯りがゆらゆら。床脇にはウサギがちょこんと乗ったアンティークな燭台。手燭をかかげてみる軸は円相。この座で見ると、まるで満月。
こうこうとした電灯に慣れたわれわれには、この和蝋燭の灯りとそれが作るゆらゆらした影が、なんともあたたかく、妖しく、そして美しい。

濃茶は白い萩茶碗でいただく。茶名が「壺中の昔」(祗園辻利)。このじない町を別天地=壺中とみたててとのこと。軸の円相はその壺の入り口を表しているととってもOKとのこと。
付いてきた古帛紗がじない町の旧家からでた着物の一部だったらしき木綿、それをご自身で縫われた物。一見マドラスチェックのようにモダンでありながら、○○間道といわれればそうとも見えるという不思議な生地でした。
仕覆はもちろん花ウサギ。

お点前されながら、この古民家に出会ったいきさつなどを話され、じない町の歴史や今の暮らしについてもお聞きする。とにかくじない町へのなみなみならぬ愛情をひしひしと感じます。

お約束の続き薄で、お菓子は満月のようなじない町煎餅、そして手作りの落雁は舟。このじない町は石川・大和川の水運で開けた町なのでそれにちなんだ舟。う〜〜ん、あふれる寺内町・love!


薄器が桶型。昔は桶に水をはって名月を映したそうだから。茶杓はみなさまの幸いを祈って「幸」。
もうすっかり幸いな心持ちになって露地にでてみると、、、まあ!おキツネさんの灯りがさらに増殖!とてもすてきな夜になっていました。


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お見送りを受けて退出した後、すぐそばの展望広場で御連客の皆様と月を愛でる。ここはほんとうに高台なのだな、とわかる見晴らしの良さ。月も雲間から瞬間その姿をみせてくれました。


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すこ〜し欠けた18日の居待ち月。薄雲の衣をまとって。
「月も雲間のなきはいやにてそうろう」という珠光の言葉を思い出したり。



駅までの道も、道灯り。提灯をもった人とふとすれ違いそうな錯覚を覚えます。


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こんな灯りに送られるなんて、さらにしあわせ。Mさん、ありがとうございます。
また寄せてもらいます。
そして、あわよくば自分も夕ざりしてみようかな、、、なんて野望もいだき、、、(^_^;

(◎-◎;)!あ、大切なこと忘れてた!Mさんとこの猫、一期(いちご)ちゃんに会えなかった、、、(涙)




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● COMMENT ●

何はともあれお茶事の楽しみは格別ですよね。
iいつか自分も亭主一人だけでO・MO・TE・NA・SHiしてみたいものです。
しかしこの流行語には居心地悪さを感じるなぁ…(笑)。

relax様

M先生曰く、おもてなしはあくまで一方通行。茶席は主客ともにつくりあげるものなので、一方通行のおもてなしではないんですよ。とのこと。
まあ、流行語大賞は「おもてなし」ではなくて「じぇじぇじぇ!」であって欲しい。
一人亭主茶事はまだまだ無理そうですわ〜。

夕去りは本当に楽しいですね。

私も昨日夕去りの茶事に伺いました。席入りのあとに薄茶、初炭、懐石でした。
だんだん日も落ちて濃茶はゆらゆらゆれる蝋燭のもとで・・・・
至福の時間を味わいました。

茶々子様

夕ざりは初めてでした。夜咄も好きですが、時の移ろいを感じられる夕ざりはとてもいいなあと思いました。
暮れやすい秋が季節的には一番印象的な演出ができるかもしれません。やりたいものがまた増えちゃった!

私も以前 M先生の夕ざりに伺ったことがありますが 素敵ですよね。
お茶事は本当に楽しいです。
招かれる方も招く方もです。

ひいらぎ様

喚鐘と短檠と、燭台いくつか、、、夕ざりにあと必要な物、、、
う〜む、、、しまう場所がない、、、(>_<)ゞ


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