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2023-12

膏薬図子で美食〜緒方 - 2013.10.03 Thu

四条通り、新町と西洞院のあいだに膏薬図子(こうやくのつし)とよばれるクランク状のほそい通りがあります。


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四条通りから南に図子をはいったところ。この道は10年くらい前はいたんだアスファルトの道だったそうですが、今ではしっとり情緒のある石畳。(残念なことに右手にはまもなくビジネスホテルが建っちゃうんです)


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この図子にも最近、いろんなお店がはいってきました。こちらは和装小物などをあつかっているお店。夜の景色がすてきです。ちなみに図子とは、袋小路の路地の突き当たりを貫通させ、通路として開放したもの。(袋小路は「ろうじ」)膏薬とは空也供養がなまったものとか。



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さて、この図子にある、かねてから行きたかった緒方さんへ。

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町家を改修したのは数寄屋建築で有名な中村外二工務店だとか。中はカウンター席のみで8席。もちろん満席でした。正面には異端の建築家といわれ書も沢山書いておられた白井晟一さんの「反骨」。

緒方さんはかつて室町和久傳の総料理長だった方で、10年前独立してここにお店を開店されました。少し前、婦人画報で緒方さんの季節の料理の連載があり、繊細ながら独創性のある料理写真に一度はいってみたいものだわ、と思っていた願いが叶いました。(←ミーハーです)


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まず一品目は煮物椀の上に萩の小枝をのせた冬瓜のお月様。上限の月っぽいがダンナのは満月だったわ。


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餅米のもちもちしたご飯にイクラをたっぷり。先付けとしては新鮮。菊割のお皿もすてきです。


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お造り。このサワラの分厚さをみてください!感動しました。あとはハモと五島列島のウニを醤油か隠岐の島の藻塩でいただく。このウニが全然臭みがなくて、甘くて\(^O^)/
ワサビの下の菊花絞りも下ごしらえに技があるのかな、おいしかった。


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もひとつ、感動モノの葡萄の天ぷら!(上にのっているのはハモの天ぷら)
葡萄も広島三次の黒い真珠という皮の黒い葡萄(ピオーネ系)で、一口かじるとあったかい果汁があふれてまさに妙なる味でしたの〜。


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お次は食べ歩き用のコロッケを思い出させる辛子蓮根の天ぷらを奉書で包んでいただく。揚げたてなのでほこほこ湯気がでる。


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口の中が熱くなったのを一気に冷やしてくれる鯛の洗い。料理の組み立てとしてうまく考えられています。上にたっぷり乗った大根と茗荷の千切りがうれしい。
お箸がまたいいでしょう?拭き漆の杉箸なんです。


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茄子と鰊の炊き合わせ。私、本来鰊なんかよう食べません。鰊蕎麦なんてもってのほか。なのにここで供されるとぺろっと行ってしまう。おいしいわ
この器もすてきだったの。古伊万里の染付かな。薄手で輪郭の輪花がちょっと不格好にデコボコしているのが時代を感じさせる。


緒方さんは出しゃばりもせず、かといって素っ気なさすぎもせず、うまいことお客さんと会話されている。距離の取り方を客側に苦労させない、というのは実はカウンター席では重要なことだと思うの。



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落ち鮎。たっぷりと子持ちです。頭からしっぽまで完食。卵のプチプチがたまらん。それに「山椒昆布をたいた後のにつめた醤油」みたいなタレがまたおいしい。ちなみに鮎を仕入れるときはオス、メスまとめて、でないと購入できないそうで、オスの方は若い料理人の練習台になるのだとか。


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きゃ〜!松茸!どうするの?それどうするの?

右の土釜でたいたご飯に目の前で混ぜ込んで、、、

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松茸ご飯!新鮮なもののスライスをじかに混ぜるから、その芳香がはんぱなくすばらしい。ああ、、、まったけだ、、、

ここで土釜でご飯をおいしく炊くコツなどを伝授いただく。1合なら20分くらいで炊けるらしい。


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これも古いものとおぼしきレンゲ。いいな、これ。これでいただいたのは、、、、


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これまた、コースの中で葡萄の天ぷらと最高峰を競う鯛の出汁スープのお茶漬け〜!ちょっとスパイスが効いて、お腹が一杯でなければおかわりしてましたね、きっと。


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デザートは胡桃餅。胡麻豆腐は葛でかためるけれど、この胡桃餅はオオバコで固めるらしい。オオバコ?と思って調べてみたらオオバコ科の植物に含まれるサイリウムという植物繊維らしい。
黒文字にちゃんと杉箸が添えられているところに茶味を感じました。

最後のお茶は、もうお腹いっぱいになったであろうことなので、少量の宇治玉露。お腹の負担にならずこれはありがたかった。ごちそうさま。

ありきたりの和食ではなく、独創的、ちょっと冒険していてそれが成功している、といった感じのお料理がすばらしかった。おいしかった、ほんま、満足∈^0^∋


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食後は膏薬図子をそのまま南へつっきって、京都最大級の町家の一つ、杉本家住宅の重厚なつくりをしばし楽しんで帰路につきました。


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お土産がまた泣かせる。食事をいただいたときに使ったのと同じ、拭き漆のお箸でした。




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● COMMENT ●

松茸を炊いたご飯に乗せる技は知らなかった!
今回も美味しそうです!
場所は何となくあそこかなあと思うのですが
鉾町ではないかしら?

美味しそうです~♩
久しぶりに京料理を食べたくなりました。
書が白井晟一の「反骨」ってのもいいなぁ。

ひいらぎ様

あれ、たぶんご飯に下味がついていたと思う。生のスライスって、炊き込みより香りが鮮烈でした。
また葡萄てんぷらお家でためそう♪

relax様

値段はちょっと高めですがその価値あり、です。ロケーションも最高。
反骨というのはなにか新しい物をつくっていく、ということに通じるのでお好きなんだそうです。
10年前に開店されたときに飾ったものを久々にだしてこられたとか。

いいなぁ~

いつも美味しいものをお食べのしぇるさん、うらもしやぁ〜、
今回は最高においしそうで雰囲気もよさそう、でもやっぱ高そうやわぁ〜、

うんv-236ひょっとして、お誕生日の前倒し祝いだったのではv-236ご主人とお二人で・・・ええなぁ~
 お料理もどれも美味しそう!今回は心置きなく御酒いただかれましたか?(笑)
御箸のお土産も付いてて・・・どう考えても「高そうぅぅ~!」

 そして、お誕生日おめでとうございます。乙女会の「ISO」もそろそろ「アラ還」とかにしんと、あかんようになってきましたねぇ~(笑)

ヘルブラウ様

お久しぶりどすぅ〜\(^O^)/
そちらはもう寒いことと思いますが、京都ではまだ扇風機がしまえません。

いつもはすご〜い粗食なのでたまには、、、、どす。
御帰国時機会がありましたら行ってみてね。○兆よりは安いですよ(^_^;

花咲おばさん様

誕生祝いというわけではありませんが、結果的にはそれでもいいような。(でも自分で稼いだお金で食べてるんだしなあ、、)これは月イチ美食倶楽部?(会員約2名)の例会なんです。雰囲気はご主人と行かれるにぴったりのええ感じですよ。お値段も○兆よりはお安いです^_^;おすすめ〜。

今回はきっちり日本酒をいただきました。ほどほどに。

ISOの名前は考えないといけませんねえ。全員がISOを卒業したらかえましょか?


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