今年最後、瓢樹さんも最後の歳暮の茶事 - 2021.12.28 Tue
茶事におよばれして、茶事にお呼びして、今年はコロナ下にもかかわらず(コロナ下ゆえ大寄せの代わりにということもあるが)ほんとうにたくさんの茶事を経験させてもらった。
今年の最後の茶事は瓢樹さんにおよばれ。

洛中六角通りにある瓢樹さんは日本画家・今尾景年のお屋敷にある。残念ながら今年いっぱいでこちらでの営業を終了、別の場所で仕出し専門でやらはるという。こちらには何回か伺わせていただいたが、よい雰囲気のお庭と茶室、数寄屋のお屋敷であった。今後この建物もどうなるのか、わからないらしいのがちょっとこわい。(壊さないで〜〜〜)
ご亭主はお世話になっています、芦屋の古美術・O商店さま、遠州流の茶事である。きれいさびの遠州のお道具はどことなくしゅっとしててスマートだ。
待合に遠州流の先代宗慶宗匠の画賛、方相師と「昨日といい今日とくらして飛鳥川、、」の有名な歌(春道列樹)。方相師は節分の追儺式にでてくるもの、節分は旧暦の大晦日にあたるので、年の瀬にふさわしい画題なのだ。
本席は六畳、藪内好みだと以前聞いた。軸は「普化振鈴」の普化和尚(鈴をふりながら遊行した唐代の奇行の臨済僧であったという)に沢庵宗彭の画賛、これが禅問答でさっぱりわからない(^_^;
鈴を振る=サンタクロースの意味もこめて(^_^;
炭道具も綺麗さび。
印象的なのは、胴炭を手でいれたあと、裏千家では懐の懐紙で指先を清めるが、遠州流は袖の中にいれた紙でわざと音をたてながら清める。「清めましたよ〜」のパフォーマンスなのね。黒い枝炭、薄さ1cmないくらいの薄い薄い輪炭、小指の先くらいに細い点炭、他流の炭は見所が多い。
かわいいサイズの染付の六角香合は、碁を打つ人物が描かれている「碁打」(型物香合番付にあり)。それから、遠州やったのか!の練り香をちぎって入れる流派は。
南蛮の薄いお皿みたいな灰器もよかったな。
(主菓子「雪餅」 末富)
懐石はさすが瓢樹さんの、美味しくいただきお酒もたっぷりいただいた。(河内の天野酒)燗鍋の蓋も三種、それぞれ違う素材ででてくるのが遠州のお約束なのだそうだ。半開扇の古染付向付6客そろいは(すごい!)O商店さんのもの。酒器がオランダデルフトで、ほんま細かい絵が描かれている。石杯もたくさん、かわいい唐津の山杯は正客のY和尚が離さなかった(^_^;
後座の花は藪椿と檀香梅(?)、石州の竹一重切に。
棚は木工細工のような千家ではまずおめにかかることのない装飾性の高い遠州の棚に、遠州七窯の一つ高取の水指である。
濃茶の茶碗におもわず「出たっ!」と叫んでしまう。1年ほど前からO商店さんで目をつけているが高くて買えない御本の茂三(もさん)出たっ!朝顔型に鉢開き、還元と酸化の色変わり、かすかな内の鶴刷毛目、何回みてもいいお茶碗なのだ。(買えないけど)
自分の茶碗でもないのに他の方に自慢してしまうこの心理、わかる人にはわかりますよね。
ならんで玄悦もでてきたので、比較できて勉強になる。
茶入が堺の眼科医であった正意の作、小堀権十郎(遠州の三男)が「あけぼの」と命名。同じ権十郎の茶杓「山の端」とともに。(春はあけぼの、、、山の端すこしあかりて、、、「枕草子」)
薄茶の干菓子は写真撮り忘れたが、どうみてもたこ焼きにしか見えない(お正客さまの別名・たこ焼き和尚)末富さんの黒糖松露が美味しくて、今度自分でも買いに行こうかと。
形がどうみても光悦っぽい信楽は空中(光悦の孫)信楽??、古萩、旦入の黒、古唐津、薩摩?、雲州伊羅保、薄器が庸軒の孫弟子くらいの人の作になる庸軒好み凡鳥棗(蓋の甲に桐の絵 桐に住む鳳→分解して凡鳥)。これに添うのは庸軒と同じく宗旦四天王であった山田宗偏の茶杓「錦手」。
さすがお道具屋さんの茶事だけあって、眼福のみならず、それでお茶をいただけるというありがたさ。このせわしない年の瀬に茶道具の世界にみなさんと遊べてほんとうに幸せだ。そしてありがたい。水屋(なぜか藪内(^_^;)のKさんにも感謝である。
さて、この瓢樹さんののれんももう見られなくなる。押し詰まった最後に行けてよかった。
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