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2023-11

「中国の漆器」〜中之島香雪美術館 - 2022.02.12 Sat



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川と高架道路がぶっちがえているダイナミックさが大阪らしい景色だなと思う中之島。このたびは中之島美術館も新たにオープンし、にぎやかになることと思う。でも今日はそこじゃなくて、その近くの中之島香雪美術館へ。


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お向かいはフェスティバルホール。実は新しくなってからまだ一度も行っていない。しかし立派な建物になったなあ。


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平日ということもあるが、この日の美術館は私一人の貸し切りみたいで、スタッフさんの方が多かった。

漆芸には古来いろんな技法があって、大概は理解できていると思うのだが、存星とかよくわからないのもあり、その分類を学ぶ、、、、しかし、、、それすべて網羅している村山コレクションがすごすぎるのだ。

第一章は彫漆
堆朱、堆黒、紅花緑葉のたぐい。私はダイナミックな屈輪紋(ぐりもん 倶利とも)が好きで好きで、特に堆黒の屈輪は最高やね。大きな箱や盆もいいが、杯や食籠の堆黒屈輪にはよだれがでる。小さいモノでいいのでほしい!まあ無理やけど。


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第二章は螺鈿
螺鈿は私ちょっと苦手。日本のみたいに蒔絵の間に少しだけキラッと光るくらいならすてきだが、中国のは(主に明代)螺鈿で絵を描くが如くでちょっとウルサイ感じがするので。
ここで学習したのは室町時代から続く漆芸の家で、中国の螺鈿細工であるという極めをしていた「堆朱揚成」という家があったこと。村山コレクションの螺鈿細工に添ってきたその極めも展示されていた。
いろんな意匠があるのだが、「許由一瓢」の場面があって、あ、これのことか!と納得したのは、某数寄者所持の茶杓の銘「許捨回用」。顔回と瓢の関係は有名だが、許由が瓢を捨てたのは、枝に掛けておいたところカラカラ鳴ってうるさいからであった。(瓢さえ捨てる悟りの境地)



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(この美術館には燕庵写しの御影香雪美術館にある玄庵のそのまた写しの茶室がある)




第三章は無文漆器
南宋の黒漆天目台といえば尼崎台などの名物だよね。

第四章はお待ちかね、存星
松屋三大名物の一つに今は失われた存星長盆があるくらい貴重なものである。そもそも存星の定義がよくわからない。解説では時代によっていろんな解釈があるそうで、よけいに存星とはなんたるかをわからなくしているようだ。現在の定義では填漆(筋をいれてそこに漆を埋め込む)+沈金が併用されている物、だそうだ。その存星が7点もでているって、すごくない?ほとんどの盆の裏に沈金で「大明萬歴○○年製」などの年号が刻まれているとか、覚えておこう。
ちなみに松屋の存星長盆の意匠は許由一瓢だったという。鈍翁が手に入れその後行方知れずになっているそうだ。これがどこかからひょっこり出てきたら大ニュースになるね。


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(照明効果で朝〜昼〜夜の景色が見られる)


第五章は箔絵・嵌骨(がんこつ)
箔で絵をおいていくのはわかるが、嵌骨というのは初めて聞いた。動物の骨を彫ったところに埋めて絵にする技法。そういえば、漆芸で、象牙みたいに黄色っぽいもので文様ができているのをみたことある。あれ、骨だったんだ。


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(刀掛けもあるよ)

最後の第六章は蒟醤・天川・独楽
蒟醤の語源が、「キンマーク」というタイのチューインガム?みたいなものであるとは知らなかった。(ビンロウの実を蔓草の一種であるキンマの葉に包んで噛む)それをいれた箱を蒟醤といっていたらしい。


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(この玄庵は夜の照明の時には虫の声なども聞こえてなかなか凝っている。照明が作る影が月影みたいで良い感じ)

今回も知っていそうで知らなかったことたくさんあり、たいへん勉強になった。


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現在御影の方の香雪美術館は閉館中である。そちらとこちらは全く雰囲気を異にするが、コレクションはやはりすばらしいわ。


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お勉強の仕上げにこれ買って帰った。積ん読にならないようにがんばろう(^_^;



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