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2023-11

伯耆の国で志野流茶事(+鳥取民藝美術館のこと) - 2022.05.31 Tue

鳥取のお茶友猫さんのお茶事に、京都から3時間かけてでかける。


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鳥取駅におりたってびっくりした!
↓ 3年前に来た時とほとんど変わってないのだもの!

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(3年前の写真)

小さい傘がなくなっているけれど、ほぼ変わらず、しかも古びていない!
(駅の改札が自動でなくて手でスタンプ、だったのもなぜかなつかしくて感動)

3年前の茶事では初めて志野流(香道の志野流とルーツは同じ)のお点前を拝見して驚くことも多かったのだが、今回はゆとりを持って観察できそう。


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少し時間があったので、ごいっしょした、そらいろつばめさんの車で鳥取民藝美術館へつれていったもらう。
柳宗悦の民芸運動に共感して、時に行動をともにし、自分でも工芸のデザインを手がけ「民藝のプロデューサー」を自認した吉田璋也により鳥取の民藝の拠点として建てられたもの。



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吉田璋也は耳鼻科の医師でもあり、お向かいに旧宅が残っていた。美術館の中はまさに東京、大阪、倉敷にもある民藝館と同じイメージ。特に目を引いたのがたくさんあった「牛ノ戸焼」の焼物である。ビールのボトルを焼物にしたようなのが目についた。牛ノ戸焼は江戸時代鳥取で興った窯であったが、明治以降廃業したのを、璋也が宗悦とともに説得して復興した窯だそうだ。描かれた花の絵などは璋也自身がデザインしたものだという。その知識を得た後で、伯耆の国の茶事にいどむ。

ちなみに美術館の隣は同じく璋也が民藝工芸品を販売するルート確立のためつくった、たくみ工芸展。倉敷ガラス調のガラス器にいたくひかれ、持ち帰ることにした。



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さて、なつかしいご亭主・猫さんの「玉兎軒」、芳名録のとこで出迎えてくれた兎さんも3年前といっしょ。また会えたねえ。

また会えたねえでは、京都の社中で以前一緒だった茶友さん(鳥取県在住)に久々に会えてうれしかった!つもる話もいろいろ。


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(御自作の下地窓風しきり 溜精軒っぽい)


待合には鳥取藩の御用絵師だった方の富士山の絵。
豪雪地帯ゆえ、飛騨の金森宗和考案、真珠庵の庭玉軒の内露地と同じコンセプトの蹲居を使って席入り。

初座の軸は有栖川宮家に仕えた国学者であり歌人であった加茂季鷹の墨田川の歌。富士山に墨田川、しかも都鳥を読み込んだものとくれば、これはやはり「伊勢物語」ですね。
眉風炉の灰は、表千家に似て、上にゆるくあられ灰をまいてあって、しかも風炉点前でも炭の時に灰を撒く。

猫さんは今回ワンオペで、懐石もお点前も一人でされる。(前回は表千家のご主人が水屋してくださった)


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今回も鳥取名産、ちくわ豆腐登場。城下町なので、質実剛健を旨とし、贅沢をしてはいけないということで魚のすり身を減らして豆腐をまぜこんだのが始まりだそうだ。


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煮物椀はしんじょうに木の芽をいれこんだもの。さわやか。これはマネしよう。

他のお三方はそれぞれお車だったので、鳥取の地酒「青水緑山」はわたくしひとりが処理いたしました(^_^; (ようするに痛飲)


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途中でお茶をだしていただき、なんだろ?これ枇杷の葉茶に似てる、、と思ったら鳥取のお茶で「はま茶」というらしい。カワラケツメイというマメ科の野草からつくるんだそうだ。所変われば色々あって面白い。
箸洗い(小吸物)の中身がなにか、みんなわからず首をひねったが、つけ込んだ梅酒の梅だったとは!こちらの流派では箸洗いのあとにもまだ強肴がでてくる。美味しくお腹一杯。



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(主菓子 からころも いよいよ伊勢物語)

茶道の志野流は鳥取に直接伝わったもので、お家元は鳥取におられるが、完全相伝(世襲でなく免許皆伝で許状を出せる 石州流などと同じ)で伝えられているという。
猫さんは大学の後輩でもあるので、学生の時は裏千家をされていたが、鳥取に帰られてから地元に家元がいる志野流を習い始めたとのこと。


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(後座の花 蔓系と柑橘系の花)

中立後、後入りの合図を「お鳴り物で」と乞うのだが、なんとびっくり!龍笛の越天楽?がきこえるではないか!そうか、これもお鳴り物、こんな手もあったとは楽しい。(私も鼓などやろうかなあ、、(^_^;)

濃茶では大好きな熊川をだしてくださって、高麗茶碗シリーズが、おお同志!と言いたくなるほどうれしい。
茶杓が今回一番印象に残る。お茶のグループのおつきあいで、本職がバーテンダーという方が作られたもの。なんと本来の節の上と下が違う竹片でできており、中を竹釘二カ所でつないだ、という今まで見たことのない茶杓。しかも櫂先は斜めにしゅぱ〜っと切れ切れ。
銘を「ひとむかし」
グループの10周年記念ということで10年一昔、ということだろうが「むかしをとこ」を連想させてますます伊勢物語。



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そして薄茶にでてきた茶碗がその牛ノ戸焼だったのである。さっき美術館で見たばかりの現物をここで手に取れるとは、、と感慨深い。
思えば隣の出雲は不昧公のお膝元、茶の湯県として有名なので、その陰になっているものの鳥取も実は茶の湯の盛んな場所なのだなあ、と思った。

最後に薄器が木の枝をそのままくりぬいた金輪寺。蒔絵が蔦で、これも伊勢物語の宇津の山、蔦の細道なのね、と大団円。

お開き後は2時間に一本しかない京都直通特急に遅れないようにとバタバタしてろくにお礼も言えず失礼した。駅に送ってもらう車の中で運転するそらいろつばめさんと「茶事ってやっぱり楽しいね〜♪」と語り合ったのである。

(あ、列車には間に合いました、ギリ)



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● COMMENT ●

珍しい志野流のお茶事にお誘い下さいまして、ありがとうございました。
お陰様でまた新しい交流が始まりました。
秋にはこの顔ぶれでぜひお招きしたいと思いますので、よろしく!

そらいろつばめ様

ご相伴ありがとうございました。また新たなネットワークができてよかったです。
帰りもせかしてすみません。無事かえれました(笑)
秋のお招き楽しみにお待ちしています〜!

先日はありがとうございました。民藝美術館も楽しんでいただいたのですね。総合プロデュース、地元の誇りです。実は茶室も作られているのですよ。
またご都合が付けばご来鳥くださいませ。
今年の予定はお手数ですが、Facebookをご参照を。
名称が異なりますが、群言堂(石見文化研究所)で同じ「カワラケツメイ」のお茶を売っているのを見つけました。山口(津和野)でも飲まれているようですし、全国海岸部で、全草使用されているようです。Wikiさんに十六茶にも入ってると書かれていて、おお、と思いました。

山猫屋様

お世話になりました!
巧まずして、いい客組になっておしゃべりがつきず楽しゅうございました。
また地元愛にあふれた席、なかなか行く機会のない鳥取ですが、今回しっかり文化産物かみしめましたよ。
またの再会を念じております。
ありがとうございました。


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