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2023-09

4年ぶりに樫舎菓子のフルコース - 2022.06.02 Thu

ならまち、元興寺近くの樫舎さん。


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何度となく通っているが、カウンター席での作りたてお菓子のフルコースをいただくのは実に4年ぶり。コロナで2年以上おやすみだったが昨年秋に再開されたよし、TLの奈良友さんに聞いていかなくては!と。


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最初に特注奈良絵のお茶碗で御番茶いただきつつ。
思えば4年前行ったときも5月だったわ。メニュー的にかぶっても、美味しいからいいの(次は秋をねらう)


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栃のお盆をだしてもらって、え?これ木目横にしないといけないんじゃないの?とお盆をあっちむけたりこっち向けたりしていると、よ〜く見てください、と。あ、模様は縦だが、木目は横だ!繊維に対して垂直に模様がでるのは栃の木だけなんだそうだ。スプーンも普通横向きの木目は使わないでしょ?と。お菓子の前にこんなことまでお勉強。


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和菓子の粉系材料で、葛よりも高いのがホンモノの蕨粉(普通のわらび餅は芋デンプンでできている)


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これに正確に測った水をゆっくりゆっくりしとらせるように投入。ゆっくりじゃないと吸水にむらができるのだ。時間をかけて蕨粉に吸水させるため、これの出番はもっと後。
ちなみに和菓子屋の仕事は、吸水、加糖、加熱だけなんで全然むつかしいことはやっていない、できの9割は材料=農家さんの仕事できまるのだ、とこれは以前よりの樫舎さんのポリシー。


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直前までお菓子の配達にいってはったので、本来なら陰の仕事、落雁の粉の仕込みから目の前で拝見できた。4年前は和三盆であったが、今回はきな粉(これもこだわりの大豆からできた上質な物)にビーツ糖のみ。つなぎは一切必要ない。木型もこだわりの桜材、目の前で型打ちの技もあざやか


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きれに打ち上がった落雁。
みなさん写真を撮るので、わざわざ電灯を消してくださり、自然光でみるとまた一段と陰影が美しい。


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(特注の台は神代杉と黒檀)

なんの形かというと丸まった鹿。奈良の鹿は神鹿なので食べるのはアカンから、吉野の鹿ってゆうてますって(^_^;
ほろほろの口溶けに、きな粉の香りがたつ。きな粉の落雁ってはじめて。


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さて、さきほどの蕨粉、きれいに固まる前の石膏のようになめらかになっているところを加熱する。葛は半返し、本返しに時間がかかると聞いたが、蕨粉は樫舎方式だと短時間の加熱で完成、こんな色になる。これが本来のわらび餅の色なんだそうだ。


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へらの上で匠に球をつくっては、、、


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きな粉の上に落とす。


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まだ熱い蕨餅で餡をくるむ。(漉し餡、粒あん、お好みで。私は漉し餡)あんなべたべたしているように見えるのに、あっという間にきれいな球体になるのは不思議としか言い様がない。
手が熱くないですか?と聞いたら、和菓子屋は掌はやけどに強いんです、と。でも掌以外はいつもやけどをして、その腕で(製菓用にと)注射器を買いに行ったら職質された、という逸話もお聞きした(*^o^*)

でも、この蕨餅、まだ食べられない。冷めるのを待つ間もう一品。


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中身の餡は備中白小豆。川筋が一本違えばできも異なるというむつかしい白小豆、樫舎さん納得の契約農家さんのもの。今度は白小豆の粒を楽しみたく、粒あんにて。


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馬の毛(表面に顕微鏡レベルの凹凸があるのが良いらしい)のきんとん篩で裏ごし。こしたあと、篩いを持ち上げたら、編み目にきんとんはまったく付着せず、下にきれいに落ちていたのには驚いた。


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餡玉にはりつけていく。(自分でもやったことあるが、きれいな球にしようと思うとどんどんでかくなって、、、)


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さらに裏ごしならぬ表ごしの技までみせていただいた。


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これも自然光のもとで見るとほんとに美しい。
銀朱の椿皿は薬師寺で使われている什器と同じ物。


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さあ、やっと蕨餅に到達。最初作り始めてほぼ最後にいただく。上からきな粉を篩ってもらって、ああ、なんというテクスチュア!日頃食べているわらび餅とは別次元。しかもできたてというのが贅沢。
お皿は春日大社の根来。中の黒漆を出したいと、せっせと使うが、全然丈夫で朱塗りがはげないとのこと(^_^;


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最後にデザートのデザート的な一品。
ほかほかの餡をその場で最中に詰めてくれる。


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手渡しで、最中の皮がほとんと吸水しないように、すぐ食べる。皮がぱりぱり、ほんのり温かい餡が美味しい。


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飲み物は番茶、抹茶、ケニア産コーヒー、そして最後がほうじ茶。一煎目と二煎目は別の杯という気の使いよう。お茶は入れるたびに香りと味が変化するからね。

あれだけ糖分をとったはずなのに、胸焼けもせずちょうどよいお腹具合、目にも口にも心にも美味しゅうございました。今度は秋に参ります〜!




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