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2023-10

3年ぶり乾山光琳忌茶会2022〜嵯峨・平安郷 - 2022.06.10 Fri

嵯峨の平安郷、毎年乾山、光琳兄弟の忌日(同じ日!)6月2日前後に茶会がおこなわれていたが、コロナで2年間おやすみ。今年久々に、規模を縮小しても行われるとのことで、喜んででかける。


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平安貴族も愛した月の名所である。平安中期、宇多天皇の皇子・寛朝僧正が建立した遍昭寺の境内に人工的に作った池。今日も良い天気で美しい嵯峨の景色だ。(歴史的風景保存地区)


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その畔にある平安郷、3万坪という広大な敷地に点在する茶室で、例年は濃茶、薄茶席二席、点心席があるのだが、縮小バージョンとして濃茶席、薄茶席、点心はお持ち帰り、、、である。残念だが人数を絞っているため、例年の長い待ち時間がほぼゼロという利点も。


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敷地内はマイクロバスで移動、ここは濃茶席の待合。


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広沢池が一望できる特等席で、この待合もひさしぶり〜。また来ることができて感激である。ああ、なんて気持ちの良い。


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中の茶屋の濃茶席の席主は乾山荘。神戸海運業の大財閥乾家(乾汽船)のお宝がならぶ。
昨年会長であった乾英文氏が亡くなり、その追悼の意味もこめて。

ちなみに英文氏のお父上、乾豊彦氏は数寄者で茶人としても有名、光悦会の肝いりでもあった。いつか最近の社長さんはゴルフばっかりしてお茶しないからあかんな〜という話をしたら、乾さん(豊彦さん)は茶人でもあり、日本ゴルフ協会の名誉会長ですよ、とだれかにいわれたことを思い出すなあ。


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乾家につたわるお宝はまた半端ない。

小間で拝見した有楽の一重切花入れは黒くつやつやで、夏椿の白がとてもよくうつる。
宗旦の釜師・西村九兵衛の宗旦所持四方釜は藤田家伝来。これをちゃんと火に掛けて湯をわかしてくれているからありがたい。風炉の灰は官休庵の霰灰で美しい。そばに堂々たる伊賀の水指。
よく残ったね、と言いたくなるのがやつれて黒くなった石州の竹蓋置。
主茶碗はのんこうの蛇蝎釉がうねうねとまさに銘「荒磯」の景色、ここらへん光悦の影響もうけているだろうな。



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さて、ハイライトはなんといっても瀬戸茶入、もちろん広沢手(広沢池の隣だもん)。遠州の箱は「草枕」。
これについていた遠州の小さな歌色紙が絶品だった。(私の中で)
10cm四方の料紙は撫子の花、上にうっすら三日月

  「旅行のこころを   草枕 夕べ夕べに敷き捨てて 変わる野山の月を見るかな」

そして茶入の銘を草枕、、、と。こういうのを見ると日本人に生まれて良かった〜とさえ思う。
茶杓は乾山(乾山忌だし)共筒「落雁」。けっこうすごい蟻腰。



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忘れてならないのが本席の軸「波上観音」、室町の画僧・雪村である。波の上を蓮弁にのった観音様の穏やかなお顔。
控えの釜(実際にお点前に使われた)ですらなにげに古芦屋だものなあ。



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マイクロバスでまた移動、上の茶屋・MOA美術館席へ。


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ここの茶屋の前の景色が好きなのだ。

軸は酒井抱一が大田南畝に宛てた光琳忌の文と、本席では光琳の「波に白鷺図」。
煙草盆の蒔絵が曳舟蒔絵で、まさにこの景色、広沢池に係留されている小舟の景色。これをのせる行李蓋の煙草盆が自然の松の根元を使っているので、穴があいたり節があったりと面白い景色。

仁清の下蕪の花入れにはシモツケ、ホタルブクロ。

徳元の風炉釜は金銀の象嵌入りで色も形も華やか、甲冑師だしなあ。
大好きな古染の葡萄棚水指でた〜!野村のはもっとかせているけれど、MOAのはホツが口周りだけで、ほぼ完品にちかいのではないか。


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主茶碗が膳所光悦。これは光悦が単に膳所で焼いた物と思っていたが、なんと家光の品川東海寺お成りの時に遠州が光悦に膳所窯(遠州七窯の一)でやかせた(もしくは膳所の土を使った)二つの内の一つだという。(もう一つは個人蔵)白っぽい部分に茶色のぶちがはいって、個人的にはちょっと、、(^_^;
替え茶碗の黄伊羅保はよかったなあ、ほんま。

茶杓は桂宮家仁親王(江戸中期の宮)、銘を「みなれさほ」
どゆ意味???と思ったが、<水慣れ棹>だったのね。曳舟といい、棹といい納得。

ああ、やっぱりいいもん見るとこころが潤うわ〜。


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ちなみに持ち帰って家でいただいた点心はこちら。吉兆さんので美味しかった。


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帰り道の広沢池のほとりにはタチアオイがもう咲いて、天候といいもう真夏の雰囲気であった。


<おまけ> 遍昭寺について

広沢の池を擁した寛朝僧正の遍昭寺は、かつて大きな堂宇を誇ったが、荒廃、応仁の乱で廃寺となったが、江戸時代縮小復興され現在に至る。広沢の池を少し南に下ったところにある。


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山号は当然ながら広沢山


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平安の往時を偲ぶよすがはもうないが、嵯峨にたたずむしずかなお寺である。



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