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2023-09

讃州にて官休庵の茶事 - 2022.06.20 Mon

私は岡山の産なのだが、実は瀬戸大橋をわたるのは初めて。


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小学生の遠足が高松の栗林公園だったりしたのだが、宇高フェリーの時代でしたのよ、おほほ(^_^;
関西にいってから、渡る用事もなかったし。なので初瀬戸大橋に興奮。
「鎌倉殿の13人」も見ていることだし、かの有名な屋島ってどれ?どれ?ときょろきょろ。屋島も行った記憶があって、島の形は覚えているのだが。


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と、思ったら屋島って地続きだったのね(^_^;高松駅に着いたら見えたわ。でも江戸時代までは島で、もちろん源平合戦の時はやっぱり「島」だったのだ。ウン十年ぶりの讃岐である。

さて、そんな屋島の近くに二足のわらじを履いている官休庵の「先生」のお茶事に、師匠に連れて行っていただいた。


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お稽古や茶事茶会のためだけの建築で、先生がご自分でデザインして作られたすごい建物だった。小間もあれば広間もたぶんいくつか、腰掛け待合が露地に2つ、室内にもあったような。

待合には応挙の鮎図、煙草盆+火入の絵付けが三好木屑(もくしょう)という大阪の指物師というのは初めて聞いたお名前で学習。三代木津宗詮(聿斎・建築でも有名で貞明皇后の秋泉御茶席作った人)に官休庵の茶の湯を習ったというから、やはり官休庵ゆかりの方。
待合の戸を開けるとそこにはまぶしい緑の露地。
露地の植栽は町中とは思われず、大きな杉の木が小間の躙り口近くにあったのが印象的。
我々がすわる腰掛け待合の足下のたたきに切り込みを入れて、露地をはしる小さな流れを通していたのには驚く。こんなの見るの初めて。
青々としたシュロ箒、蕨ほうきまで完備、円座はもちろん讃岐円座〜♪(お尻に敷くより頭に載せたいお値段)

席入りの前、官休庵では座掃きの音をざっざっと聞かせると聞いたが、そのとおりだったので感激。そういえば官休庵の茶事は初めてだ。
小間の茶室は三畳(上げ台目)中板、中柱、客座は片流れの駆け込み天井。う〜ん、建築士のI君を連れて来たい(^_^; 茶室に電灯器具は一切無く、雨模様だった茶室の中は良い感じに暗い。(ただ懐石の色がワカラナイ)
釜は定林の切り掛けだが、風炉の肩のところに唐草や法相華?みたいな透かしが全周にはいっていて、どこか西洋風でとてもすてきだった。

軸は官休庵六代真伯(江戸初期〜中期)の「斧頭元是鉄」。(大燈国師語録)
だ、、だから何?とシロウトは聞き返したくなるのが禅語だよね(^_^;
ここから怒濤の官休庵歴代の名前がでてきて、聞き慣れないものだから頭の中ごっちゃごちゃ。(間違ったらごめんなさい。)

懐石向付は古伊万里(初期伊万里?)の無地の杯みたいな形。(小ぶりなので焼物とかいれるの苦労した)煮物椀のアワビ厚切りと、炊き合わせの蛸の足が柔らかくて美味しくて感激。お酒は香川の地酒・凱陣というのをご用意くださった。
主菓子は先生お手製の抹茶色のきんとん「早苗」。

そして今回一番のご馳走は、炭手前の香合である。
「名取川香合」
埋もれ木で5つ半作った、というエピソードをいつかの乾山光琳忌茶会で聞いてかすかに記憶があったが、官休庵では「かの有名な、、」で語られる香合なのである。
仙台藩が宮中に治めた埋もれ木(太古の大木の化石、仙台名産)が九条家を通じて下賜され、官休庵七代・直斎が四代宗哲に6つ作らせた物で、一つだけ木が足りず、蓋だけ作ったというシロモノ。
長方形で錫縁、蓋をあけると底に細かい波の蒔絵、蓋裏に「名取川」の朱書。本歌は四代宗哲だが、これは後の写しで五代宗哲によるものだとのこと。
今回、しっかり逸話を復習した。(たぶんすぐ忘れる、、、)



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後座の花は夏椿、直斎の竹一重切にて。
透かし入りの風炉にあわせるのは古備前の種壺水指かな。
主茶碗は失念したがたぶん官休庵歴代のだれかの手びねり黒楽だったような。茶入が真塗小棗、これは木津宗詮聿斎?(ここらへんもうごっちゃで覚え切れんかった)茶杓が初座の軸を書いた真伯で銘を「筧」。
お干菓子は誂え、、というか木型から誂えたという「抱杏葉紋」、一見抱茗荷に見えたが、こちらの小間席の名前に「杏」の字が入るので、そこから作られたという。(ちなみに先生の本業は「杏林」)
薄茶の茶碗がたくさんでてきたが、一番印象的だったのは(私には珍しく絵茶碗で)古清水を彷彿とさせる理兵衛(理平)焼の小碗。理平焼は高松藩のお庭焼として作られたそうだが、古清水連想は理平のルーツが粟田焼、仁清焼なので、まちがいじゃない。ブルーと緑系の独特な色彩でかわいらしかった。持って帰るとしたら、これやな、、、と勝手な想像(^_^;

かくしてリズムよく茶事は進行しお開きとなり、ふたたび瀬戸大橋を渡って、讃州を後にした。
いや、官休庵まみれの楽しい一日だったわ。先生、師匠、ありがとう!









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