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2023-09

栄西禅師800年大遠諱慶讃大茶会・四頭茶礼など〜建仁寺 - 2013.10.28 Mon

茶の種と臨済禅を中国から持ち帰った栄西禅師の遺徳を偲ぶ。茶の湯を志す者にとってはとりわけ。禅師が入寂して来年でなんと800年!考えればすごいことだなあ。


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大遠諱慶讃大茶会が建仁寺でおこなわれたのですが、時悪しく台風の接近によりこのように土砂降り。でもがんばって着物で行ったの。着物は雨コートでなんとか、でも足袋はぐちょぐちょ。(替え足袋をたくさん用意しておくべきでした)


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建仁寺さんの生垣は茶の木。今は花期なのでたくさんの椿に似た花がついています。しかし、、、道に池ができとるがな。


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茶の招来800年を記念して建てられた茶碑にもこの日はお茶が供えられていました。

メインイベントはなんといっても四頭茶礼。中国の禅宗寺院でおこなわれていた茶礼で毎年4月の栄西忌に行われているものですが、今回は慶讃大茶会ということで特別に。

一昨年の栄西忌で一度四頭茶礼を経験していますので、今回は四頭の頭のひとり(頭=正客・4人にそれぞれ8人の連客、計36人が一堂にお茶をいただく。詳しくは上記のリンクを見てね)をねらいましたの。


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まあ、こんな感じの配置ね。実はこの画像一昨年のもの。この時はみなさんバシバシ写真撮り放題だったのですが、さすがに今回ははばかられて。で、一昨年の画像を並べてみますね。


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正客になるメリットは、各頭の席に広げてある座牌という座布団のような布(江戸時代のものらしい)を触れること、そして給仕の(イケメン)お坊様が胡跪(片膝つきのひざまずき)でお茶を点ててくれること。(連客の茶は立ったまま点てる)なんだか昔のお公家さんか殿様になった気分∈^0^∋ のほほほ、、、


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一昨年はこの方丈の屋根は銅板から本来の形であるこけらに葺き替え中で、テントに覆われていたのですが、ずいぶんすっきりしました。


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それでも耐久年数は25年くらいということなので、すでに次の葺き替えのこけら寄進がおこなわれています。私も寄進しましたが、、、、今から約30年先、生きてるかどうだか、、、(^_^;


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四頭以外の茶席は建仁寺のあちこちの塔頭にちらばっているので、そのたびに雨コートを脱いだり着たり雨の中を歩くのはなかなかの苦行。


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唯一の濃茶席(霊洞院)はこの日、藤田美術館がご担当。館長さん、意外とお若い方でびっくり。


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藤田といえば国宝の曜変天目など良いものたくさんお持ちですものね。東山御物の砧型青磁花器なんかでてましたわよ。マンサクの照葉に吹上菊がよくにあってました。京都の釜師西村道也(18世紀ごろ)の侘びた四方釜がまたよくてね。同じ形の釜、もっているのですが釜肌が全然ちがう。

津田宗及の茶杓・共筒(筒書に天正12年の年号あり)は鼻息たっぷりかけるほど至近距離で拝見。信楽水指箱書きの「大黒庵」は、、、紹鷗のもの。中興名物だって。

、、、、というようなものがたくさん。

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雨ながら、、いえ雨ゆえにお庭の眺めもすばらしい。


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茶の花はツバキ科だけあって、椿に似ているけれどもっとつつましやかな感じ。うちの茶の花は今年1輪しか咲かなかったけれど、ここのは満開って感じですね。


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お次はいつもなにかとお邪魔している両足院。


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6月には半夏生がすがすがしく生い茂る庭園。表千家・大中会席。


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このお庭にある六畳の茶室・臨池亭でお稽古されているお社中さんだそうです。うらやましい環境ですが、冷暖房完全完備のお茶室でのお稽古はそれなりにたいへんだとか。


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淨元の小丸釜、淨雪の鉄風炉。灰は鉄風炉ですから、かきあげになって赤い前瓦。水指が蛸壺に唐津釉をかけた侘びたもの。掛物が「心外無別法」の一行。なんと吸江斎(幕末の頃)11歳のときの書。小学生くらいでこんな字を書くか!昔のお子はみなこんなだったのかしら。


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雨もまた美しい両足院を出てまたまた雨の中。


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杉苔も水没しとるがな。(@_@;)


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続いて久昌院では表千家の重鎮、堀内長生庵。堀内宗完宗匠は先日高台寺・北政所茶会で御献茶されておられたのを拝見しましたが、そのときはきびしいお顔付でした。でもこの日はとても楽しそうににこにこと、お道具のことをはなしだしたらとまらない、という感じでお話しされていたのが印象的。


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こちらの席では与次郎の小万代屋釜を拝見。本席の軸が如心斎の消息で、「歌二首を書くのにどっちの様式がよいか?」というような内容で、堀内家初代仙鶴にあてたものが挿絵いりでなかなかおもしろかったです。
それから見た目同じ金輪寺とずん切りの茶器の違いなども教えていただき勉強になる。如心斎好みの稲塚花入も印象的。

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菓子器がなんとエルメス!宗匠がパリにいかれるだびに集めた物だそうで、パリでもとめたにも関わらず、本漆塗りでは?ということでした。

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点心は禅居庵さんにて。お給仕はまたまたイケメン坊様。青い目の坊様もいらした。こちらの奥様は某有名イラストレーターさん。


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禅居庵の庭にて。今年は10月も月末になってまだ金木犀が元気なのにはおどろいてしまう。


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食後はまた気合いを入れ直して、正伝永源院、三斎流の席へ。

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ここは先日細川護煕さん作の襖絵が話題になったところですよ。


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そして織田有楽斎の墓所でもあります。そう、あの国宝の茶室、現在は犬山市にある如庵は元はこの塔頭にあったのです。


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境内には数寄屋建築の第一人者・中村昌生先生監修による本歌とうり二つの如庵が再建されていました。有名な鱗板はなんとか見えるのですが、有楽窓はどこ???


三斎流は初めて拝見する流派ですが、細川三斎を祖と仰ぎ、三斎の門人である一尾伊織が許しを得て興したので一尾流(いちおりゅう)ともよばれるそうです。現在家元は出雲在住だそうで、出雲にちなむお道具をたくさんだしてはりました。完全な武家点前で帛紗は右腰、細川家の九曜紋入りの帛紗。礼はサムライみたいに両手を脇に控える。茶筅を置くときなど、刀をつきだしているような勇ましい感じ。お家元はとても気さくな方でしたが。


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お菓子も出雲のお菓子屋さん謹製で銘を「白菊」。これ聞いてピーンときました。細川三斎が伊達政宗と争奪戦をした一木四銘の名香が「白菊」ですものね。


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さて、本日いよいよ最後の席は、西来院・武者小路千家の木津宗匠のお席。


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武者小路特有の綺麗な赤い飾り紐+房の巻かれた矢筈棚を初めて見ました。
これには七宝の水指、柄が煤竹で裏が漆塗りの柄杓というのがお約束の棚なんだそうです。お公家さんの家で冠を置く棚(冠卓)からヒントを得て考案した物だとか。だから貴族趣味的な感じで、お茶の棚としてはちょっとめずらしい。
私たちの席が最後だったらしく、大サービスで当代の楽さんの赤楽茶碗、全員に回してみせてくださった。ラッキー。

さあ、これで朝からほぼ6時間、お茶にどっぷりつかった一日は終わりです。


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お茶を日本にもたらしてくださった栄西禅師にあらためて感謝。

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これは建仁寺境内の茶の生垣になっていた茶の実をちょっとわけていただいたもの。禅師が持ち帰った茶の種はかくもありなん、、、なんちゃって。



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● COMMENT ●

わ〜!四つ頭行かれましたのね。
私は気がついたら もう申し込みが終わっていました。
行きたかったのは何といっても正伝永源院でした。
聞く所によると今回はチケットが少し余っていたとか。残念でした。
またの機会に行けるかもしれませんね。
こうやって画面で見せていただけてありがたいです。

ちょっとがっかり

私は,日曜日に参りました・・・。

金澤方圓庵の御席は,「花入は,掃溜めで見つけましてん」と「掃溜め」を5回くらいも連呼。受け狙いかも知れませんが,下品なこと,極まりませんでした。

大塚宗香先生の御席は,正客だったのですが・・・開始早々,「和尚さんが挨拶に見えたので・・・」と中座されて,何のやり取りもないままに,代行の方が引き継がれ・・・大塚先生は,お戻りになりませんでした・・・。

北村美術館の御席は,館長さんの軽妙洒脱な御話でスタートしましたが,ほどなく中座され,お戻りになりませんでした・・・。

長時間にわたり,何席もこなされるので,お疲れというのは,わからなくもありませんが,楽しみに参った者からすれば,一期一会は,絵空事なのかと,ちょっとがっかりした次第です。

ひいらぎ様

その800年大遠諱法要で来年の4月の四頭はない、と聞きました。なのでこんな時期にしはったんですね。
2回堪能したので、もういいかな、、と思っています。4月のはめちゃ券手に入りにくいし。

やなぎはみどり様

それはいろいろとお気の毒様でございました。
私は大寄せはあくまで道具の拝見、とわりきっていますので、茶味を期待しないぶん、あまりガッカリすることもありません。金曜日はどの席の席主さんも楽しそうにつとめておられましたので、かえって感激でした。むしろお客さまのほうのマナーの悪さがめだってたかな(^_^; 満員電車でお連れさんの席をがばっととる方いるでしょ?あれの茶会バージョン、、、、

雨の中、大変でしたね。でもこれだけのお道具を拝見なさったのだから行った甲斐はあったと思います。天王寺屋会記を習っている者としては、宗及の茶杓などはぜひ拝見してみたいものです。
それにしても、しぇる様の行動力には頭が下がります。

そらいろつばめ様

これほど大雨の茶会ははじめてでした。ほ〜んと大変だった、、、まあ、その甲斐はありましたけれど。
茶杓は拭き漆でもしたのかと思うほどつやつやでした、使いこなしてここまでの色になったとしたら、、、、すごいことですね〜。


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