祇園祭2022〜太子山・秦家住宅にて - 2022.07.15 Fri
14日まだ宵山期間中の前だが、すでにあちこちの山鉾で粽が売られたり、駒形提灯に灯がはいったり、そぞろ歩きの人もでて、うきうきなのであるが、「♪ろうそく一本献じられましょう」の子供達の歌は聞こえない。

そうでなくても、鉾町の南の端、西の端である太子山はいつも比較的静かで風情があるのだが、コロナ以降よりさらに静かでよいたたずまいである。(インバウンドが帰ってくるまでにせっせと楽しまなくては!)
例年は太子山の会所飾りをされる秦家であるが、コロナ以降、太子山は会所飾りをしない。
そのかわりに昨年から、お座敷で中国茶とむしやしないの会をされている。
よっていつもは太子山の幕がかかるところ、今年は秦家の家紋入り幕(麻製で上等)がかかる。だから久しぶりなんだそうだ、この幕かけるの。
秦さんのお家には祇園祭の時以外にも、何回も来させてもらっている大好きな京町家(重要文化財)である。昭和61年まで、小児薬「奇應丸」の製造卸を家業とされていた。
創業1700年というから300年以上の長い歴史の商家では旧家中の旧家である。左手に見えるのが「奇應丸」の看板である。
今回初めてその奇應丸の実物を見た!なんと小さなつぶつぶなんだろう。赤ちゃんの夜泣きに飲ませる薬だったので、納得のサイズである。
坪庭が見える表の間の一画で、好日居さんの中国茶会から。
ウエルカムティーは冷えた菊花茶にて。カルダモン入りだそうでさわやか。
秦家では梅仕事として毎年梅を煮詰めたエキスを作っているのだが、その時の副産物を使って作った寒天。梅にブランデーのソースがきいている。添えられた杉の枝は太子山のご真木からいただいたものとか、ありがたい。
ちなみに他の山鉾の真木は松だが、太子山だけは杉なのである。四天王寺を建立するにあたり、聖徳太子が自ら山に入り杉を切ったという伝承から。
本日のお茶は白茶
飲んだ後の聞香杯の香りがたまらん。
最後に沈香茶。
奇應丸を作るにあたり沈香なども材料であったことから是で締めるとのこと。香炉で沈香を焚くことはあっても飲めるとはしらなかった。でもかすかにあの沈香の香りにまちがいない。今度やってみよう、、、と思うには沈香お高いのよね(^_^;
玄関の間に聖徳太子像とともに飾られたヒオウギ。
ここをとおりぬけて奥の座敷へ。
こちらで秦さんお手製のむしやしないに、棗入りお赤飯、きずし、冬瓜のお椀をいただく。お酒も「祝詞」という祇園祭っぽい銘柄。
奥の間から表の間にすっと通るこの姿こそ町家の醍醐味、町家は夏に限るなあ。しかも鉾町なら祇園祭のときが最高だ。これで格子戸のむこうで♪ろうそく一本、、が聞けたならなおいいのに。
秦さんが小学生の頃は、祇園祭といっても学校は休みにならず、中高生になったら期末試験の最中で、お祭りで騒ぐこともできず残念だったそうだ。先代のお父上の時もそうで、祇園囃子を聞きながら二階で勉強していて、クワガタに手を噛まれた?という話を毎年祇園祭の食卓でされていたとのこと。
3年前、こちらでいただいた秦家名物?ひゃくいち(大根のおつけもの)と豆ご飯が美味しかったという話もお母上とさせていただいた。
そうこうするうち時はうつり、最後に太子山の、青々としたほんものの杉の葉付き太子山粽をいただいて帰る。
帰り道は木賊山、芦刈山など通り、どこも静かで四条通に近い山鉾町よりだんぜん風情がある。
まだお囃子をしていた舩鉾でお囃子をしばらく聴く。
いまだ不完全ながら、鉾町に祇園祭がようやく帰ってきた。
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