祇園某数寄者の会2022夏 - 2022.08.15 Mon
またまた久々に、すごい好き者、、、でなくて(^_^;数寄者が祇園某所につどいて眼福・口福の会。
会の後にみなで行った祇園・松むろさんのお料理とともにお届けします。まあ自分用の備忘録として。

このたびは夏と言うことで、主催者さま(K先生)の大好きなバカラ祭り、一体どれだけでてきたことか。名品を手でさわりながら、時には口をつけながら楽しむひととき、茶の湯への造詣の広くて深すぎるK先生に学び、ご同席のまた知識が豊富すぎる数寄者の方々に学び、ほんとに勉強になりました。
(胡桃豆腐 お酒は獺祭)
待合でさっそく出てきたオールドバカラ(1936年以前)のグラスのくみ出しで、碾茶の!水出しをいただくが、この碾茶があとで濃茶で出てくるすごいお茶だった。
待合掛けに話題沸騰。
夕顔(瓢箪)棚の下でくつろぐ半裸の男女、、、どこかで見た図、、そう久隅守景の国宝「夕顔棚納涼図屏風」へのオマージュ。描いたのは岡山池田藩家老かつ大茶人でもあった伊木三猿斎(お庭焼が虫明焼)
その守景の絵のさらに元になったのが木下長嘯子の歌「夕顔の咲ける軒端の下涼み 男はててれ(襦袢)女は二布物(ふたのもの=腰巻き)」であったことを今回学習。
しかもこの掛け物、K先生が瓢箪の絵の古い手ぬぐいを探してきて中回しにして軸装し直した物だとか。あまりにぴったりの絵柄にこれは面白い!と膝を打つのである。
本席にはいってまた膝を打つ!こんな楽しいお道具があるなんて知らなかった。軸は竹屋町縫表装、つまり紗の布に絵も中回しも上下も風袋まで縫い(刺繍)で、全体として透けているのである。絵が極楽鳥であったが、中回しの兎の名物裂(前向き兎でかわいい)っぽい文様がおしゃれ。光を通して壁に影をつくっているのも涼しげだ。
天井から釣られた花入れはオウム貝に南鐐のコイル状鎖をつけた物に白い鉄線が一本。香合は一見日本の切子のように見えるが、これもバカラのコスメ容器なんだそうだ。
(松むろさんもバカラ祭りの続きでローハングラスに入っているのは山芋とジュンサイ)
お宝が菓子器で、春海バカラの鉢のなかでも希少(本社にも残っていないそうで)といわれる祥瑞の様々な文様をねじってあるもの、金縁。+その原型となった明末の祥瑞ねじり文様鉢。さわるとガラスの角が立ってチクチクするのが心地よい(ツボ刺激?)。はいっているお菓子は竹筒にはいった葛と寒天の透明度の高い水仙。(奈良・樫舎製)
(毛蟹は夏がシーズンなんだ)
濃茶がさきほどの水出しに使った碾茶を臼で挽いた物だったが、昨年の農林水産大臣賞受賞、碾茶日本一になったお茶なのだそうだ。(生産者・阪田広樹さん・久御山町)まだ茶銘もついていないピカピカのお茶は後口にお茶の葉の香りがして苦みも少なくさわやか。(あとで一缶拝領、感謝!)茶碗は井戸脇。
茶入は一見して真塗りの棗だが、よ〜く見ると光を透かすところがあって、、、なんと鼈甲製、薄い鼈甲を加熱してあの形につくるのだそうだ。今はもう新しい物は作れない。
茶杓が一燈の二本セット「蝉(瀬見)の小川」。裏の削りが一刀一刀跡が残っていて独特。使わなかったもう一本はずんぐりむっくりの面白い形で蝉にみえなくもない。ちなみに瀬見の小川は下鴨神社糺の森を流れる小川である。季節ぴったり。
ふたたび出てきたバカラに入った竹筒のお菓子、見た目はさきほどのと変わらないが、中身が水羊羹、鍵善良房製。これも美味しかった。
濃茶の時は普通のバカラの水指であったが、薄茶のは春海バカラの枡形。
主茶碗が瀬戸唐津の皮鯨でなかなか渋い。小さい繕いの部分に青海波の蒔絵あり。銘を「席田の鶴」
岐阜県席田を流れる糸貫川は平安時代から鶴の飛来する名所だったとか。
他にも赤楽平茶碗など、宗入と聞いてまた手にとりなおし見直した。粉引もよかった。
薄器が七代宗哲の夕顔、待合の軸に呼応する。
茶杓がご連客のお一人がお持ちになったものを使われたが、櫂先だけが色が違う。なんで???と思ったら櫂先以外の竹皮を削ったものなのだそうで、一見蓮弁に見え、時節柄ぴったりである。共筒に細かい細かい細字般若心経が彫り込まれる超絶技巧、どちらかといえば煎茶テイスト。明治に活躍した岡橋三山作。
(下にかくれたもちもちご飯が美味い)
最後に脇床に飾ってあったガラスのペアの花瓶、バカラのジャポニズムもので、鳥の文様に梅の足(金をかぶせてある)。これの裏に、、、初めて見た!1936年以前のバカラに刻印のかわりに貼ってあったというブランドシール!(直径1cmくらい)
ちなみに1936年以前のものをオールドバカラ、1936〜1969年までのをヴィンテージバカラというそうだ。Baccaratのサインが入るようになったのは1990年以降ととても新しいのね。
(冬瓜)
こういうお道具の楽しみ方もあるのか、、、といつも来るたびに驚かされるし、楽しいし勉強になる。K先生と博覧強記の数寄者ご連客方々に深く感謝である。また次の季節が待ち遠しいこと!
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