シラカシでストールを染める〜アトリエシムラ・ワークショップ - 2022.09.02 Fri

本日はここ、高島屋からの連絡通路もあるGOOD NATURE STATIONにて草木染めワークショップへ。
草木染め・紬の人間国宝志村ふくみさん洋子さん親子(説明はいらないですね)が主幹の草木染めの学校・アルスシムラの主催である。アルスには友人が通っていて今春独立、織り姫さんとなって、現在私の草木染めの着物を依頼しているところ、自分もちょっと草木染めかじってみたくての参加。
GOOD NATUREの開放的なスペースの一画で軍手ゴム手の準備が整えられていた。教えてくださるのはシムラの若い女性である。染色は結構肉体労働と聞いていたので、こんな華奢なかたが?と驚いたが、草木染めを志村先生に習いたくて関東から上洛されたという情熱の持ち主。
草木染めの染料になる植物は一言でいえば何でもあり、なんだそうだ。スタンダードなもの=藍、紅花、茜、刈安などなど=だけでなく、道ばたの草など、これで何色になるのか?と不思議に思うようなものまで、ドライにしたものもあればフレッシュな摘み立ての葉っぱを使ったものあり。自然はさまざまな色を与えてくれる。
さて、8月の材料は「シラカシ(白樫)」ひらたくいうとドングリの一種。
半日のワークショップなので、染色液はアルスの方が前もって用意してくださっている。シラカシを山ほどひたひたの水で煮て、一晩放置、翌日また煮てこんな色の染色液ができる。これを見ただけではどんな色に染まるのか見当もつかない。
さて、ここからシルクのストールを染めていくのだが、染色中はそれに集中するので画像はない。
最初の段階で染色液はぬるま湯程度。水で濡らした白いシルクを液につけて、まんべんなく行き渡るように手でずっと布をかき回す感じ。液の匂いは、はと麦茶の匂いが一番近い感じで、飲めそうな気すらしてくる。ご一緒した方々とおしゃべりしながらかき混ぜるので10分弱があっという間。
一回目、布はかすかなベージュ色になる。これをGOOD NATUREの吹き抜けのテラスで風にさらして少し乾かす。これがなかなか開放感があって気持ちよい。
二回目は染色液の温度が少しあがる。軍手にゴム手でもちょっとあちちという感じ。さらにベージュが濃くなる。といってもやさしい淡い色。
三回目、温度はさらに上がり、、、でもゴム手なので耐えられないことはない。さて、このベージュに媒染(染色を止め繊維に定着させる)をかけるとどんな色になるのか。
今回使う媒染は鉄(木酢酸鉄)、水に数滴たらすだけ。
あ、ほんまに木酢の匂いやわ。
草木染めは媒染剤によって色が変わるのが面白い。鉄の他に、アルミとか銅とかも使われる。
ほんのりベージュだったのが3回媒染してこの色になった。
面白いのが染める人によって色味が異なってくること。媒染を1回にしたり、染色液に媒染後また付けたり、とかその成果がこれである。真ん中のが媒染前の色に近い。右が私の、左がお隣さんのである。
染め上がりに納得したら水洗いをして持ち帰り、帰宅後さらに水洗いして陰干しで完成!である。
その後アトリエシムラで染められた糸の色を見せてもらいお話を聞く。これが同じシラカシで染めた糸である。奥が紬糸、手前が精錬した絹糸で材質だけでもこれだけ違う。
黄色でも上は刈安、下が山吹。
刈安は少し緑がかっているので、藍を混ぜて緑を作るのに(単独植物で緑はできない!というのが不思議〜)よく使われる植物で、昔から近江刈安は有名、なかでも伊吹山で採れる刈安は特に質が良いという。
同じピンク系でも、左から桜(特に花が咲く直前の木がよい発色なんだそうだ)、中が茜、右が紅花とバリエーション豊か。植物からこれだけの色がとれるとは、昔からの知恵はすごいね。ただ生き物相手なので、化学染料のように安定した発色はむずかしく、気候や土壌、その日の温度や湿度で変化し、全く同じ色ができない、、というのは弱点でもあり、また色のゆらぎが面白いという長所でもあると思う。
これはムラサキで染めた糸、ムラサキは根を染色に使うので、いわゆる紫根とよばれる。植物としては絶滅危惧種なので非常に、非常に貴重なもの。まあ、しかし柔らかくて美しい色だこと!ほれぼれしちゃう。これで染めた着物をまとったらいかに気持ちよいであろうかと妄想にふける。
今度はこれらの糸を使った機織りワークショップに是非参加したい!
このワークショップにはスイーツとハーブティーがついている。そのまま同じフロアのGOOD NATUREのレストランHyssop さんで数種類のミントを使った香り高いハーブティーと、
ちょっと内容がよくわからないけど(^_^;台湾系スイーツっぽいのを美味しくいただき、ご一緒した方々と染色の感動を語り合いお開きとなったのである。
こちら完成形。
*アトリエシムラワークショップ→ ☆
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