fc2ブログ
topimage

2023-11

筥崎茶会を勉強〜利休に添う茶事 - 2022.09.19 Mon



DSC05119.jpeg


波を乗り越えて茶事におよばれ。で、波の帯にしてみた。明治33年(西暦1900年)生まれの祖母の綴帯である。柔らかくて締めよい。


IMG_5967.jpeg


この茶室には何度も寄せてもらっているのだが、亭主が代わればまた茶事の色も雰囲気もかわるものだな〜と思う。何度もお目にかかっていても亭主と客としては(逆はあったけど)初めての新鮮経験。


IMG_5972.jpeg


待合の画賛「靭猿」は「猿にはじまり狐に終わる」の狂言師の一生にちなみ「猿から始めてますよ」のご謙遜でしょうか。お互い狐まではまだまだ遠うございますね〜(^_^;

利休に寄せての思いを茶事に、懐石も利休茶会記の懐石をなぞって、とのこと、もちろんお手製である。全体にお精進であるが椀物だけ鶏であった。これがめっぽう美味しかったのと、付け合わせの茗荷と椎茸の下味がしっかりついていて、ええ仕事してはるわ〜と、日頃の雑な自分の懐石を反省。ちなみにこれは利休の時代には鶴か白鳥の肉であったろうと。

連客はおなじみのお酒好き4人組であったので、酒器がおもしろいほど空いていく。ご当地のお酒がほんまにどっしりしていて好き。対して同時にいただいた獺祭はすっきり爽やか系で、これも美味い。でてきた石杯が全部好みの粉青沙器シリーズで(もちろん三島に手をだす)、これもご馳走。


IMG_5974_202209130009060a9.jpeg


主菓子の着せ綿もお手製である。(ほとんどプロ)

初座の床にはなにやら無骨な花入れに葒?の花がさりげなく投げ入れ、後座にはルソンの壺、、、と少々型破り、、、席中は酔っ払いと化していたため、ん?ん?と思っていたことが、家にかえってラインナップを並べてみると、、、ああ、そうだったかとじわじわ。

<上座ノ柱ニ高麗筒ニシノ花生テ ヤクモノ花モ、御茶入備前肩衝ヲ白地ノ金ランノ袋ニ入、緒ツカリ紅也、利休被仰ニハ、此茶入ハホテイ(布袋)ト申候、、、(中略) ヤキ茶碗ニ、、(中略)此茶ハ ハシタテ(橋立)ノ壺ヲヒカセ候ト、、、、>

天正15年、島津を降伏させた秀吉が博多の筥崎に茶室をいくつか作らせ豪商神屋宗湛を招き、利休が点前をした時の「宗湛日記」。(筥崎の茶会といえば利休が野点をしたと言われるふすべの茶会が有名だが)
キーワードと今回の茶事にちりばめられた道具を並べるとなるほど!と合点がいった。高麗筒花入、茶入「布袋」、ヤキ茶碗(多分長次郎)、茶壺「橋立」、、、、うーん、深いわ。利休の茶会記は自流の祖でありながら知らないことも多いことに愕然とするわ。今回筥崎茶会について勉強する機会を得て感謝である。
(花の名前だけはよくわからないが)

ちなみに備前茶入「布袋」は袋だけが立派だからと利休が名付けたという由来。


IMG_5975_20220913000904b19.jpeg


お干菓子は伊勢神宮の神饌である菊の落雁にお手製黒糖琥珀あられまぶし。そういえば煙草盆の引き出しには菊の御紋の恩賜の煙草がはいっていたっけ。これで菊が3つそろう重陽の節句。
色々のお心づくしお一人でやりくりされるご亭主、お見事でございました。ありがとうございました。

<おまけ>

四畳半の茶室は以前は普通の座敷だったのだが、可動式躙り口とクーラーをかくせる落とし天井を持った立派な侘びの小間になっていた!びっくり!ちなみに設計はうちを設計してくれた建築士のIさん(*^_^*)


IMG_5971_2022091300090939d.jpeg

関連記事

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cherubinpriel.blog.fc2.com/tb.php/1863-7d7ad019
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

きたまち宵あかり2022〜旧奈良監獄他 «  | BLOG TOP |  » 「旅するお茶」〜五感が楽しむ中国茶会

最新コメント

プロフィール

しぇる

Author:しぇる
京都へ移住する前から書いているブログなので、京都移住後もタイトルに愛着がありこんなタイトルです。でも「もう・住んでる・京都」です。旧ブログから引っ越ししてきました。

最新記事

カテゴリ

未分類 (14)
茶の湯 (393)
茶事(亭主) (84)
茶事(客) (174)
茶会(亭主) (18)
煎茶 (10)
京のグルメ&カフェ (94)
町家ウォッチング (10)
弘道館 (7)
岡崎暮らし (109)
MUSIC (4)
能・歌舞伎 (65)
京都めぐり2023 (32)
京都めぐり2022 (29)
京都めぐり2021 (30)
京都めぐり2020 (19)
コロナ緊急事態宣言下の京都2020 (12)
京都めぐり2019 (28)
京都めぐり2018 (20)
京都めぐり2017 (30)
京都めぐり2016 (34)
京都めぐり2015 (34)
京都めぐり2014 (39)
京都めぐり2013 (36)
京都めぐり2012 (6)
本・映画 (14)
美術館・博物館 (143)
奈良散歩 (132)
大阪散歩 (1)
着物 (8)
京の祭礼・伝統行事 (60)
祇園祭2023 (9)
祇園祭2022 (11)
祗園祭2021コロナ下 (5)
コロナ下の祇園会2020 (1)
祗園祭2019 (18)
祗園祭2018 (11)
祗園祭2017 (17)
祗園祭2016 (18)
祗園祭2015 (16)
祇園祭2014 (13)
祇園祭2013 (14)
修二会2023 (10)
修二会2022 (8)
コロナ下の修二会2021 (6)
修二会2020 (5)
修二会2019 (3)
修二会2018 (4)
修二会2017 (4)
修二会2016 (3)
修二会2015 (3)
修二会2014 (3)
修二会2013 (3)
その他の町散歩 (11)
京都和菓子の会 (4)
ソウル紀行2023 (3)
イスタンブール・カッパドキア紀行2013 (8)
英国田舎紀行2015・湖水地方とコーンウォール (7)
パリ紀行2014 (7)
ノルウェー紀行2016 (4)
古筆 (1)
ポルトガル中部〜北部紀行2017 (7)
京都でお遊び (13)
ギャラリー (4)
暮らし (14)
中国茶 (49)
京都の歴史・文化について勉強 (3)
過去ブログ終了について (0)
猫 (1)
滋賀さんぽ (21)
オランダ・ベルギー紀行2018 (9)
ニュージーランド紀行2019 (9)
台北旅行2018 (3)
高野山 (2)
骨董・工芸品 (1)
東京散歩 (2)
諏訪紀行2021 (4)
金沢さんぽ (1)
御所朝茶 (4)
有田2022 (1)
熊野三山巡り (2)
兵庫さんぽ (1)
太宰府 (2)
丹後旅行 (3)
仕覆制作 (5)
信州旅行2023 (2)
京都モダン建築 (3)

月別アーカイブ

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR